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[WBS]JAXA「イプシロン」ロケット!打ち上げ失敗で影響は…

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JAXA(宇宙航空研究開発機構)が現在運用しているロケット。H2Aはこれまで改良型のロケットと合わせると48回連続で打ち上げが成功していて、その成功率は98.1%、ほぼ失敗しないロケットとして世界からも注目されています。

そして、イプシロンもこれまで5回打ち上げが行われ、全て成功してきました。しかし、10月12日に行われた6回目の打ち上げでは以上が発生し、初めて失敗しました。これまで高い成功率を強みとしていた日本のロケット技術。今回の失敗で日本の宇宙開発への影響が懸念されます。

衛星ベンチャーも期待!
日本 イプシロン打ち上げも…

午前9時50分、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられたイプシロン6号。

福岡市内ではパプリックビューイングが設置され、多くの人が集まっていました。

司会者

無事にロケットが打ち上がりました。

JAXAが開発した固体燃料ロケット「イプシロン」。H2Aロケットともに日本の基幹ロケットと位置づけられています。

1回の打ち上げ費用が100億円程度のH2Aロケットよりも小型で費用もおよそ40億円と日本の宇宙ビジネスを促進するロケットとして開発が進められてきました。

今回のイプシロンロケットには民間企業から初めて打ち上げを受注した小型の人工衛星を8基積んでいました。

そのうちの1つを開発したのが福岡のベンチャー企業「QPS研究所」の大西俊輔社長です。

司会者

今の気持ちは?

人工衛星を開発する
QPS研究所
大西俊輔社長

ようやく打ち上がったという安堵と、これからようやくスタートなのでドキドキが勝っている。

司会者

予定通り飛行しているか?

JAXA
スタッフ

そうですね。予定通り飛行中。

打ち上げの様子をライブで配信していたJAXA。しかし、打上からおよそ10分後の午前10時3分。

JAXA
スタッフ

ただいま入ってきた情報によりますと本日の打ち上げが中止となりました。

福岡のパプリックビューイング会場でも何が起こったのか分からない状況に…

司会者

現在、現地の状況・衛星の状況の確認に時間を要しており、大変申し訳ありませんが…

JAXAは今回の打ち上げに失敗し、ロケットに破壊指令を出したことを発表しました。

衛星を搭載していた大西社長は…

人工衛星を開発する
QPS研究所
大西俊輔社長

衛星を打ち上げるのに際して100%と言い切れるものではないので、その何パーセントの中の結果なのかなと。

悔しい気持ちをにじませました。

今回、大西社長がイプシロン6号に搭載したのはSAR衛星。雲を突き抜けるマイクロ波を使ったレーダーで地上をモニタリングし、悪天候や昼夜問わず高精細な画像を撮影することができる衛星です。

人工衛星を開発する
QPS研究所
大西俊輔社長

衛星を打ち上げることでリアルタイムに地上を見ることができる。
これが人々の生活を豊かにするし、安心をもって生活できる世界になる。

例えば東京ドームを撮影すると屋根を透かして中の様子を見ることも可能だといいます。この技術を使い、定点観測などに用いてインフラや街の防災に役立てることに期待していました。

しかし、今回のロケットの打ち上げ失敗で衛星も破壊されてしまったのです。

ナゼ?イプシロン打ち上げ失敗
日本 宇宙開発への影響懸念…

一方、午後1時半すぎにJAXAが会見を開き、今回の打ち上げ失敗について説明しました。

JAXA
布野泰広さん

第2・3段分離前に目標姿勢からずれ、地球を周回する軌道に衛星を投入できないと判断し、地上からの指令破壊を送出した。

イプシロンは3つのエンジンからなる多段式です。1段目と2段目の燃焼までは計画通り実施されましたが、2段目と3段目を分離する段階でロケットの姿勢に異常が発生。打ち上げからおよそ6分半後、破壊する信号を送り、海の上に落下させたのです。

今回の事態を受け、JAXAは対策本部を設置し、ロケットの姿勢を制御する部品を調べるなど原因究明に務めるとしています。

イプシロンの打ち上げ失敗について専門家は…

JAXA名誉教授
的川泰宣さん

イプシロンは1号機~5号機まで制御も完璧にやっていたロケットだから、システム上の設計上の不備があったとは思えない。
原因は部品の問題だと思うが、今後の解析を待ってはっきりしてくる。

しかし、今後懸念されるのが日本の宇宙開発への影響です。

イプシロンはほかのロケットより打ち上げのコストが安く、信頼性も高かったため衛生市場に参加するベンチャー企業などからも注目されてきましたが…

JAXA名誉教授
的川泰宣さん

これまでの実勢から言ってロケット技術は世界の最先端を走っていた。
よそで同じものを見つけてくるのはなかなか難しい。
早く原因を突き止めて立ち直れば日本への信頼は揺るがないだろう。

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