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[WBS]【イノベンチャーズ列伝】世の中を変える?「値付け革命」!

ワールドビジネスサテライト(WBS)

イノベーションで世の中を変えようと挑むベンチャー企業に焦点を当てるイノベンチャーズ列伝。

モノやサービスの値段の付け方が根本から変わるかもしれません。

ホテル業界に値付け革命を巻き起こすベンチャー。

新たに組むのはJR東日本、新幹線で一体何を?

メトロエンジン株式会社

[blogcard url="https://metroengines.jp/"]

ヘアカットなら1,080円、チキンカツは1枚100円、世の中の様々なモノやサービスに付けられている値段。

その値段の付け方を大きく変えようとしているベンチャー企業があります。

世の中を「価格設定」で変えたい。

彼らが挑む新たな値付け革命。

視線の先にあるのは新幹線!?

ダイナミックプライシング

ベンチャー企業、メトロエンジン。

率いるのはCEOの田中良介さん(34歳)。

従業員はおよそ80人。

半分以上が外国人の技術者です。

「いまこちらの会社ではどのようなサービスをやっているんですか?」

ホテルの客室単価を効率的に設定するツール。

このシステムを利用するホテルは競合ホテルの価格やイベント情報を元に適切な宿泊料金を導き出せるといいます。

その際、用いる手法が需要と供給に応じて臨機応変に値段を変えるダイナミックプライシング。

中でもメトロエンジンはAIの活用で先行しています。

濃い青が2万5,300円、いま現在の価格。水色が下げたほうがいいといっている部分です。赤くなっている部分は上げたほうがいいと。

人間の目だと生じていた機会損失がAIでのダイナミックプライシングで削減されるのは大きい。

その精度の高さが評価され、現在では大手も含め20以上のホテルチェーンで活用されています。

元々は民泊の事業者向けにダイナミックプライシングのサービスを提供していた田中さん。

サービスを拡大させるきっかけは急遽決まった海外の友人の訪問でした。

きっかけ

ジャア、2週間後ニ京都ニ行クカラ泊マル所ヨロシクネ!

オッケー!

どれ、予約、予約…

あれっ?

まだ2週間前なのに、空いている宿がない。

価格が、どの日も一律で安いな…

これじゃあ、すぐ埋まるわけだ。

結局取れたのは滋賀県の宿でした。

田中さんは後日、ホテルを経営する知人に、

もっと需要に応じて値段を変えればいいのに。なんでやらないんでしょうね。

あのさあ…

値段を変えるったって調べることが多すぎて手が回らないんだよ。

ホテル業界が人手不足なのは知っているだろ?

そもそも気づいたときには予約で埋まっちゃってるし。

ホテル側も値段を変えたいのか…

だったらうちのサービスが役に立つんじゃないか!?

ホテルのシステムも複雑なのでチャレンジングではあった。

「待ちに待ったサービスだ」との意見をもらうことが多かった。

需要予測

2017年9月、メトロエンジンはホテル業界向けにダイナミックプライシングの提供を開始。

その元になる需要予測で大きな強みがあるといいます。

一般的にAIで需要予測する際、売り上げや天気予報などを活用します。メトロエンジンはさらに株主総会、大手携帯キャリアの基地局データなど100種類ものデータを参考にし需要予測の精度を高めているのです。

そんなメトロエンジンのサービスの活用が意外なところにも広がっていました。

JR東日本スタートアップ株式会社

[blogcard url="http://jrestartup.co.jp/"]

この日、田中さんが訪れたのはJR東日本グループのジェイアール東日本フードビジネスのオフィス。

新幹線やまびこの上下線の混雑状況が見られる。

次なるターゲットは新幹線。

JR東日本スタートアップの阿久津智紀さんは、

羽生結弦さんが仙台でイベントをして直前に人が来ると分かり急に増発した。

メトロエンジンならホテルの状況や近隣情報からいち早く検知できる。

我々の困りごとを解決する手段ではないか。

JR東日本グループを手を組むことで新たに活用できるのは駅のユーザー情報。

スイカなどのビッグデータから精度の高い予測が期待できるといいます。

新幹線の混雑予測をお客様に見せる画面の開発も進められていました。

色が濃い部分は混雑、色が一番薄い部分は空席が多いと予測しています。

ここをもう少し詰めてギュッとできますか?

レイアウトをさらに調整し、12月にはJR大宮駅で披露する予定だといいます。

さらに将来に向けて見据えているのが新幹線のダイナミックプライシング。

値上げは想定していませんが、需要が少ないと予測した列車は割引切符を出すなどして実質的に値下げすることも視野に入れているのです。

効率を高めることで値段を下げてお客様に還元できれば、必然的にお客様は空いている方に流れ帰省時の混雑緩和にもつながるのでは。

新幹線にも値付け革命をもたらすかもしれないダイナミックプライシング。

世の中を大きく変える可能性を秘めています。

需要が供給を上回るケースや供給に上限があるものにはダイナミックプライシングが応用できる。限りなくアプローチしたい。

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