
2021年度、国が全国およそ1万2,000の商店街に調査をしたところ、回答があったうちほぼ半数が今後空き店舗が増加する見通しとしました。そうした中、苦境の商店街を活性化しようとする新たな取組が注目されています。逆転の発想を取り入れたユニークな仕掛けを取材しました。
"お宝物件"を掘り起こせ!
逆転の発想で商店街に活気を
名古屋駅から歩いて15分ほどの場所にある新大門商店街。
昭和の時代、商店街は地元の人たちで賑わっていましたが、およそ200あった店はいまや4分の1以下に。空き店舗や更地が目立っています
そんな新大門商店街に8月、新しい店「Teapick」がオープンしました。店内には多くのお客さんが…
お目当ては選び抜かれた茶葉で注がれる紅茶。連日、多くのファンが訪れます。
お客さん

前は暗かったけれど、新しい店ができて商店街が明るくなってきた。
Teapick
田中耕平さん

これは"The夏摘み"。
この店をオープンしたのが田中耕平さんと青山祥さん。
Teapick
青山祥さん

名古屋駅から近い、立地条件がすごく大きかった。
以前が飲食店だったので、僕らが求めていた箱の大きさ、キャパシティーがしっくりきた。
半年間探して出会った店舗、実はこの物件の大家さんは空き家にも関わらずおよそ10年間、物件情報を公開していませんでした。
それなのになぜ2人は今回借りることができたのでしょうか。
Teapick
青山祥さん

物件は全然知らなくて、さかさま不動産から話をもらっ時に初めて「こんな所があるんだ」からのスタートでした。
2人と大家さんをつないだのが「さかさま不動産」を運営する水谷岳史さん。実は商店街では良い物件があっても大家さんがなかなか貸したがらない事情があるといいます。
「さかさま不動産」を運営する
On-Co
水谷岳史社長

大家さんは誰にでも貸したいわけではない。
近所の人に自分が貸した人が迷惑をかけてしまうかもしれない。
ちょっとでもネガティブなことがあると大家さんも貸すという行動まで至らない。
そこで大家さんが貸してもよいと思える仕組みを水谷さんは考えたのです。
通常、大家さんが不動産仲介会社に賃料などの物件情報を公開して借りてを募ります。
一方、水谷さんが2年前に始めたさかさま不動産の仕組みは逆の発想。借りてが実現させたいことや思いを大家さんに伝えます。そうすることで借りてがどんな人なのか分かるため安心して物件を貸せるというのです。
さかさま不動産は仲介手数料を取らず、自治体からの委託料などで運営しています。
さかさま不動産のホームページ。
「もっと紅茶を、もっと日常に変える紅茶屋さん」。2人も紅茶への熱い思いを載せたところ、大家さんの目に止まり、理想の物件を借りることができたのです。
「さかさま不動産」を運営する
On-Co
水谷岳史社長

大家さんがたまたま紅茶が好きだったらしく、「彼らだったらいい」となって借りられた。
紅茶の店のすぐ近くに去年12月にオープンした駄菓子屋もさかさま不動産を通じて出店しました。
お客さん

これは?
店主
あいざわけいこさん
40円よ。
この辺が10円だよ。

子どもの居場所を作りたいという店主のあいざわさんの思いが大家さんに伝わったのです。
さかさま不動産によって眠っていた物件が動き出し、商店街にも変化が…
新大門商店街振興組合
加納栄志理事長

さかさま不動産が入ってくれて空き店舗が埋まる機運というか、歯車がくっと動き始めた。
人口1万8,000人の長野県辰野町。商店街は空き店舗が多いにも関わらず入居の募集を出している物件はほとんどありません。
○と編集者
赤羽孝太代表

典型的なシャッター商店街。
辰野町出身の赤羽さん。地元で不動産業などを手掛けていますが、さかさま不動産とタッグを組んでこの夏から商店街の活性化へ乗り出しています。
現在、さかさま不動産には夢を実現したい借り手が130人以上登録。全国に広がり始めています。
赤羽さんが目をつけたのは商店街の一角にある空き家。シェアオフィスなどとして活用できるのではないかと、この日見せてもらうことにしたのです。
○と編集者
赤羽孝太代表

さかさま不動産で何かやりたい人をつなげていく仕組みを始める。
大家の桑澤利和さん、過去に物件を借りたいという人はいましたが、その度に断っていたといいます。
物件の所有者
桑澤利和さん

借りたら最後、しっちゃかめっちゃか。
隣近所どんちゃん騒ぎ、それでは困る。
何か企業を起こす人が借りてくれるのが一番良い。
良い人がいれば物件を格安で貸し出してくれることになりました。
貸し手と借り手との思いをつなぐ逆転の発想が商店街の活気を取り戻すカギになるかもしれません。