反政府勢力タリバンによる全土制圧で混迷しているアフガニスタン情勢。
タリバンの支配から逃れようと大量の市民が飛び立つ飛行機に群がるなど異常事態が続いています。
アフガニスタンをめぐり牽制し合うアメリカと中国の新たな動きも出ています。
東京大学大学院総合文化研究科
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タリバンによる首都カブール制圧後、初めて公の場に現れたバイデン大統領。
国益にかなわない戦いを無期限に続ける過ちを私は繰り返さない。
半永久的にアフガンに駐留するのはアメリカの国益にかなわない。
タリバンによる全土の制圧は「想定外の速さだった」と見通しの甘さを認めつつもアメリカ軍の撤退については「後悔していない」と自らの判断を正当化しました。
一方、アフガニスタンでは17日、タリバンが声明を発表。
市民に対して「大赦を宣言する」として通常の生活に戻るよう求めました。
女性の政治参加を促す方針を打ち出すなど、これまでとは異なる柔軟な姿勢を示すことで市民を懐柔しようとしているとも見られています。
7月にいち早くタリバン幹部と会談をした中国は…
中国外務省の報道官。
アメリカが軍事介入の政策を真剣に見直し、他国への介入をやめることを望む。
中国の王毅外相は16日にアメリカのブリンケン国務長官と電話で会談。
アフガニスタンについて「アメリカと意思疎通をしながら情勢の軟着陸を実現したい」と表明しました。
ブリンケン国務長官もロシアのラブロフ外相と電話会談。アフガニスタンの情勢安定に向け対話を続けることを確認しました。
アフガニスタンをめぐり米中露の3カ国の思惑が入り乱れます。
アフガニスタンで存在感を示した中国。
中国の政治に詳しい東京大学、川島真教授は中国の思惑をこう説明します。
最高のシナリオはタリバン政権には中国が一番発言力がある状態でつぎ込む金や資源は多くないのが最高。
決して自分がリーダーとは言わず、タリバンに恩を売って、治安を守れと。
国際社会の中で主導権を握りたい一方、前面に出たくないというのが中国の本音だといいます。
その背景にあるのが…
新疆ウイグル自治区、内政不干渉問題、パキスタン問題、この辺をどう処理するか。
国内ではイスラム教徒が多い新疆ウイグル自治区の統治問題を抱えます。
また良好な関係を築くパキスタンをタリバンへの対応をめぐって刺激したくないとう思惑もあると指摘します。
アフガニスタンが混乱するのは中国も困るけれども、火中の栗を拾い、一番面倒くさいことやるわけでもない。
安定的なアフガニスタンを得て、新疆ウイグル独立運動もコントロールしてくれるタリバン政府ができ、中国がお金を投資しなくても安定できる国際社会の枠組みができるのがベスト。
かつパキスタンの関係も悪くならない答えがあれば最高。
中国は牽制し合いながらも、アメリカ、そしてロシアと協調していくこともあると見ています。
中国はアメリカ、ロシアと組んで調整を始めるのではないか。
米中対立と言われるが、アフガニスタン問題では米中露が協調する話になるかもしれない。
アメリカが抜けて空白になり、中国が出ていく単純な話ではない。