下町ボブスレー
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2月21日、韓国・平昌。
観客が熱狂する人気競技「ボブスレー」。氷上のF1と言われています。
今回、オリンピック初出場を果たしたジャマイカの女子チーム。
その姿に熱い声援を送る日本人たちが…
そしてもう一人、下町ボブスレーの仕掛け人、細貝淳一さん。
オリンピックの夢を絶たれた今、どんな思いで見つめていたのか?
今、巷には下町ボブスレーに対する厳しい意見が…
向こうの方が成績良かったんだからしょうがないよね。
性能が良くなかったのは事実なので、そこは仕方ないのかなと思う。
しょうがないんじゃないかなって思っている。だって向こうが比べるんだもん。
ネットにも「世界で勝てない」、「粗悪品」、「日本の恥」とまで…。辛辣な書き込みが溢れています。
町工場が夢を託したボブスレーは本当に通用しなかったのか?
下町ボブスレーの「真実」
下町のソリは世界レベルではない。
突然突き付けられた最後通告。
その舞台裏をカメラは捉えていた。
カギを握る1枚の写真。そして極秘で行われていた比較テスト。
当事者が語る驚くべき証言。
またソチの二の舞いか。
なぜ下町のソリは外国製のソリに取って代わられたのか?
下町ボブスレーの真実。
株式会社マテリアル
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羽田空港を抱え、72万人が暮らす東京・大田区。
モノづくりの町をして知られ、住宅街にも工場が点在しています。
マテリアルは航空機や衛星通信機器に使われるアルミ部品の加工を専門に行なっています。
社長の細貝淳一さん(52歳)。
この日はある部品の試作に取り組んでいました。
アルミニウムの塊から削り出した針の太さは100分の1ミリ。世界トップクラスの精度です。
「何の部品?」
言えません。大田区の町工場は作っているものを言うことはできない。
取引先の秘密を守るため自社の技術を公言できないというのです。
何とか町工場の力をPRしたい。
そこで取り組んできたのが、
国産初のボブスレーです。
モノづくりの力を世界に発信することで大田区の町工場全体にビジネスチャンスが広がると考えたのです。
世界戦のような舞台で自分たちの作ったソリで結果を出して、「中小企業の力ってすごいんだよ」というところを見せていきたい。
2011年、仲間に呼び掛けて結成した「下町ボブスレープロジェクト」。
その思いに応えてくれる選手が現れました。
ジャズミン・フェンレイター選手
2017年4月下旬。
大田区を訪れたのはジャマイカ代表のジャズミン・フェンレイター選手。
4年前のソチオリンピックではアメリカ代表として出場。11位の成績を収めました。
その後、父親の母国、ジャマイカの代表に転向。今回、ボブスレーの女子選手としてジャマイカ初のオリンピック出場を目指しています。
新型ソリの開発
4月23日、平昌を目指すために新型ソリの開発に向けた話し合いが行われていました。
従来のソリにジャズミン選手の要望を加えて改良していこうというのです。
ブレーキハンドルが外側に来るようにしてほしいわ。重りが下がるから。
ソリの底に見える鉄は重りです。
ジャズミン選手の提案は重りを好きな場所に積めるようにブレーキハンドルを外側に逃がして欲しいというものでした。
ボブスレーはソリの重さと選手の体重を合わせて325キロ以下という制限があります。
下町ボブスレーではボディや骨組みを可能な限り軽量化。その分、なるべく多く重りとなる鉄板が敷けるようにしていまいた。
こうすることで重心が低くなり、カーブをスムーズに曲がれるというのです。
1号機開発から6年、すでに50キロも軽くしてきましたが、今回はさらなる軽量化を目指します。
早速、設計図面の検討に入った細貝さん。
ジャズミン選手から要望のあったブレーキの部分。1本のパイプを2つに切って重ね合わせることに。
試行錯誤の末、新たな図面が出来上がりました。
