東京パラリンピックで史上初の準決勝進出を果たした車いすバスケットボール男子。
今回はその日本代表だけではなく、海外の代表選手も支える中小企業を取材しました。
株式会社松永製作所
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パラリンピックの人気競技の一つ「車いすバスケットボール」。車いすがぶつかり合う激しい攻防やスピーディーなパスワークが魅力です。
人口およそ2万8,000人の小さな町、岐阜県養老町。
連日続く熱戦を特別な思いで見つめている人たちがいました。
この日、行われていたのは日本対イギリスの試合。見守る人たちの手には両国の旗が。実は…
松永製作所の松永紀之社長。
私たちが作った車いすがイギリス代表も日本代表も多く使ってくれているので本当に「どっちも頑張れ」という気持ち。
ここは車いすメーカーとして国内のトップシェアを誇る松永製作所です。
2002年から競技用車いすの開発に着手し、今回のパラリンピックでは車いすバスケットボール日本代表の男女24人中14人がこの企業の車いすを使用しています。
松永製作所の車いすを使用する藤井郁美選手。
良かったところは継続して細かな修正点もあるので一戦一戦きょうよりも明日、いい試合ができるように準備していきたい。
また、この企業は強豪チーム、イギリス代表とも2018年から4年間、オフィシャルサプライヤー契約を結んでいます。
競技用の車いすはある特徴が。
田口智也記者。
体と一体化するような感じを覚える。タイヤがハの字になっているので素早くターンができるのも特徴です。
イギリスの選手からも支持される理由は高い技術力にあります。
現場を見せてもらうと…
精度は機械だけでは出せないものがある。
骨組みの溶接から組み立てに至るまで職人たちの手作業で行われていました。
完全にフルオーダー。
「もうちょっとこうしてほしい」の「もうちょっと」を数値化するのは難しい。
ベテランの技術者が経験をもとに作らないと本当に優れた車いすはできない。
さらに車いすの構造にも特徴が。アルミフレームを分解してボルトで組み立てることで座る位置や高さを1ミリ単位で調整することができます。
これによりターンする際に独特のしなりが生まれたといいます。
こうした独自の技法は選手との密接なコミュニケーションから生まれました。
実は松永製作所では日本代表チームとイギリス代表チーム両方にメカニックとして社員が帯同。選手からの細かい要望を車いす開発に反映させています。
しかし、大会によってはチームの予算がなく費用が会社の負担になることも…
金のプラスマイナスは経費ばかりかかって刈り取りができていないのが現状。
ただ目に見えない利益という意味ではブランド力の向上。
そこから始まったビジネスもいくつかある。
実際、この20年で競技用車いすの売り上げは10倍以上に成長したといいます。
さらに松永製作所では東京パラリンピックの開催に向けて3年前に千葉県に新たな工場を設置。関東に拠点を作ることで修理などのアフターケアを迅速にできる体制を整えました。
今後は世界のアスリートたちのニーズを掘り起こしたいとしています。
車いすを使って利用者がなりたい自分になる。やりたいことができるようになる。
これが私たち企業の存在価値。