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[WBS] 【ロングセラー研究所】チョーヤ梅酒紀州

2017年8月4日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

かつては家庭で作るのが当たり前だった梅酒ですが、それを酒製品として全国に流通させたあの企業の戦略に迫ります。

チョーヤ梅酒紀州

1959年、当時の皇太子殿下と美智子様のご結婚に日本中が湧いたこの年、のちのロングセラー商品が誕生しました。

それがチョーヤ梅酒紀州です。

売りはビンに入った大粒の梅の実。

梅酒といえばチョーヤ。

「梅の実は?」

食べる。おいしい。

いつもこれを買う。梅の味がちゃんとする。

家庭で作られていた梅酒を日本で初めて商品化したチョーヤ。

発売から約60年、今も売れ続ける理由とは?

南高梅

和歌山県田辺市、ここで梅酒の原料、南高梅が作られています。

JA紀南の森芳治さん、

ちょうど熟してきている梅が一番梅酒にいいと思う。日に当たって赤くなってクエン酸がたくさん含まれる。

紀州で使用するのは大粒で傷がないものばかりです。

チョーヤ梅酒株式会社

[blogcard url="http://www.choya.co.jp/"]

収穫した梅が運び込まれるチョーヤ梅酒伊賀上野工場。ここでは年間1,500トン以上の梅を加工しています。

中には120基もの巨大な梅酒タンクがあります。

その作り方も大胆です。

飯田雅弘工場長は、

タンクにはホワイトリカー(焼酎甲類)が入っていて梅を洗って入れる。砂糖を入れてふたを閉めたら、あとは何もしない。

なんと材料を入れたら年に数回かき混ぜるだけ。

1年間熟成させると梅酒の原種が出来上がります。しかし重要なのはここからです。

例えばこのタンクは酸味が強かったり、隣のタンクは甘みが強かったり味の個性がある。それを組み合わせて梅酒「紀州」を作り上げていく。

紀州は酸味料や香料で味や風味を調節しません。複数の原種をブレンドすることで味を整えているのです。

チョーヤ梅酒の歴史

チョーヤの前身は1914年に創業したブドウ農家。その後、ワインメーカーとして成長を遂げました。

そんなある日、創業者の金銅住太郎氏がある決断をします。

金銅俊二専務によると、

ヨーロッパではすごい量のワインが作られている。日本でワインを競争しても将来は勝てない。

そこで目をつけたのが古くから日本で親しまれてきた梅酒。

しかし満を持して発売したものの思うように売れませんでした。その理由は、

一番最初は梅の実が入っていなかった。家庭で作る梅酒には実が入っている。「実を入れない梅酒は本物ではない」と言われた。

当時、酒に入れる梅の実にも酒税が課せられたため入れなかったのです。

チョーヤの担当者は国税局に梅の実は酒ではないことを何度も説明しました。その執念が実り、梅の実は課税対象外と認められました。

こうして1959年、日本で初めてビンに梅の実が入った梅酒製品が誕生しました。

1988年にはソーダで割ったウメッシュの缶も、1996年には甘さを控えたさらりとした梅酒を発売。

ジャンルを増やすことで主要な酒製品と肩を並べることとなりました。

チョーヤに見るロングセラーの極意とは?

ロングセラーの極意とは?

味の違う商品でお客様のニーズを捉え、ベーシック商品への循環を促す。

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