巨額の債務を抱えて経営危機に直面している中国の不動産大手「恒大集団」が9月22日に期限を9月23日に控える社債の利払いについて実行すると表明しました。
ただ今後とも利払いの期日が集中して続く予定でデフォルト(債務不履行)の危機を乗り越えられるかは依然として不透明です。
中国の経済成長をけん引してきたこの不動産業界の混乱に中国政府は今後どう対応していくのでしょうか。
恒大集団
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負債総額が33兆円にのぼる恒大集団。9月22日も広東省深圳にある本社周辺では…
北京支局の杉原啓佑記者。
今日もたくさんの警察車両がビルの前に止まっています。本社の入り口には警察官が30人ほど立っていて厳戒態勢が敷かれています。
債権者らの抗議デモに対する警戒が続いていました。
その恒大集団のグループ会社が発表したのが期日を9月23日に控える社債の利払いの実行です。
利払い額は日本円でおよそ39億円。資金繰り悪化により社債のデフォルト(債務不履行)が懸念されていましたが、足元の危機は回避できる見通しです。
中秋節の連休が明け、4日ぶりに開いた上海株式市場では…
上海市局の菅野陽平記者。
午後3時を回りました。今日の上海市場は0.4%の上昇で取引を終えました。
連休中にアメリカや日本などの市場が急落したため、代表的な指標の上海総合指数はリスク回避の売りが広がり午前中には先週末に比べておよそ1.4%下落。
ただ恒大集団側が利払いの実行を発表したことで警戒感が和らぎ、終値では小幅の上昇となりました。
市民からは…
これ以上指標が落ちることはないと思う。リバウンドを期待している。
しかし、利払いをめぐっては楽観視できない実情も…
恒大集団の社債は人民元建てと米ドル建てがあります。
金融情報会社のリフィニティブによると9月23日は91億円に上る米ドル建ての社債の利払いの期日でもありますが、9月22日の発表ではそれについての言及はありませんでした。
さらに恒大集団の社債をめぐっては10月までに利払い期日が集中して到来する予定で総額は200億円を超えるとみられます。
経営破綻のリスクが消えない中で市場の先行きに不安を覚える声も相次いでいます。
正直分からない。株は予測できない。
何も言えない。相場はいまとても不安定だ。
一方、東京株式市場。
日経平均株価の終値は前日の9月21日により200円下落。恒大集団をめぐる経営の不透明感が相場の重荷となり、およそ3週間ぶりの安値となりました。
9月22日、大規模な金融緩和策の維持を決めた日銀。黒田総裁は会見で恒大集団の問題について言及しました。
現時点で俗に言うコロナ禍のもとでの企業債務の増大のもたらす問題の一例とは考えていない。
恒大集団の経営危機が今の時点で全体の問題になるとは考えていない。
このような見方を示し、国際金融市場に与える影響を引き続き注視していくと述べました。
「中国政府は幅広い産業に対して規制を強化しているが、世界経済への影響は?」
さまざまな規制や政策的なことを行い、過大な問題が生じないようにやってきた。
これ自体はある意味当然というか適切なこと。
バブルのようになって、それが崩壊して影響を及ぼすことがないように慎重に進めていること自体は好ましいこと。
今後、中国政府は恒大集団の経営危機にどう対応していくのでしょうか。
専門家は…
日本国際問題研究所の現代中国研究家、津上俊哉さん。
中国で利払いが期日通りできない話は年間何百件も起きている。
最後は政府がなんとかしてくれるとみんな信じている。
借金頼みで投資をバンバンやる。持続不可能な経済成長から軌道修正しなくてはいけない。
これまでとは違い政府が借金の肩代わりをするようなことはないと見ています。
しかし、恒大集団が経営破綻してしまえば失業者の増加など経済への影響は避けられません。いかにソフトランディングさせるかが中国政府の役割だと話します。
債権者には債権をカットしてもらい、会社を身軽にして不要な資産を売却させて、経営者は追放、従業員もカット。
そういう役割は地方政府が担うと思うが、いつ頃から誰がリードして始まるか見えていない。