シリーズで伝えている「知っておきたい!病気予防の最前線」。
今回は歯周病です。最近の研究で歯周病が進行する新たな原因が分かってきました。
日常生活でできる予防法を取材しました。
歯周病
街の人に歯の悩みを聞いてみました。
歯茎が腫れてなかなか治らない。
「よく磨いて」と歯科医に言われる。
歯茎が痛いことがあり痛いと余計に押してしまう。
歯の根元が腐っていて、弱くなっているのでグラグラする。
多くの人が持つ歯の悩み。
それは歯周病のサインかも知れません。
実は30代以上の3人に2人は歯周病にかかっているといいます。
歯周病菌は人から人へ感染する細菌。
磨き残した食べかすなどを餌に繁殖することで歯茎に炎症が起こり出血します。
進行すると歯の土台となる骨が溶け、歯が抜けてしまいます。
歯を失う原因で最も多いのが歯周病で、およそ4割を占めています。
鶴見大学歯学部の花田信弘教授、
非常に怖い病気で一度骨が溶けると元に戻すことは今の技術ではできない。
この男性は60代の頃から歯周病で歯が抜け始め、今では残った歯はわずか3本。
総入れ歯に近い状態です。
話しにくい。今も発音がおかしいと思う。
味も違うし、かたいものも食べられない。ステーキもかたいものは食べられない。
歯周病は心筋梗塞や脳梗塞、認知症などとの関連性も指摘されています。
重大な病につながる可能性もある歯周病。
いまからやっておくべき最新の予防法を取材しました。
鶴見大学・鶴見大学短期大学部
[blogcard url="https://www.tsurumi-u.ac.jp/"]
鶴見大学歯学部。
歯周病研究の第一人者、花田信弘教授を訪ねました。
最新の研究で歯周病の新たな原因が分かってきました。
そのカギとなるのが口内フローラ。口の中の善玉菌と悪玉菌のバランスです。
口内フローラは700菌種もの細菌のかたまりで、そのバランスが重要。
悪玉菌が増殖している状態が歯周病を進行させる。
善玉菌は歯周病菌などの悪玉菌が増えすぎないように抑制する働きをしています。
正常な状態では善玉菌と悪玉菌とのバランスが一定に保たれていますが、唾液の減少や不十分な歯磨きなどで悪玉菌が過剰に増殖すると口内フローラのバランスが乱れ歯周病になってしまうのです。
みらいクリニック
[blogcard url="https://mirai-iryou.com/"]
口内フローラのバランスを保つにはどうすればいいのか?
その方法の1つを考案したのが福岡にあるみらいクリニックの今井一彰医師です。
唾液の中には免疫活性物質が多く含まれるため、十分な唾液が出ることで口内フローラが改善する。
歯周病を予防するには唾液を増やすことが重要だといいます。
その方法は、
あいうべ体操をやってみましょう。
あ、い、う、べ。
これはあいうべ体操という口の体操。
顔の周りには唾液腺と呼ばれる組織があります。
この体操を行うことで唾液腺が刺激され唾液が多く出るようになり、そこに含まれる免疫成分が悪玉菌の増殖を抑制するといいます。
朝昼夜にそれぞれ10セットずつ行うと効果的だといいます。
半年続けた人は5分間に分泌される唾液が2ml増えたという研究結果も得られています。
国立大学法人岡山大学
[blogcard url="https://www.okayama-u.ac.jp/"]
悪玉菌を繁殖させないためには歯茎を鍛えることも重要です。
岡山大学の渡邊達夫名誉教授が考案したのが「つまようじ法」と呼ばれる歯磨きの方法。
歯周病予防の歯磨き方法で「つまようじ法」がある。
歯茎を強くして歯周病を予防する方法。
つまようじを葉と葉の間に差し込むように歯ブラシの先端を押し込み、反対側まで毛先を通す。
1ヵ所につきおよそ20秒間、この出し入れを繰り返します。
下の歯を磨く時は歯ブラシを下から上の方に向け、上の歯は上から下に向けると毛先が歯と歯の間に入りやすくなります。
こうして歯茎を刺激することで細胞が増殖し、歯茎からの出血が止まります。
実は歯周病菌は血液を餌にするため歯茎からの出血が止まると歯周病菌の増殖を抑えられるのです。
岡山大学の調査ではつまようじ法を行った20人の歯周病患者の出血量が1ヶ月でおよそ20%減少しました。
30代以降から歯周病が始まるが、予防のため丁寧な歯磨きを行う。
歯周病にならないように予防して自分の歯を一生もたせると一生自分の歯で食べることができる。