日本が世界一消費している魚は高級魚のクロマグロですが、天然資源の減少で国際的な漁獲規制が敷かれています。
そんな中、味はクロマグロにも匹敵するという幻の魚に注目が集まっています。
株式会社ダイナックホールディングス
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都内にある居酒屋チェーン店「魚盛 新宿三丁目店」
この店ではいま幻の魚を特別に食べられるキャンペーンを行っています。
それがこちら。肉厚で鮮やかなピンク色をした刺し身です。
お造りが8切れでおよそ1,500円。
めっちゃおいしい。
中トロみたい。
口の中でとろける感じ。
別のテーブルでjも、
マグロよりこっちの方がいい。
マグロよりおいしいという声も。
調理長に魚の正体を教えてもらいます。
松村直彦調理長、
これはスマという魚。
「カツオではない?」
そっくりなんですけど違う種類。
腹に斑点が出ているのがカツオと違うところ。
スマ
体長はおよそ60cm、お腹の黒い斑点が特徴のスマ。
マグロやカツオと同じサバ科に分類されますが水揚げ量は極めて少なく市場にはめったに出回らないため幻の魚といわれているのです。
「スマを知っている?」
知らなかった。全然知らない。
初めて聞いた。
何だろうと思って、マスの間違いかと思った。
知名度はないもののその身は全身トロといわれるほど上質な脂が乗っていて味もクロマグロと比べて遜色ないとされているのです。
長く幻の魚といわれてきたスマですが、店で使われていたのは天然物ではなく、愛媛県で生産された養殖物。その名も「媛スマ」です。
魚盛 新宿三丁目店の佐藤理仁店長、
養殖ものの方が安定して入ってくるのがわれわれのメリット。
値段はマグロとほぼイコール。鮮度が良くしっかり回転するので優秀な食材。
宇和海漁業生産組合
夜が明けた午前6時、愛媛県愛南町の沖合へ。
全国有数の養殖業の産地として知られ、媛スマもこのいけすにいるといいます。
宇和海漁業生産組合の尾崎洋祐理事、
この中に1,500匹くらいいる。
いけすの中を勢いよく泳ぎ回るスマ。
スマは稚魚を捕獲してから育てる一般的な養殖とは違います。
まず親のスマに卵を産ませて、それを孵化させてから育てる完全養殖というサイクルの中で生まれたスマなのです。
愛媛県と地元の大学、さらに水産研究センターがタッグを組み、2013年から研究を開始し、およそ4年をかけ世界初の完全養殖に成功しました。
「えさは?」
イワシ、サバ、アジなどいろいろ。
去年11月、安定的に供給できる仕組みが確立したことからブランド魚「媛スマ」として販売を始めました。
その扱い方も普通の養殖魚とは違います。
えさを付けた釣り針で魚体に傷をつけないよう1匹ずつ釣り上げます。
すぐにエラの内側を切って血を抜き、塩分を含んだ粒の細かい特別な氷の中に入れ、鮮度を保ちます。
辻水産株式会社
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その日のうちに地元の水産業者に運び、体脂肪を計測。
中にはマグロの中トロ並みに脂の乗ったスマも。
乾燥を防ぐ特殊なシートに包み、東京や大阪の飲食店に向けて出荷されます。
実はこの媛スマ、漁業関係者にとってもメリットが。
成長は早いと思う。
5月に5~10センチだった稚魚が半年で2キロぐらいになる。
スマはもうかると思う。
ブリや真鯛よりも成長が早いため生産コストを抑えることができるのです。
その上、価格はマグロ並みの価格がつくことから収益を生む養殖魚として期待されています。
愛媛県
[blogcard url="https://www.pref.ehime.jp/"]
地元、愛媛県はスマのブランドをさらに高めようと動き出しています。
2年後には稚魚の生産量を今の4倍の年間8万匹に増やし、媛スマの販売を加速させるといいます。
愛媛県庁漁政課、橋田直久課長、
われわれはスマをマグロの代替品とは一切考えていない。
新しい赤身のおいしい魚として広く皆さんに食べてもらいたい。
幻の魚が幻ではなくなり、食卓に並ぶ日も遠くないかもしれません。