下町ボブスレー制作説明会
6月13日、下町ボブスレーの説明会が開かれました。
出来上がった図面を見ているのは大田区の町工場の人たちです。
部品制作は無償。それでも約100社が集まりました。
ブレーキの図面に興味を示した筑波鉄工、今回2度目の参加です。
筑波鉄工の小柳亮介さん、
こういうのは得意なので、ぜひ協力したい。
筑波鉄工株式会社
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ブレーキハンドル制作を請け負った筑波鉄工。
早速、作業に取り掛かっていました。
パイプを曲げる角度は79度。しかし機械に入力したのは78.8度。
ちょうど79度になると思う。
機械のクセを知り尽くしている職人の技。一発で寸分の狂いなく仕上げました。
出来上がった部品は次の職人へ。
小林溶接
小林溶接の小林一男さん、溶接一筋50年のベテランです。
担当するのはブレーキハンドル。
付けにくいなこれ、どうやってやるんだよ。何もないの?弱いよ。
どうしようかな。
と、文句をつけますが、
困ったな。
ここからが腕の見せ所。手持ちの材料で工夫をこらします。
そして見事な溶接の技。
ものの30分で完璧なものに仕上げました。
株式会社マテリアル
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一方、細貝さんの会社でも…
制作するのはソリの骨格をつなぐ部分。
従来の部品にくぼみを付け、さらなる軽量化を図ります。
材料は重さ140キロの鉄の塊。
削ってみましょう。
削る期間はじつに3週間。その間、通常の業務はストップしてしまいます。
徐々にその形が見えてきました。
そして3週間後、
苦労しましたね。
だいぶ時間がかかりました。
従来のものと比べ、20%軽量化に成功しました。
日本のモノづくりを支えてきた大田区の職人たち。町工場の数が3分の1近くまで減少する中、ボブスレー作りはモノづくり復活の象徴だったのです。
1983年 | 9,177社 |
2014年 | 3,481社 |
完成品
各工場から届けられた部品は約200点。
それが一つに組み合わされていきます。
大田区町工場の技術の結晶。
滋賀県米原市の東レ・カーボンマジック。一部の技術はメーカーに頼りました。
カーボン製ボディは型からおこして作り上げるため安くはありません。こうした費用は賛同する企業からの支援金で賄われます。
設計から4ヶ月、完成した下町ボブスレー。
早速、感触を確かめます。
「絶対勝ちます」なんて簡単なことではなくて、世界水準に行ける可能性は非常に高いんじゃないかなという手応えはある。
水門通りまつり
10月初旬、大田区の商店街の祭り「水門通りまつり」。
注目の的はボブスレー。
地元の人達も大いに期待を寄せていました。
いよいよ町工場の誇りをかけた戦いが始まります。
テスト走行
10月26日、韓国・平昌。
この日から1週間、世界各国の選手たちが本番と同じコースで練習を行います。
細貝さんの姿もありました。
ジャズミン選手と久々の再会です。
一緒にいたのはサンドラ・キリアシスさん。ボブスレーの元ドイツ代表でトリノオリンピックでは金メダルを獲得。世界的な選手です。
レジェンドよ。
ジャズミン選手にとってサンドラは憧れの存在。この二人の関係がその後、下町ボブスレーの運命を大きく変えることに…
一堂に会した世界各国のチーム。
細貝さんとジャズミン選手もソリのセッティングに余念がありません。
細貝さん、社長ではありますが根っからの技術者です。
ボブスレーはソリの刃と連動している2本のワイヤーをパイロットと呼ばれる選手が引っ張って操縦します。その動きを自分の好みに合わせて調整。
セッティングが完了しました。
いよいよジャマイカの出番。
下町ボブスレーの新型ソリ、初めてのテスト走行です。
前に乗るのがジャズミン選手。
コースは全長1,376メートル。16ヶ所のカーブを約140キロで滑降。パイロットの瞬時のハンドル操作が勝敗の鍵となります。
