
地域で奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は山口県山口市からです。農業生産組織として日本で初めて株式公開をした企業を取材しました。
エサからつくるこだわりの養鶏
昔から米作りが盛んな山口県。
収穫をおよそ1ヶ月後に控え力強く根を張った稲が一面に広がっています。この田んぼ、ちょっと普通とは違います。
農家
海地博志さん

除草剤は使うけど減農薬。
穂が出てからは一切農薬をやらない。
番組スタッフ
このお米、おいしい?

農家
海地博志さん

人間が食べてもおいしい。
人間じゃなくて全部、鶏のエサになる。
私どもが契約している秋川牧園の企業方針。
やりがいがある。
エサとなる米からつくる秋川牧園。一体どんな企業なのでしょうか。
山口市の郊外、山と田んぼに囲まれた風見鶏と時計台が目につく一軒家風の建物。ここが秋川牧園の本社です。
従業員は300人足らず。
ですが、「よい人生によい食べ物」をモットーに養鶏を中心とした農業で日本で初めて上場した企業なのです。
秋川牧園の2022年3月期の売上高は60億円を超え、純利益1億6,500万円に上ります。
敷地総面積は5万平方メートル、養鶏以外にも鶏肉などの加工工場や出荷センターがあり、飼育から販売まで一貫して扱っています。
社長の秋川正さんです。
秋川正社長

人の健康、命に直結する食べ物は間違ってはいけない。
安心で安全な食べ物じゃないといけない。
秋川牧園のこだわり①【エサ作り】
こだわりはエサ作りから始まります。
秋川正社長

鶏自身をいかに健康に飼うか、ヒヨコの時から出荷まで薬を一切使わない。
一般的には動物性の原料、肉骨粉がよく使われるが秋川牧園ではナチュラルなおいしい鶏肉を作りたい。
動物性の原料は一切使わない。
植物性のエサをオリジナルで開発して与えている。
1980年代、抗生物質などの薬品がエサに混ぜられることが多かった時代。無投薬飼育に世界で初めて成功。さらに動物性のエサは農薬などが肉や卵に残留するリスクがあるといわれるため植物性のエサだけを使うことに。結果、肉に雑味がなく風味も良くなったといいます。
植物性のエサの原料となる米は山口県内の23の農家に栽培を委託。そのエサで育った鶏のフンを肥料として農家に提供することで安全を管理する地域循環型にしています。
秋川牧園のこだわり②【育て方】
育て方にもこだわりが。
秋川正社長

鶏は非常に繊細な生き物。ストレスに対してて弱い。
スペースをしっかりとってあげるのは鶏の健康にとって大切なポイント。
効率よく鶏肉を生産するため1坪におよそ50羽の鶏を入れるやり方が一般的ですが、秋川牧園では35羽を超えないようにすることで鶏が歩き回れるスペースを確保しています。
そして十分に運動させて通常より半月ほど長い60日間かけてじっくり飼育。
また出荷後は3週間ほどかけて鶏舎内を殺菌、その後に初めて新しいヒヨコを入れます。
秋川正社長

効率的ではないかもしれないが効率よりも食の安心、品質という事を大切にしている。
鶏肉だけでなく野菜も無農薬で育てています。
こうした肉や野菜は販売するだけでなく社員食堂にも提供。日替わりメニューはなんと300円です。
従業員

健康的な食材をたくさん食べられてうれしい。
そして秋川正社長も利用していました。
秋川正社長

いただいております。
加工も自社で行います。もちろん添加物は使いません。東日本大震災以降は放射性物質が含まれていないか検査するようになりました。
秋川牧園の製品は例えば鶏もも肉で倍近くとやや値は張りますが、リピーターも多く直販部門では5年間で45%増の16億円とコロナ禍でも業績を伸ばしています。
こうした安全への取り組みなどで今年、農林水産大臣賞を受賞。肉や野菜を自社で生産し、加工、そして販売まで一貫して行い、経営の近代化を進める唯一の企業として評価されました。
2019年からは香港の高級スーパーで鶏の販売を始め、海外にもシェアを伸ばしています。
秋川正社長

山口県が個性ある地域をつくろうと思ったときに大きい可能性が食べ物・農業にある。
山口を農業や元気な食の基地にしていきたい。