林の中で子ども達が木登りをしたり、家族連れがバーベキューを楽しんでいます。
実はこちらは分譲住宅地の中に設けられた雑木林です。
こうした自然を生かして価値を提供する新たな住まいの形を取材しました。
財団法人住宅生産振興財団
[blogcard url="http://www.machinami.or.jp/"]
神奈川県相模原市にある分譲住宅地。先週末から販売を開始しました。
一見、普通の住宅地ですが…
住宅生産振興財団の松岡俊一郎事業部長は、
分譲地の中央に里山と呼ばれる雑木林があります。
分譲地の中央には木々が立ち並び、それを囲むように家が建っています。
分譲地全体の2割をこうした雑木林が占めていて、葉が落ちる冬場は光が室内に入り込み、逆に木の葉が茂る夏場は強い日差しをさえぎります。
また住宅同士を仕切る塀はあえて作りませんでした。
こうした林を住民が自由に行き来することが出来るようにすることで積極的な交流を目指します。
隣同士のコミュニティーが分譲地の価値を保つのに非常に重要。
こういう雑木林を使ってコミュニティーの活性のきっかけをつくる。
この分譲地は積水ハウスや大和ハウス工業など大手ハウスメーカーが共同で開発。
販売する住宅は2階建ての4LDKが中心で、平均分譲価格は6,400万円ほどです。
この共有型の庭を売りに30代から40代の子育て世帯を取り込む狙いです。
7月には茨城県つくばみらい市でも分譲を予定しています。
住宅に対する価値観がどんどん変わっている。
自分たちの生活を描いたときにどういう生活をしたいか。こういう住宅を欲しい層はたくさんいる。
株式会社エス・コンセプト
[blogcard url="http://www.s-concept.co.jp/"]
こうした住宅で住民はどのような暮らしを送っているのでしょうか?
2008年に北九州市で開発されたおよそ40軒が集まる「サトヤマ ヴィレッジ」。
塀のない家々の先にあるのは、やはり共有地となる雑木林です。
週末に開かれていたのは5世帯が集まってのバーベキューです。
住民は、
少人数だったら割と週末に集まってよくやるし、大きい集まりだと年間に何回か開く。
こうした集まりは入居が始まって間もなく自然に開かれるようになりました。
さらに雑木林に集まる子どもたちの交流は家族同士のつながりにも発展しているといいます。
隣宅の子どもがうちの2階で遊んで、昼食を食べて、自分の子どもが夜は隣で食べたり、お風呂に入れてもらったりとか。
「昭和か」という気もするけど。
同じ敷地で一緒に住んでいると共同体の感覚。
「家族の延長」みたいな空気がいいところ。
この住宅地の仕掛け人が住まいのコンサルティングなどを手掛けるエス・コンセプトの馬越重治さん。
もともと何もなかった開けた土地に住民同士が交流を図れる場の需要を感じ600本の木を植え、雑木林を作り出しました。
販売価格は3,000万円から4,000万円台と近隣相場よりも少し高めでしたが、
共有部を雑木林にすれば頻繁な剪定は不要。雑草があってもそれなりの風合いになる。
メンテナンスコストが下がるメリットがある。
都市部を中心に住宅の価格高騰が進む中、郊外ならではの付加価値の提供を目指しています。
これからが皆でいろいろなものをシェアしていく時代であれば、違う住宅地のあり方ももっと出てきてもいいと思う。