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[WBS] もし急に雨が降り出したら…都内180ヵ所で傘を貸し出し!?

2019年6月12日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

先週、関東甲信や東海、北陸などが梅雨入りをしました。この季節使うことが増えるのが日本発祥といわれているビニール傘です。年間で8,000万本販売され、消費される傘の6割以上を占めているといいます。しかし、まだ使えるのにもかかわらず道端に忘れられたり、捨てられる場面も数多く見かけます。そんなビニール傘の無駄をなくそうと傘のシェアサービスが都内で急速に広がっています。

アイカサ(iKasa)

[blogcard url="https://i-kasa.com/"]

東京・上野になる百貨店、松坂屋。

6月12日、入口の脇に傘が置かれました。

実は百貨店の商品ではなく、傘をシェアできる新たなサービスです。

星佑紀記者、

こちらの傘、開こうとしても開かない。ロックの状態になっています。

QRコードをLINE上で読み込むと3桁の数字が送られます。この数字をダイヤルで合わせていくと傘が開く仕組みです。

この「アイカサ」、LINEで登録すれば誰でも使うことができ、料金は借りた時間から24時間であれば70円、さらに最大420円で1ヶ月間使うこともできます。

都内に180あるアイカサの設置箇所であればどこに返却してもよく、傘立てにあるQRコードを読み込めば返却完了です。

傘のシェアがあることは知らなかった。

「雨が降ったら使う?」

使います。

アイカサを運営するベンチャー企業の丸川照司さん。

ビニール傘を買いたくない。家にあるのに買うという不合理な部分にいらだちを感じ、これを変えたらもっといい世界になるのではと、それが最初のきっかけ。

アイカサは去年12月に渋谷の50ヶ所でサービスを開始。いまでは登録者が2万人以上となり、渋谷では雨が降れば設置箇所によっては1日に10人程度が利用するといいます。

今回は上野のエリアのおよそ50ヵ所に1,000本の傘を設置。

JR上野駅をはじめ、老舗のディスカウントストア「多慶屋」、店頭の商品と並んで傘が設置されています。

さらに東京国立博物館の扉の横にも。

株式会社大丸松坂屋百貨店

[blogcard url="https://www.matsuzakaya.co.jp/"]

この傘のシェアサービスは設置する店や施設側にもメリットがあるといいます。

松坂屋上野店の企画担当、木村隆之さん、

雨の日だと来店客数が少なくなる。滞留時間も短くなる課題があった。

上野エリア全体で傘シェアリングを進めていくことで滞留時間や来客数の増加につながるのではないか。

ビニール傘の現状

アイカサがこのサービスを拡大する背景にあるのはビニール傘が大量に消費され廃棄される現状です。

街の人にビニール傘について聞いてみると。

ビニール傘はいつの間にかどこかに忘れてなくなっている。

落としたりなくしたりで家に持って帰ることができない。

雨上がりの街では…

坂本透記者、

朝5時、港区六本木の路上です。数多くのビニール傘が放置されています。

路上には捨てられたり、忘れられた傘が…中には新品同様のものも。

こうした傘は回収され、処理業者に送られます。

東港金属株式会社

[blogcard url="https://www.tokometal.co.jp/"]

大田区にあるリサイクル業者「東港金属」。

1ヵ月でおよそ30トンのビニール傘が届くといいます。

しかし、悩みのタネはゴミの量だけではありません。

東港金属の福田隆社長、

傘は金属が細く、ビニールが引っかかる。

鉄にもっていかれてしまう。

通常の不燃ごみは細かく砕いた後、金属とそれ以外に分別するのですが傘の場合、骨組みとビニールが絡まり分別できない場合も。

頭を悩ます要因はほかにも。

中国が廃プラスチックの輸入を禁止したことで、輸出できないプラスチックが国内にたくさんある。

傘のビニールが処理しづらくなっている。

17年末、中国が環境汚染を理由に海外ゴミの輸入を禁止。プラスチックごみの多くが行き場を失っています。

アイカサの丸川さんはこうした社会問題を解消するためにも事業の拡大は急務だと話します。

日本規模でやりたくて、日本全体を個人の傘が要らない町に。

2020年、東京五輪を目安に3万本に広げていきたい。

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