中国の北京で3月5日、国の重要な政策などを決める全人代(全国人民代表大会)が開幕しました。
米中通商摩擦の長期化で景気が悪化する中、どのような立て直し策が講じられるのか注目が集まっています。
一方で通商摩擦の影響が大きいとされる自動車業界ではある課題が浮き彫りになっていました。
全国人民代表大会
北京支局の山口博之記者、
習近平国家主席が壇上に姿を現しました。国内外の難題について最高指導者はどのようなメッセージを出すのか注目が集まっています。
険しい表情を崩さない習近平国家主席から視線が注がれる中、2時間に渡り政府の活動報告を読み上げた李克強首相。
米中貿易摩擦により一部の生産・経営や市場が影響を受けた。
アメリカとの貿易摩擦の影響もあり去年、28年ぶりの低水準となった経済成長率。
今年のGDP成長率の目標は6.0~6.5%とする。
今年は6%台前半まで引き下げましたが目標の引き下げは実に2年ぶり。
景気減速が一層鮮明になった形です。
自動車市場
その影響をモロに受けているのが中国南部にある広東省広州。
外国メーカーを扱う自動車販売店が並んでいますが、ある異変が…
こちらのお店、中にクルマは何台も展示されています。ただ、店内真っ黒で出入口は封鎖されています。
去年11月ごろから閉まっている。理由は分からない。
実は広州では去年、中小規模店を中心に自動車販売店全体の2割ほどが閉店したといいます。
背景にあるのが自動車市場の低迷。
去年、中国の新車販売台数は28年ぶりに前年割れに陥り、消費の減速が鮮明になっているのです。
広州長栄汽車貿易の瀋駿輝副総経理は、
最も重要なのは国内全体の自動車市場。
去年から低迷し、売上げ全般に影響があった。
こう語るのは市内で車の輸入と販売を手掛ける瀋さん。
店全体の売り上げは3割も落ち込んだといいます。
ベンツも150万円以上値下げをしていますが、販売のペースは伸び悩んでいます。
予算は50万元(約835万円)だが、店の車は少し予算を超える。
経済の状況が複雑なので車購入の予算を削った。
車の市場には寒い冬が訪れている。
国にはもっと補助金や減税などの優遇政策を講じてほしい。
こうした声を受けて中国政府は今年から電気自動車などの新エネルギー車に対して消費刺激策として補助金の拡大を決定しましたが、
一部の消費者は補助金があるので新エネ車を選ぶかもしれないが、そのあとすぐガソリン車に戻るだろう。
米中通商摩擦
さらに追い打ちをかけているのが長期化するアメリカとの通商摩擦です。
アメリカからの輸入車にかかる関税は去年7月、15%から40%に上昇。
その後の両国の交渉で12月にはもとの15%に戻りましたが瀋さんは不安を払拭できません。
通商戦争が「休戦」状態にある今は15%だが決裂すればまた40%になる。
予想がつかないが売り上げには必ずマイナスの影響が出ることになる。