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[WBS] 実は日本で「白タク」が横行!? 空港…観光地…実態を徹底取材!

2017年11月8日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

成田空港で無許可のタクシー、いわゆる白タクと見られる車に乗り込む訪日外国人。

近年、スマートフォンの配車アプリの普及などでこのような白タクが急増していてタクシー業界は大きな打撃を受けています。

そうした中、11月8日にタクシー国内最大手の第一交通が世界最大級の配車アプリを展開する中国の企業と連携すると発表しました。

タクシー会社にとってはライバルになる可能性がある配車アプリの企業との異例の連携ですが一体どんな狙いがあるのでしょうか?

そして、知らないうちに日本で広がっていた白タクの実態にも迫りました。

第一交通産業株式会社

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田中亮一郎社長は、

世界最大手の中国配車アプリ「滴滴出行(ディディチューシン)」との連携。中国の富裕層の利用が増えるという期待はかなりしている。

第一交通が11月8日に発表したのは世界最大手の配車アプリを展開する中国の滴滴出行との業務提携です。

「滴滴」はタクシーなどをスマホで簡単に呼ぶことが出来るという中国の配車アプリです。

第一交通は2018年春をめどにこの滴滴を使って中国人観光客が日本で第一交通のタクシーを配車できるようにすると発表しました。

ただ配車アプリはタクシー業界にとっていわばライバル。

なぜ異例の連携に踏み切ったのでしょうか?

白タク(無許可タクシー)が問題になっているが、滴滴出行は「白タクは絶対に行わない」と宣言したので「それだったら組める」と。

白タク

白タクとは国交省から許可を得ていない企業や個人が営業している無許可タクシーのことです。

沖縄県ハイヤー・タクシー協会が撮影した白タクと見られる車の様子。

沖縄県の石垣島に台湾からフェリーでやってきた観光客が続々と自家用車に乗っていきます。

今、東京や大阪の国際空港などでも白タクが急増しているといいます。

しかも運転手はほとんど中国人だそうです。

成田空港

取材班が実際に成田空港に行ってみると、

ワゴン車が1台停まっています。タクシーと分かるようなものは車体には付いていません。

白タクは観光客に分かりやすいようにゾロ目のナンバープレートが多いといいます。

車の乗降場にはそれらしい車が数台停まっていました。

中国からやってきたという観光客を直撃してみると、

「日本へは旅行で来た?」

はい。

「運転手付きの車を貸し切りで?」

はい。

女性たちはある配車アプリからタクシーを呼んだといいます。

成田空港から新宿への片道の利用で金額は800元。日本円では約1万4,000円です。

日本のタクシーを使った場合は約2万2,000円なので比べるとかなりお得な値段設定です。

しかし乗り込んだ車には許可された自動車であることを示す緑色のプレートはなく、自家用車用の白色のものが付いているほかタクシーであることを示す社名表示灯が付いていません。

これで運賃を取っていた場合、道路運送法などに違反する白タク営業となりますが、ドライバーを直撃すると…、

「ホテルへ車で送るだけ?」

よく分からない。

「直接、お客様からお金をもらう?」

分からない。私はただ派遣された会社員だ。

「観光客を乗せているわけではない?」

観光ですか…聞いてないです。

「タクシーではない?」

タクシーじゃない。

観光目的で利用するにあたって金を支払っているというお客様と、金のことは何も聞いておらず「タクシーではない」と話すドライバー。

白タクの営業を立件するには運賃の支払いを確認する必要がありますが、配車アプリなどを利用すると支払いがアプリの中で行われるため取り締まるのが極めて難しいといいます。

アプリを利用

実際にアプリを利用して予約をしてみました。

区間は羽田空港から六本木まで、金額は約1万2,500円。

するとドライバーからSNSアプリを経由して連絡が…。

待ち合わせ場所として空港内の所定の椅子に座るように指示されました。

合流先にあったものは大きなワゴン車。ナンバープレートは白です。

フロントには名前など身分を証明するものは何もありませんでした。

ドライバーは日本に来て15年という中国人。

「運転手としてどのくらいたつ?」

そんなに長くない。

「免許は日本で取った?」

そうだ、ここで取った。

現在の仕事はアプリで請け負うドライバー業だけだといいます。

「儲かるか?」

小遣い程度だよ。

「今はお客様が多いか?」

最近は暇ではない。忙しい。もうすぐたくさんのお客様が来る。旧正月に日本に来るお客様が多い。

「旧正月は予約が入っているか?」

予約でいっぱいだ。

こうした行為が日本では白タクにあたると思われますが、

最近は日本の記者がこれを取材しているようだ。

「取材をされたくないのか?」

もし取材されたら誰にとっても良くない。もし証拠が揃ったら捕まるかもしれない。

「気をつけないといけない?」

そうだ。

空港から約40分ほどで指定した六本木ヒルズに到着。

ドライバーは去っていきました。

このアプリを運用する中国企業の日本事務所を訪ねてみましたが、中には人はいないようです。

人が出入りしている様子がほとんどありません。

世界ではこうした自家用車を使った白タク営業を事実上認める国が多数存在します。

第一交通はこの流れに対抗するにはライバルである配車アプリと手を組むしかなかったといいます。

田中社長は、

今、アメリカやシンガポールのライドシェアの会社が虎視眈々と日本の市場を狙っている中で全て拒否していくと「日本は遅れている」という議論の中でライドシェアが解禁されるのが嫌なので、タクシーは他業種と組んでいかないと化石みたいになるのではないかと。

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