こちらの映像は2年前の香港の様子です。当時、民主化を求める反政府デモが拡大し、警察との衝突で死傷者も発生するなど混乱が続きました。
民主派の逮捕が相次ぐなど当局の弾圧が強化された香港ですが、19日に議会にあたる立法会の議員選挙が行われます。
今回の選挙では親中派が圧勝する見通しですが、その中でも民主派を名乗る立候補者も出ています。いま香港で何が起きているのでしょうか。
香港まもなく「愛国」選挙!"自称・民主派"が登場のワケ
香港民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)さん。
もっと多くの香港人が国家安全維持法に反対する運動に参加できればいい。
去年、国家安全維持法が施行された香港。国の分裂や政権の転覆といった罪が定められ、香港メディアはこの法律による逮捕者は150人を超えたとしています。
香港市民は…
以前のように自由のある場所ではなくなった。
2年前、テレビ東京が取材したトマト麺専門店。
当時レシートには「香港人は反抗せよ」といったスローガンがありましたが…
この日訪れてみるとレシートには「トマトスープ作りに専念する」との文字だけ。
店は政治に関わる取材を頑なに拒否。
ほかの飲食店は…
政治の問題や政府を恐れたり、民主派支持を表明する店舗の数は減った。
国家安全維持法によって下火になった民主化運動。こうした中、香港では19日、法律の施行以降初めてとなる議会選挙が行われます。
ただ、ここにも中国の影が…
これまで市民が直接選べる議席は半分。しかし、5月に中国政府によって選挙制度が見直され、定数が拡大する一方で直接選挙枠はわずか20議席に減りました。
さらに立候補するには共産党に反対しない"愛国者"かどうかの審査などが求められます。
街の人は…
「投票するか?」
いかないと思う。選びたい人が誰もいない。
私も同じ。
香港の大学の調査によると選挙に関心がないとした回答は全体の半数を超えています。
民主派の政党が候補の擁立を断念し、親中派一色と見られましたが…
自称"民主派"の劉卓裕候補。
民主派全体を代表できると言えないが自分を民主派の人間だと確信している。
劉卓裕候補は民主派を自称しています。立候補した理由を尋ねると…
何もせずに諦めてはいけない。耐えてやり続けるべきだから出馬した。
自称民主派の候補が登場した背景について専門家は…
神田外語大学の興梠一郎教授。
「民主派」を形だけでも入れておく。
ただそれは数が多すぎて影響力を持つのも良くないので少なくして。
「民主派」候補は当局から見ても政府に反対するようない人ではない。
専門家は対立候補を用意することで民主的な選挙だとアピールする狙いがあると指摘します。
いろいろな面で中国化政策は進んでいるが、議会が一番中国政府としては気になるところ。
反対意見や批判的な意見は全部封じ込めながら経済の国際金融センターとしてのシステムだけは残したい。それができるかどうか。