株主総会が公正に運営されていなかったと認定された東芝。社外取締役によるチェック機能が働かなかったと指摘されました。

その社外取締役というのはその名の通り社外の人が就任します。社内のしがらみにとらわれず独立した立場で経営の監督をする役割を担います。
企業は今よりスキルの高い社外取締役を迎えたいと人材の獲得競争の動きが出始めています。

株式会社イノベーション・インテリジェンス研究所
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6月14日、東芝の記者会見に臨んだのは社外取締役筆頭の永山治氏。

監督機能が果たせたかどうか、今回の件で欠けているところはあった。

監督が不十分だったと述べました。
東芝は社外取締役の制度が整っていなかったのかというと実はそうではありません。
イノベーション・インテリジェンス研究所の幸田博人社長、
東芝はかなり先進的なコーポレートガバナンス(企業統治)体制を200年代前半から入れて、社外取締役の体制も非常に充実していた。

東芝の取締役の大半は社外で導入は進んでいました。

にもかかわらず、チェック機能が働かなかったと指摘します。

日本の企業は内向き志向が強い。

トップに対しては意見が言いにくいとか事前の根回しで取締役会が形式になる。

日本では社外取締役を追いてはいても積極的な発言を躊躇するなど反対意見を述べない名ばかりの社外取締役も少なくないことが問題だと話します。

企業の価値を向上するためにスピード感を上げていくのがポイント。

企業統治を求める投資家の目も厳しさを増しています。
東京証券取引所は「コーポレートガバナンス・コード」と呼ばれる上場企業が守るべき企業統治の行動規範を6月11日から改訂。

最も望ましい水準として企業は独立した社外取締役を3分の1以上置くことを盛り込みました。

こうした中、優秀な社外取締役を確保しようと企業が動き始めています。

パソナ JOB HUBの松下英二さん、
各社が動きを活発化していて対前年比で150%増。

企業の社外取締役に求める条件がより高くなってきたと感じるといいます。

最近引き合いが多いのは全く異なる業界。

メーカー系の会社にIT業界出身のひと、組み合わせでシナジーを発揮していく。

自社の価値を上げるため社外取締役の選び方を大きく転換した企業を訪ねました。

東証一部上場のフォスター電機です。

フォスター電機の成川敦社長、
ソニーのトランジスタラジオに私たちのスピーカーが採用され、大きく飛躍した。

70年以上。音響設備関連に特化してきた部品メーカー。現在は車に搭載されるスピーカーが収益の柱になっています。

しかし、
車載産業も未来永劫続くわけではない。先の未来を含め戦略をどう組み立てるか。

そこに新しいアイデアを入れることが非常に大きな課題だった。

企業統治を高め、長期的な経営の課題に対応するため社外取締役の選び方を変更。

これまでは知り合いや伝手を頼って実績のある人材に依頼してきましたが、今回からパソナに依頼。自社と接点のなかった外部の人材を招き入れることにしました。

将来はわれわれがこの人いいと思ったり、こういう経営理論で大丈夫と思うのが通用しない。

外からもっと違った視点の人財を集めてこないと会社自体が成長しない。

そこで新たな候補者として経営の経験はもちろん、大手電機メーカーでAI事業の実績がある女性が選ばれました。

DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応や女性の活躍といった多様性の推進に向け、活躍を期待しています。

来週の株主総会を経て専任される予定です。
「これまでのやり方では出会えない?」
無理だろう。私たちと別の視点から遠慮なく忌憚ない意見を言ってもらいたい。

こうした専門性を持つ社外取締役の人材は足りているのか、専門家に聞くと…

企業グループに役員を終えた後、何らかのサポートをしている人が多い。

人材が外に出ていかないことに問題がある。

社外取締役の人材は不足しているのではなく埋もれているということ。

社外取締役になれる新たな人材をより幅広く発掘しようという取り組みも。

ビザスクboard事業責任者の草間琢也さん、
ビザスクboardという社外取締役や監査役を紹介するサービス。

ビザスクが半年前に始めた社外取締役などに特化したビザスクboard。
社外取締役になりたい人は自らの経歴や専門分野をサイトに登録。これまで取締役の経験がなくてもITなどの高い専門知識を持つ人を探す企業とマッチングさせる仕組みです。

どういった人が登録しているのか…
登録者の一人、竹内崇也さん、今はベンチャー企業の顧問をしていてこれまで商社やIT企業などで働いてきました。


なかでも、
ツイッターの日本展開を手伝い、ユーザーを100万人を1,000万人にした。

社外取締役を目指した理由を聞いてみると、
会社の意思決定に対して知見を提供できる。

世の中を変えられる面白いチャレンジをしている会社の力になれれば楽しい。

今後、より多様な人材が求められていきそうです。

社外取締役候補にどういう強みがあり、どう経営に生かすか、何をアドバイスしてくれるか、そういったところまで企業が見て、社外取締役の選定をするケースが増えている。