タイムは54秒73。
まぁまぁじゃないかな。かなり期待が持てると思いますよ。
テスト走行後のジャズミン選手、
新しいソリは早くてとってもいい感じ。でもちょっと、まだコースに慣れていなくて。
手応えは感じてくれているんだね。
この時点では満足していたジャズミン選手。
北米選手権
オリンピックの出場権をかけた国際大会、北米選手権が開幕しました。
すると11月5日の試合でジャマイカチームはなんと銀メダルを獲得。
その後、やや順位を落しながらもオリンピック出場へのポイントを着実に稼いでいきました。
初日 | 2日目 | |
ウィスラー | 5位 | 2位 |
カルガリー | 6位 | 5位 |
パークシティ | 7位 | 8位 |
しかし、その矢先の12月9日、ドイツで行われたワールドカップ第4戦で思わぬ事態が…
ジャズミン選手はもはや日本のソリではなくBTCのソリに乗っています。
アメリカから送った下町のソリが運送会社のトラブルで大会に間に合わなかったのです。
そこでジャマイカはラトビア・BTC社のソリをレンタルして出場。
結果は23チーム中7位でした。
不審
12月上旬、ジャマイカから緊急連絡が入りました。
ジャズミンが「下町のソリは襲い」と不満をもらしている。これは悪夢だ。
速いソリを作ってくれさえすれば全て解決する。
ジャマイカボブスレースケルトン連盟のネルソン・クリスチャン・ストークス会長がBTC社のソリを引き続き使いたいと言ってきたのです。
僕達のソリを全く会場に持っていかないで、一度もそのコースで試さないというのは僕たちとしては望んでいない。
やっぱり一度でも走ってみて比べてもらいたい。
下町ボブスレーは世界のレベルに達していない。
議論は平行線のまま。細貝さんはこのジャマイカ側の対応を不審に思っていました。
あの時、急遽借りたというBTCのソリにはすでにジャマイカのステッカーがキレイに貼られていたからです。
新車のBTCにステッカーが貼られているのは何でだろうって。
傷一つないソリを提供することは、どこかで決まっていたんだろうなって。
下町のソリは北米選手権で銀メダルを取ったんだよ。
そこには隠された事実が…
サンドラ・キリアシスさん
12月16日、オーストリア・インスブルック。
そこに下町ボブスレーのメンバーの姿がありました。プロジェクトの委員長、國廣愛彦さん。
ジャマイカチームに何が起きているのか確かめに来たのです。
ここはワールドカップ第5戦の会場。
ジャズミン選手です。やはりジャマイカチームが使うのは下町のソリではありません。それでも応援する國廣さん。
結果は21チーム中11位。
レース後、國廣さんは下町ボブスレーの問題点をジャズミン選手から直接聞き出そうとしていました。
BTCは下町に比べて振動が少ないわ。下町は最高速度は速いかもしれないけれど、そこからちょっとずつスピードが落ちてしまうの。
BTCのソリはたとえ私が操縦ミスをしても速度があんまり変わらないのよ。
さらに細かく話を聞いていたその時、
私たちはソリを作っているわけじゃない。パイロットなのよ。いいソリか悪いソリかしか分からないわ。ソリのことはメカニックに聞いてよ。
あなたはソリに乗ったことがないでしょ?まずはその経験が必要ね。
それとボブスレーを知っている人の話をもっと聞きなさいよ。
話に割って入ってきたのはボブスレー界のレジェンド、サンドラでした。
実は12月、ドイツでのワールドカップからジャマイカ代表のコーチに就任していたのです。
振り返ればソリをBTCに乗り換えたのはそのタイミングでした。
取材を進めていくうちにさらなる事実が浮かび上がってきました。
ラトビアのテレビ局がBTCの工場を取材した時の映像、その一角に写真が飾られていました。
BTCの社長と一緒に写っているのはサンドラです。
サンドラはBTCのソリの開発に関わっていました。
ボブスレーの世界ではコーチがチームのソリを決めるのはよくあることだといいます。
腹立ってきた。腹立ってきたのと悲しいのと両方。結構、ちくしょうだよ。
