地域の奮闘する企業を取り上げる「輝く!ニッポンのキラ星」。
今回は愛知県碧南市からです。
長年の鋳物技術を生かし新たなヒット商品を生み出した企業を取材してきました。
石川鋳造株式会社
[blogcard url="https://omo-pan.net/"]
愛知県名古屋市にある精肉店「肉のスギモト 本店」。松阪牛をはじめ選りすぐりの肉を販売する老舗です。
2階がレストランになっていてさまざまな肉料理を提供しています。
「何か焼き方に特徴はある?」
肉のスギモト本店の伊東健調理師。
肉を焼く専用のフライパンを使う。
うまみを閉じ込めシューシーに仕上がる。
熱を伝えやすく、一度蓄えた熱を逃がしにくい肉専用のフライパン。
鋳物のよさを生かし厚くて重いけど肉が美味しく焼けるのです。
市販のフライパンはほとんどが軽く作られていますが、このフライパンは1キロも重く作られています。
2017年に発売し、販売は累計5万枚。金額で8億円を達成。
愛知県の南西部に位置する碧南市。臨海工業地帯として栄えてきたこの地にフライパンを製造する企業が。
1938年に創業した石川鋳造。従業員41人、売上高は10億円に上ります。
水道部品のバブルなどの鋳物部品が主力で毎月200トンもの鋳物を生産しています。
石川鋳造の石川鋼逸社長。
これが"おもいのフライパン"。
鉄の端材を溶鉱炉に入れ1,500度まで熱し、溶かします。
フライパンの方の小さな穴の中に溶かした1,500度の鉄を入れる。
きれいに素早く的確な場所に入れる事がきれいいにつくる要因の一つ。
鋳物の型に溶かした鉄を一定のスピードを保ちながら注ぐ。
これは出来上がりにムラのない質の高い鋳物を作る最も熟練の技術が必要な技。
そこかえあベルトコンベアで移動しながら2時間ほど冷まします。
型から取り出し後、ショットブラストという機械で鋳物に付着している砂を除去しキレイにします。
あとは企業秘密になるがフライパンに熱をかける窒素処理の工程。
一般的なフライパンに行われるフッ素加工は数年で効果がなくなることが多いのですが、自社の製品に合った温度で鉄に窒素を染み込ませ失火処理をすることにより油なじみをよくし焦げにくく錆びづらい特殊なフライパンを作ることができるのです。
石川鋳造は当初、自動車関連部品などの鋳物部品を主軸にしてきました。
しかし、リーマンショックで自動車関連の需要が一気に冷え込み、注文は激減。
そこで鋳物の技術を活かせるものとして肉を焼く専用の重いフライパンの製造を思いつきました。
世界一肉がおいしく焼けることを目指し、重いフライパンということで"おもいのフライパン"と名付けた。
期間3年をかけ1,000個もの試作、最適な厚さと重さを試行錯誤し、肉に十分な熱を伝えつつ重くなりすぎない厚さ、さらに取っ手の部分でも本体との重さのバランスを考えました。
熱を逃がす構造で手にフィットするように設計され、毎日使っても疲れないように1ミリ単位で角度を調整するなど工夫をこらして作りました。
去年は生産数を上げるために早急な資金回収が見込めるクラウドファンディングを行い、2,200万以上を獲得しフライパン部門歴代1位の新記録を達成。
現在でも3ヶ月待ちの人気商品となっています。
さらにおうち時間が増える中、家庭で美味しく肉を食べてもらいたいという思いでサブスクを開始。
会員数も1,000人以上に伸び、取引する肉も拡大し、松阪牛をはじめ沖縄の石垣牛も調達できるように。
鍋型の調理器具も開発して、発売の準備をしている。
私たちが作った調理器具を世界にどんどん発売していきたい。