北京パラリンピックが開幕した中国では3月5日から国会に相当する全人代(全国人民代表大会)が開かれます。
そして韓国では大統領選の投開票を5日後に控えるなど来週にかけて重要日程が相次ぐ東アジアでも激変への火種がくすぶっています。
激変!世界の"勢力図"
楽園がゴーストタウンに!?
中国南部に位置する海南島。東洋のハワイとも呼ばれる中国屈指のリゾート地です。
ここに不動産大手"恒大集団"が作った巨大な人工の島があります。
名前は海花島。東京ドーム170個分の敷地におよそ3兆円の資金と10年以上の歳月をかけホテルや水族館などを次々と建設してきました。
島内を走るバスには「全世界の人が憧れる文化旅行の聖地」の文字が。
しかし、島を歩いてみるとその理想とはかけ離れた世界が広がっていました。
上海支局の菅野陽平記者。
対岸はコテージエリアということですが、まだ一棟も営業していないそうです。実際に見てみるとほとんど建設は行なわれていなくて廃墟のようになっています。
こちらの巨大なショッピングモール、およそ300のブランドを集めた免税店が入り、今年1月にオープンするはずでしたが…
工事は止まったまま。開発を手掛ける恒大集団が多額の負債を抱え経営危機に陥ったためでしょうか、未完成のまま放置されていました。
水族館は営業はしているものの、水が抜かれた水槽も。
世界各地の町並みを再現したという商店街はすでに閉店した店が目立ち、まるでゴーストタウンです。
その一画にある日本料理店「宮戸川」。去年11月にオープンしました。名物はうなぎです。
もともと日本で飲食店を経営していた櫻井英二さん、単身この島に乗り込みました。
世界各国のレストランが集まってくるので、すごいブランドが集まるということで「ぜひ」という感じで。
厨房の設備や包丁、まな板、備品類も恒大に全部用意してもらった。
日本風に仕立てた内装工事も全て恒大側が負担。まさに三顧の礼で迎えられたかたちでしたが…
春節や正月、そういう時はにぎやかになったが、正直厳しい状況が続いている。
周りの土産店はすでに撤退してしまったといいます。
海外出店できることは本当に夢。
夢を持ってきた
今はやっぱり不安のほうが大きい。
島には恒大集団による無計画な開発の後が数多く残されています。
海を挟んで前、あちらの島にはマンションがたくさん建ち並んでいます。
近づいてみるとここでも工事は止まったまま。しかも全部で39棟あるこちらの建物は建築規制に違反しているとして地元政府から撤去を求められています。
恒大集団は海花島でこれまで400棟以上のマンションを開発。そのほとんどが販売済みですが…
40万元(約720万円)で買った物件が35万元(約630万円)でも売れない。
去年のピーク時には1平米2万元で売られていたが、今はどんどん下がっていて、急いでお金が欲しいオーナーは9千元でも売っている。
経済成長のために続けられてきた不動産開発。その歪みがいま表面化しているのです。