[WBS] リーマン破綻から10年!元幹部が語る「危機の芽」!?

ワールドビジネスサテライト(WBS)

世界経済を混乱させた金融システム危機、いわゆるリーマン・ショックからまもなく10年となります。

世界はあの未曾有の危機を克服できたのでしょうか?

今回は金融危機の発端となったニューヨークからです。

ニューヨーク支局の森田京之介記者、

2018年に入ってからアメリカの株式市場は貿易戦争などの不安を抱えながらも史上最高値圏で推移し、アメリカ経済の強さが世界経済の中で際立っています。

こうした中で次の危機の芽は育っていないのか、リーマン・ブラザーズの元幹部たちに聞きました。

リーマン・ショック

世界の金融の中心地ニューヨーク。

リーマン・ブラザーズの本社だったビルは破綻以降、イギリスの金融大手バークレイズのオフィスとなっています。

そのバークレイズのオフィスの前を見てみると黒塗りのリムジンがずらりと止まっています。

こうした光景は破綻直後の10年前にはほとんど見られなくなっていたということです。

10年が経った今、こうした光景が復活してアメリカの金融業界も活気を取り戻しているといえそうです。

世界経済の中で独り勝ちといわれるアメリカ。

しかし10年前、人々は絶望の淵に突き落とされました。

2008年9月15日、158年の歴史を持つ証券大手リーマン・ブラザーズが破綻。

19兆2,000億ドル、日本円にして2,000兆円以上の資産が消滅し、全米で880万人が職を失ったのです。

彼らはいまどうしているのか?

リーマン・ブラザーズが破綻する直前まで幹部を務めていた人物を訪ねました。

ローレンス・マクドナルド氏

ローレンス・マクドナルド氏、リーマン・ブラザーズではリスクの高い債権を扱っていたといいます。

今は約100社のヘッジファンドに投資情報を提供している。

債券トレーダーから投資リスクの専門家に転身した。

ウォール街を遠くに見下ろす高級マンションの一室で投資情報会社「ベア・トラップス・リポート」を経営しているマクドナルド氏。

リーマン・ブラザーズで取引をしていたときの記憶はいまも鮮明です。

あの頃、リーマン・ブラザーズのトレーディングフロアでは「もっとリスクを取れ!」と繰り返し言われた。

何かが起きても中央銀行が助けてくれるという考えがあった。

マクドナルド氏はリーマン・ブラザーズ破綻直後に150人を超える役員や社員から直接話を聞き、その舞台裏を明かす本を出版しました。

本は12ヵ国語に翻訳され全世界で40万部以上が売れたといいます。

あれから10年。

ダウは金融危機当時の最安値からおよそ4倍に上昇。

アップルとアマゾンが相次いで時価総額1兆ドルを達成するなど沸騰しています。

その大手ハイテク株の急速な膨張に次の危機の芽があるとマクドナルド氏は見ています。

アメリカは安全な投資先だが、一部のハイテク株に集中し過ぎている。

それがフェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、そしてグーグルといった「FAANG」と呼ばれる株です。

これらのハイテク株が多くの投資信託に組み込まれリーマン・ショックの引き金となった金融商品のようになっています。

富が一つの場所に集中する時、危機の芽が生まれる。

FAANG

「FAANG(ファング)」と呼ばれるアメリカのハイテク大手5社の株を組み込んだ株式投資信託の数は10年前と比べ67倍に増えています。

つまりFAANGの株価が下がれば多くの人の資産が目減りするリスクがあるというのです。

さらに市場との会話を重視する中央銀行の姿勢がリスクを高めているとマクドナルド氏は指摘します。

FRBなどの中央銀行は金融政策の見通しを開示し過ぎた。

投資の世界には、これを悪用する野獣のような投資家が必ずいる。

金融政策の先行きが分かり過ぎると市場にリスクが生まれやすくなる。

今も中央銀行は過剰な金融緩和で企業や国を支えている。

投資家は楽観的になり恐怖を全く感じていない。

金融危機というのは10年ごとに起きるともいわれます。

マクドナルド氏は次の危機に関してはどうご覧になっていたのでしょう?

リーマン・ブラザーズが破綻したときのような金融危機がアメリカで起きる可能性は低いといっていましたが、1998年のアジア通貨危機や2011年にギリシャなどの債務問題が引き金となったいわゆるソブリン危機のような経済危機は起こりうると指摘していました。

世界経済のどこに世界経済の危機があるのか、もうひとりリーマン・ブラザーズの元幹部に話を聞いてきました。

ポーツ・シェアード氏

10年前、リーマン・ブラザーズでチーフエコノミストを努めていたポーツ・シェアード氏。

いまのアメリカ経済の強さは本物だといいます。

タイムズスクエアはいつも景気が良い場所だが、今はアメリカの田舎町に行っても景気の良さを感じることができる。

失業率は低く、経済成長は力強い。

今、金融危機が迫っているとは思わない。

ただ、われわれは10年前も危機が迫っていることを知らなかった。

大きな不均衡や構造的な問題が危機の芽となっている可能性はある。

シェアード氏が心配するのは米中貿易摩擦が中国経済に与える影響です。

トランプ政権との貿易戦争に耐えられるほど中国経済の基盤は強くはないと指摘します。

中国では債務が大きく膨れ上がっている。

経済成長は鈍化していて金融システムは未成熟だ。

危機に耐えられるのか不安がある。

好調な景気を背景に中国を揺さぶるトランプ政権。

その先にどんな結果が待ち受けているのでしょうか?

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