とにかく、いいソリ作んなきゃダメ。
ハネス・コンティさん
翌日、國廣さんが頼ったのはハネス・コンティさん。元オリンピックのオーストリア代表で現在はボブスレー専門のエンジニアです。
早速、下町のソリのどこに問題があるのか実際に乗って確かめてもらいます。
後ろに乗るのはサンドラに「ソリに乗ったことがない」と指摘された國廣さんです。
テスト走行終了後、
下町のソリは反応がいいよ。小回りが利くのでカーブではインコースを滑ることができる。
でもハンドルが敏感なので操縦を誤ると危ないかもな。それだけハイテクなソリだということだよ。
振動?そんなに感じないね、いいソリだよ。
コンティさんの評価は下町のソリには他社にはない性能があるというものでした。
さらに細かいアドバイスも…
ある部品に少し手を加えるだけでさらに良くなると言うのです。
部品の改良
帰国後、國廣さんの報告を受け早速、細貝さんたちは部品の改良に入りました。
急ピッチで進められた作業。普通、1週間はかかる作業を5日で完成させたのです。
エースの西村修社長は、
最後まで努力を惜しまず、いいものを作って提供する。いいものを作れば必ず採用される。
吸い付くように収まりました。マテリアルの鈴木信幸さんは、
精度が良すぎる。
出来上がったのは車軸を押さえる部品です。これまで横回転の動きしかできませんでしたが、縦にも動くように改良しました。
これで滑走中に受ける衝撃を抑えられるというのです。
比較テスト
年が明けた1月15日、ドイツ・ケニクゼー。
ワールドカップが開かれるこのコースで、下町とBTCの比較テストが行われることになりました。
ジャマイカ連盟のダドリー・ストークスさん、
今日は下町のソリで2本滑ってタイムを見てみましょう。
早速、日本から持ってきた新しい部品を取り付けます。
完璧だね。
しかし、ジャズミン選手が下町のソリに乗るのは1ヶ月半ぶり。しかも改良後は初めて。ぶっつけ本番です。
スタート!
すごい当たっているな。
さらに大きく蛇行…
1本目のタイムは54秒37。
お尻がかなり降っていたんで。
フィーリングが変わっているでしょうしね。BTCに乗っている時と今回では。
今回、それが初だからと思いたいけど、あまりにブレすぎ。
滑走の様子を見ると壁にぶつかって失速、そのあとも左右の壁に接触。実はこの日、コースは整氷されていませんでした。
2本目もタイムは伸びず54秒06。
テスト終了後、話を聞こうとする國廣さん。しかしジャズミン選手は口を開こうとはしません。
ジャズミン選手に感想を聞きたいんだけど。
結局、この日行われたのは下町のテストだけでした。
翌日、この日はワールドカップの公式練習の初日。
コースは本番さながらに整氷がなされていました。
各国の選手が競うようにコースに出ていきます。
ジャマイカチームはここでBTCのソリをテストすると言うのです。
今や乗り慣れたソリ。
結果は51秒94。先日の下町のソリより、2秒以上速いタイムです。
条件が異なる中での比較テスト。
結局、この結果が重視され、下町のソリはこれ以降使われることはありませんでした。
しかし、取材を進めているうちに極秘で行われていたあるテストの存在が明らかに。
そのテストを依頼された選手から意外な証言が…
ジャマイカのコーチのサンドラよ。
極秘テスト
1月15日、ドイツで行われた下町とBTCのテスト。
しかし、それぞれの走行は日時も条件も全く違う中で行われていました。
そのテストが行われた日から遡ること17日前、2017年12月30日付けのタイム表です。
下町メンバーが部品の改良を行っていたちょうどその頃、コーチのサンドラは密かにあるメーカーと下町のソリを比較するテストを行っていたのです。
そのメーカーとはオーストリアのワルナー社。BTCとシェアトップを争い、オリンピックで金メダルも獲得しています。
このテストのパイロットを務めたオーストリア代表のカトリン・バイアル選手。普段からワルナー社のソリを使用しています。
