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[WBS]国産初「コロナ飲み薬」承認は?コロナ感染15万人超 30府県で最多[塩野義製薬株式会社]

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7月20日、全国で新たに確認された新型コロナの感染者数は15万人を超えて過去最多を大きく上回りました。全国30の府と県で過去最多を更新しています。こうした中、厚生労働省では塩野義製薬が開発した国産初の新型コロナの飲み薬について緊急承認するかどうか判断する専門部会が開かれました。国産の薬は承認されたのでしょうか。

全国感染者 初の15万人超!国産初の治療薬 承認は?

7月20日に都内で新たに感染が確認されたのは2万401人。2万人を超えたのは今年の2月以来です。中でも20代未満が感染者の4分の1を占めるなど若い世代の感染が目立ちます。

一方、東京を上回る感染者が確認されたのは大阪。過去最多となる2万1,976人が新たに感染しました。

大阪府
吉村知事

本日過去最多だが拡大傾向はまだ続くと想定。

ほかにも愛知、神奈川、福岡など30の府と県で過去最多の感染を確認。全国では初めて15万人を超えました。

夏休みを直撃する新型コロナの感染急増。松野官房長官は…

松野官房長官

新たな行動制限を行うのではなく、保険医療提供体制の確保に取り組んでいく考え。

こうした中、コロナの治療薬をめぐって動きが。現在、国内で必要化している飲み薬は軽症や中等症を対象としたアメリカのメルクの薬とファイザーの薬の2つだけです。

国産として初めての承認を目指す塩野義製薬は開発した飲み薬「ゾコーバ」について正式な臨床試験が終わっていなくても必要性が高い薬であれば実用化できる「緊急承認制度」の適用を求めていました。

しかし、7月20日に開かれていた厚生労働省の専門部会では事前審査の段階で制度が適用できる前提となる「有効性が推定できる」ことという要件が満たされていなかったことが分かりました。結局、7月20日時点では緊急承認を見送り、審議を継続することを決めたのです。

なぜ?国産初の飲み薬!「緊急承認」見送り

国産初の飲み薬ですが、現時点での実用化は実現しませんでした。これは何が足りなかったのでしょうか。

厚労省担当
小野鉄太郎記者

今回の結果は塩野義の治験計画が変異株の移り変わりに対応できなかったことが一因だと思います。

実は開発段階で塩野義が行った治験はオミクロン株が広がる前、デルタ株以前の変異株を念頭に有効性を検証するものでした。しかし、その結果としては有効なデータを示すことはできませんでした。

そこで7月20日の審議で塩野義はオミクロン株の特徴である発熱やのどの痛みなどの症状に注目して分析をすれば有効性は推定できると主張しました。専門家の一部にはこれを指示する声もありましたが当初の計画と違う方法で後付けでデータを解析することは「ゴールを動かすことになる」などの批判が相次いで塩野義側の主張は退けられました。

今回、緊急承認は見送られましたが塩野義は正式な臨床試験が終わる11月を待って通常の薬事承認を申請する道が残されています。

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