国家公務員の配偶者手当廃止
8月8日、人事院の一宮なほみ総裁が安倍晋三総理に手渡したのは国家公務員の配偶者手当廃止などが盛り込まれた給与勧告です。
この勧告では課長級の配偶者手当については今後廃止するとしています。
日本国家公務員労働組合連合会は、この動きに難色を示しています。
日本国家公務員労働組合連合会の笠松鉄兵書記次長は
全国転勤に配偶者も一緒についていく。地方で正規でまともに生活できる賃金が保障されている仕事は多くない。
このような反発があるなかで、なぜこのタイミングで勧告したのか?
人事院給与局、給与第三課の井上勉課長は
共働き世帯が増えている傾向がある。公務員においても配偶者を扶養親族にする職員が減少傾向。
そもそも手当見直しの議論が始まったのは2年前。
配偶者手当が女性の社会進出を阻害しているのでは、という指摘がきっかけでした。
国が率先して手当をなくすことで、民間企業での見直しを促し、女性の社会進出を後押ししたい考えです。
130万円の壁
配偶者手当には130万円の壁といわれることがよくあります。
夫婦共働きで妻の年収が130万円未満の場合には配偶者手当てを支払う企業が多いです。
しかし妻の年収が130万円を超えると、夫の扶養から外れるので配偶者手当も貰えなくなります。
さらに年金などの社会保険料の支払いも発生して手取りが大きく減っていきます。
従って年収130万円を超えないように働く人が多いのが現状です。
これが女性の社会進出を妨げているという指摘があります。
民間企業への広がり
今、民間企業にも配偶者手当廃止の動きが広まっています。
本田技研工業株式会社
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大手自動車メーカーの本田技研工業株式会社。
配偶者手当を廃止する方向で検討をしています。
働き方が多様化するなか、時代に合った給与体系に変える狙いだといいます。
トヨタ自動車株式会社
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トヨタ自動車株式会社も2016年1月から配偶者手当を廃止。
自動車大手2社が相次いで廃止することで、今後他の企業にも広がりをみせていきそうです。
街の声
街の人はどうみているのか?
家族連れは
100万円を超えずに働いている。
配偶者手当がなくなるという議論がある。
それはいかん。困る。
独身女性は
女性が働きやすくなるのであれば、それでいい。
省庁に勤める公務員の男性は
手当がなくなるときつい部分もあるが、いろいろな形で女性が進出している。そういった形になっても仕方がない。
みずほ総合研究所株式会社
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配偶者手当の見直しは、さらなる女性の社会進出につながると専門家は話します。
みずほ総合研究所株式会社、政策調査部の大嶋寧子さんは
2012年から2015年の企業で働く女性は約300万人も増えている。中身を見ると正社員は増えておらず、日本の女性の活躍はゆがみのある形で進んできている。要因の一つに配偶者手当・社会保険の「130万円の壁」がある。配偶者手当の見直しは就業調整をなくして女性が思い切り意欲を発揮できるための必要なステップ。