ジャマイカのコーチのサンドラから頼まれました。大会での成績がジャズミンと同じくらいで比較するには私がちょうど良かったんだと思います。
テストは助走なしにソリ本来の性能を比較したもの。
結果はワルナー社は55秒65、下町ボブスレーは55秒21。
下町のソリのスピードはワルナーと同じくらいだと思います。違うのはハンドルのかたさね。
下町のソリはハンドルを少し引いただけで敏感に反応するので行きたい方向に行けます。でも、その分うまく操縦しないと不安定になってしまうかもしれません。
テストは同じ日、同条件の中で行われました。
しかし、その結果をジャマイカ側は公表しませんでした。
仲間への報告
2月5日、ジャマイカ連盟から「オリンピックで下町のソリを使用しない」との連絡が入りました。
ジャマイカ連盟の主張は「下町のソリのスピードはBTCより2秒遅い」、そしてソリが「機体検査に合格しない可能性がある」という2点です。
それに対し細貝さんの見解は、
遅いだとか、違反だとか、ということについては私たちは全て証明してまいりました。
最初に「使わないよ」と言われた時には「世界水準ではないソリだから」ということが最初のクレームでありましたけれども、それは数字で証明しました。
「違反のソリだ」と言われることも3回のレギュレーションチェックで全て洗い出しました。
オリンピックに行くための機体検査を1月20に受けました。私も同席しましたが「軽微なところが引っかかっている」と、それはもう完全に今は直っています。
この主張に対し、ジャマイカ側が回答することはありませんでした。
共に戦ってきた仲間への報告。
細貝さんの心は揺れていました。
4年前のソチに続く不採用。その現実がプロジェクトの存続を問う事態に…。
「もう一回、北京五輪を目指そう」と言ったって「ふざけるんじゃない」という話になる。今後の話は今は話せません。
経緯を知ってショックを受けるメンバーたち。
エースの西村修社長は、
6年も一緒にやったので…
いくらいいものを作っても、ちゃんと評価してもらえなくて、実績のないものの壁は厚い。
昭和製作所の舟久保利和社長は、
諦めたくないというのはある。ただ一企業を背負う会社の社長としてどこまでそれができるのか。難しい。
何が今回のプロジェクトで問題だったのか?
もっとやることはたくさんあったのに、目標を僕らはいきなりソチ五輪にした。いきなり平昌五輪にした。成熟を急いでしまっているところはあった。
平昌オリンピック
2月9日、平昌オリンピックが開幕。
その中にジャマイカ選手団と踊るサンドラの姿も…
数日後、ニュースが飛び込んできました。あのサンドラが突然チームを去ったのです。
ボブスレー競技が始まる直前の騒動。
その理由は明らかになっていません。
2月21日、平昌オリンピック。ボブスレー女子2人乗り決勝。
女子チームとして初めての出場を果たしたジャマイカの出番です。
ソリは下町のものではありません。
そのスタンドには声援を送る下町メンバーの姿がありました。
僕達はここに来て「気持ちは変わらないんだよ」と伝えたい。僕たちはいいソリを渡したかったという思いが少しでも伝われば。
いよいよジャマイカのスタートです。
夢のオリンピック、ジャズミンの晴れ姿をスタンドから離れた場所で細貝さんが見つめていました。
ここまで20チーム中18位。
いよいよ最終滑走、細貝さんもゴール地点に到着しました。
最終結果は20チーム中19位。
ジャズミン!
その声がジャズミンに届きました。
下町の皆さんとはいろいろあったけど、それでも彼らはここまで来てくれました。ゴールで彼らがジャマイカの国旗を振っている姿は私の大きな支えになりました。
いろいろな意味で。
いつも家族のように見守ってくれて本当にありがとう。大田区の皆さん。
細貝さんは、
声を掛けて、目を合わせて、彼女の表情が良かった。
下を向いたって何も始まらないから。
いろいろな国が「下町のソリを使いたい」と言えば使ってもらうし、すごく広い展開で考えていこうという気持ちになれた。