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[WBS]習体制 異例の3期目へ!「次の5年」待ち受ける課題

ワールドビジネスサテライト(WBS)

日本だけでなく世界が注目する中国の共産党大会とはどんなものなのでしょうか。

北京市の中心部、天安門広場に隣接する人民大会堂に各地域などを代表する党員およそ2,300人が集まります。

大会では大きく3つのことが行われます。

一つは5年間の政治報告を行い、今後の政治経済などに関する政策を打ち出します。

そして党の最高規則である党規約を改正します。今回は習総書記の権威をさらに高める内容が盛り込まれる見通しです。

さらに党幹部の人事も行います。大会最終日には党幹部の中央委員およそ200人が選ばれます。その中から政治局員25人、さらに最高指導部の政治局常務委員を決め、そのトップの総書記を選びます。

この最高指導部は多数決で物事が決まるように定員が奇数となっていて、総書記を支える役割とともに次のリーダー候補の重要なステップとして注目されています。

中国の舵取りをさらに5年間担うことになる習政権ですが、今後待ち受ける課題を取材しました。

習体制 異例の3期目へ
統治10年「課題」を成長に

2007年10月、人民大会堂。当時の共産党トップ、胡錦濤総書記の姿がありました。

そして…

小林洋達記者

ポスト胡錦濤の候補として急浮上しているのが上海市の習近平氏です。
上海市代表団の会議は多くのメディアが詰めかけ身動きが取れない状況です。

上海市の共産党トップだった習近平氏。「政権は銃口から生まれる」という中国で中央軍事委員会のトップは中国の最高指導者を見なされ、2010年に習近平氏はこのNo.2の座に就きました。

そして2012年、総書記に選出された習氏は次のように決意を示しました。

習近平総書記

われわれの責任は全党、全国各民族・人民を団結させて率い、歴史のバトンを受け取って、引き続き中華民族の偉大なる復興の実現のため努力奮闘すること。
大衆の生産・生活面の困難の解決に努力し、共同富裕の道を揺るがず歩む。

中華民族の復興という中国の夢を実現するため民衆に寄り添うことをアピールした習氏。

習氏が力を入れたのが「反腐敗」と「脱貧困」です。

特に脱貧困では新たな国家プロジェクトを立ち上げて経済を活性化させるなど企業も巻き込んだ多くの脱貧困政策を実施。2015年の時点でおよそ7,000万人とした貧困人口について習氏は去年、この貧困が解消したと表明しました。

北京に20年住み、現地の実情に詳しい西村友作氏は…

中国 対外経済貿易大学
西村友作教授

中国は人口規模が大きく、都市部と農村部の所得格差が社会問題。
「脱貧困」が進むことで経済力がつくと内需にもつながる。

一方で富の再分配などを担う共同富裕政策のもとで成長を支えてきた不動産やIT大手への締め付けが表面化したほか、厳しい感染対策が成長の足かせになるとの懸念が出ています。

3期目の経済成長について西村氏は…

中国 対外経済貿易大学
西村友作教授

インフラの整備や都市化を進めなければいけない。
世界に先んじている部分はデジタル化。投資や基礎研究にも力を入れている。
将来的な経済のけん引役になると期待している。

どうなる台湾 権力集中の行方

一方、習氏の下で進んだのが軍の改革です。

2012年、就任直前の台湾・金門島。対岸の福建省とはわずか数キロの距離です。

土産店で作っていたのは中国国民党と共産党の衝突で島に打ち込まれたおよそ47万発の砲弾を利用して作る包丁。

台湾側の職人

われわれは冗談で言うんだ。「砲弾は天から降ってきたギフトだ」って。
毛沢東から金門島への贈り物だ。

その包丁を買っていたのが中国人観光客でした。

中国人観光客

誰が何と言おうがお互い同じ中国人だ。われわれだって血を流す衝突は望んでいない。

あれから10年、中国側は台湾の周辺海域でミサイル発射の訓練を実施。金門島周辺の上空でも中国側から侵入したドローンを台湾軍が撃墜するなど緊張が高まっています。

習氏が目指すのが世界一流の軍隊。10年間で国防費は倍増しました。

しかし、中国政治に詳しい専門家は3期目になったとしても直ちに台湾有事は起きないと指摘します。

東京大学大学院
川島真教授

多くの犠牲を伴った場合には政権のダメージ。
習近平自身だけではなく、共産党のダメージになるので確実に成果が上げられることしかしないだろう。

台湾を武力統一できる圧倒的な軍事力を持ったうえで軍事以外の圧力で独立を断念させていくとの見方を示します。

これまで毛沢東や鄧小平など過去の指導者に準じる形で自身の名前が入った思想を党の規約に盛り込むなど権力集中を進めてきた習氏。

川島氏は3期目を迎え、こうした権力集中にゆがみが広がるリスクをどのように調整していくかが焦点だと指摘します。

東京大学大学院
川島真教授

習近平政権は何でも自分のところに集めてしまった政権。
人には任せないで全部党の領導で自分のもとに集めていった政権。
下の世代に政権を渡す前に共産党主導性の強い政権をつくっておかなければならないと思っている。

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