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[WBS]円安加速!一時131円台 20年ぶり水準[株式会社野村総合研究所]

ワールドビジネスサテライト(WBS)

4月28日も円安が大きく進みました。円相場は2002年4月以来、20年ぶりに一時131円台をつけました。4月28日だけで2円以上円安が進んだ背景にあったのは日銀の金融政策でした。

20年ぶりの1ドル131円!円安どこまで…「135円」も!?

羽田空港の国際線ターミナル。

4月29日から始まるゴールデンウィークを前に海外に向かう人の姿で久しぶりの賑わいを見せていました。

しかし…

旅行客

ドルのレートがどんどん高くなっている。あまり多くは替えられない。

旅行客

4万円両替し、300ドルちょっと。ドル高すぎる。

2002年4月以来およそ20年ぶりとなる1ドル131円台。

そのきっかけは日銀です。

日銀
黒田総裁

強力な金融緩和を粘り強く続け、経済活動をしっかり支える必要がある。

大規模な金融緩和の維持を決めた日銀。

会合後に公表されるペーパー。中身を見てみるとこんな文言が…

10年物国債金利について0.25%の利回りでの指し値オペを毎営業日実施する。

今年に入ってから徐々に上昇を続けている日本の長期金利。その金利を日銀は0.25%程度に抑えようとしています。

指し値オペとは、もしどんなに国債を売る動きが強まっても日銀が必ず0.25%の利回りで買い取るため、事実上長期金利を0.25%に固定し、それ以上に上昇するのをブロックできるという仕組み。

日銀はこの指し値オペを毎日行うことを決めたのです。

金利の上昇を抑えたい日本、一方で金利の上昇が続いているのがアメリカです。

金利が高いドルに金が流れるため相対的に円が売られます。

実際に4月28日の日銀の発表後、一時131円台まで円安が加速したのです。

SBIリクイディティ・マーケット
鈴木亮取締役

次の明確な節目として135円程度まで上がっても不思議ではない。

一方、黒田総裁は…

大江麻理子キャスター

連続指し値オペの運用の明確化が盛り込まれた。
円安容認と受け止められ、円安を加速させる可能性があるのでは?

日銀
黒田総裁

全体として円安がプラスという評価を変えたわけではないが、過度に急激の変動は不確実性の高まりを通じてマイナスに作用することも考慮する必要がある。
短期間に過度に変動すると先行きの不確実性を高めて企業の事業計画の策定などが難しくなるという面がある。

実際に今年3月までの1年間の決算を発表した企業のトップからは歓迎する声も…

ANAホールディングス
芝田浩二社長

訪日する人にとっては絶好のチャンス、われわれのビジネスにとってもチャンス。
入国制限1日1万人というのは非常にもったいないという思いで見ている。

過去最高益となったのは商船三井。

収入となる船賃はほとんどをドルで受け取るため、円に換算する際に恩恵となります。

商船三井
橋本剛社長

円安にいけばいくほど見かけ上の円ベースの利益は膨らんでいく。

また富士通は来年3月までの純利益の予想を公表。1年前と比べおよそ1.5倍増えるとしています。

富士通
磯部武司CFO

電子デバイスは輸出をするものがかなりあるのでプラスに効いてくる。
デバイスの需要が高いので、それが増えると円安に振れると業績が良くなる傾向がある。

専門家は日銀が円安が円安を抑えようとしない要因の一つに円安圧力が徐々に弱まってくると見ているためと指摘します。

野村総合研究所
井上哲也シニア研究員

アメリカの先行きの景気後退のリスクがかなり意識されている。
米国金融当局も秋、冬以降も利上げを続けるかはかなりクエッションマークだ。
欧州も中国も景気減速とみられている。
アメリカの長期金利が一方的に上がって、円安という状況は変化してくるかもしれない。

一方、円安ですでに悪影響を受けている企業などもあると指摘し、今年の夏までに金融緩和の修正が迫られる可能性もあるとみています。

野村総合研究所
井上哲也シニア研究員

今回の円安はコロナで一番深刻な影響を受けている人たちにまた覆いかぶさっている。
全体的にそこに集中して作用している。小売業や運輸業。
政治としては大事。
特に7月の参議院の選挙前を考えるとそこは配慮しないといけない。

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