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[モーニングサテライト]「大浜見聞録」ワイヤレス給電の実力どこまで?[エイターリンク株式会社]

モーニングサテライト

大浜見聞録です。

今回は以前取り上げしたスタートアップ企業のその後です。2年ほど前にデータリンクというワイヤレス給電の技術を持ったスタートアップ企業を取り上げました。

ワイヤレス給電はあらためて何かというとケーブルを使わずに無線で電波のように電気を送る技術ですが、当時はまだ開発資金集めに四苦八苦している真っ最中ということで大変でしたが、この番組の後に大手企業を含む1,000社以上からオファーが来たということです。

そのワイヤレス給電ですが、その後どこまで私たちの生活にいま近づこうとしているのか、これを取材してきました。

ワイヤレス給電化加速!

ビルマネージメント

大浜平太郎キャスター

東京・大手町にあるこちらのビルですがワイヤレス給電の実証実験が始まっているということです。
一体何ができるのか覗いてみます。

実験が行われているのは三菱地所のイノベーション支援施設「Inspired.Lab」です。

ここに竹中工務店がワイヤレス給電のためのさまざまな仕掛けを施しています。

案内されたのは多くの人が利用するミーティングスペースです。

竹中工務店
技術研究所 未来・先端研究部
松岡康友主任研究員

ワイヤレス給電で温度などをセンシング(計測)して空調機を動かす実験。
オフィスワーカーのビルに対する一番多い不満が空調

部屋の温度を調整する空調設備。現状では室温を測るセンサーがエアコン本体など人から離れた場所にあり、必ずしも快適な温度にはなっていないといいます。

実験では温度センサーを人に近い場所に取り付け、快適な室温管理を実現しようとしています。

センサーはテーブルの裏にありました。

竹中工務店
技術研究所 未来・先端研究部
松岡康友主任研究員

天井にある電波その送信機、これが電力を送信します。
これでテーブルの裏の温度センサーを動かしている。
このセンサーの情報をもとに空調機を動かす。

天井にある送信機から1ワットの電力をマイクロ波で送っています。

センサー側は受け取ったマイクロ波を電力に変換して使用。10メートルの範囲で数ミリワットの電力になります。

竹中工務店
技術研究所 未来・先端研究部
松岡康友主任研究員

壁の中の配線を最小限にできる。
配線があるため空間を自由に使えない。
ワイヤレス化によってフレキシブルな建築空間を実現できる。

大浜平太郎キャスター

実用化は?

竹中工務店
技術研究所 未来・先端研究部
松岡康友主任研究員

もしかしたら近々発表できるかも。

ビルを所有する三菱地所もワイヤレス給電でビル管理の質が大きく変わると期待しています。

三菱地所
xTECH運営部
平田慶幸ユニットリーダー

ワイヤレス給電でより多くのセンサーを付けることでビルの隅々まで把握できる。
より豊かなビルの管理・運営につながる。

このワイヤレス給電の研究・開発をしているのがスタートアップ企業のエイターリンクです。

エイターリンク
岩佐凌COO

広くワイヤレス給電が使える社会を目指す。
今、コードでの給電よりもワイヤレス給電の価格が高い。
6Gのタイミングで技術的転換を起こしたい。
ワイヤレス給電がコードでの給電よりも価格が安くなれば多くの人がワイヤレス給電を自然に使う社会になる。

セキュリティーサービス

エイターリンクの技術を使った機器の開発はこんな企業でも。

セキュリティーサービスを展開する綜合警備保障のアルソック。

訪ねたのは研究所「セキュリティ科学研究所」の一室「シールドルーム」です。

防犯センサーのワイヤレス給電化に挑戦しています。

これはドアなどに取り付ける開閉センサー。留守中にドアが開くとアルソックの監視センターに異常を知らせます。

現状ではセンサーに電池を内蔵していますが…

綜合警備保障
セキュリティ科学研究所
髙谷夏海さん

電池交換をするのはアルソックの社員。かなりの手間がかかる。

電池を抜いてワイヤレス給電の実験を見せてもらいました。

綜合警備保障
セキュリティ科学研究所
澤口晴彦所長

サービスの幅が広がる。
電池交換前提でセンサーを付けられない場所にセンサーを取り付けることが可能。
高齢化社会の中での見守りサービスの端末の充電にも活用。

近い将来、身近になりそうなワイヤレス給電ですが、ここで平太郎のへぇ~ポイント「スマートフォンの充電は本命ではない」。

スマートフォンの充電は本命ではない。

エイターリンク
田邉勇二CTO

技術的には可能だが携帯電話は高い電力が必要になる。
送信機から高い電力を送らなければならない。
電子レンジは高い電力で加熱するが、スマホ充電の場合、電子レンジの10~100倍の電力を送る必要がある。
人体に影響が出てしまうため不可能。

医療 体内に送電

ワイヤレス給電の前提はあくまでも小さい電力です。

エイターリンクがいま大きな可能性を感じているのがメディカル分野。

エイターリンク
田邉勇二CTO

例えば心臓のペースメーカーは大きいものを身体に埋め込んでいる。

大きなバッテリーを搭載する必要がなくなり、5mm程度まで小型化。カテーテルでの人体への埋め込みも可能になります。

使い道は心臓だけではありません。

名古屋大学の平田仁特任教授は痛みの緩和など神経に関わる治療にもワイヤレス給電が有効だと考えています。

名古屋大学大学院
個別化医療技術開発学
平田仁特任教授

イメージしやすいのは神経痛。
神経が異常に興奮しているので、その興奮を電気的に干渉させる形で治療。
神経は深いところにある。
脊椎の周辺や太ももの奥など、信号を送って電気を発生させる。エイターリンクの技術がこれからの主流。

開発加速のためエイターリンクの次の目標は株式上場です。

エイターリンク
岩佐凌COO

数十億単位でかかる。
上場で調達した資金をメディカル分野につぎ込んでマーケットを独占する気で取り組む。

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