東京地下鉄株式会社
都内にある東京メトロの車両基地「新木場車両基地」。
ここに一台の宅配便のトラックが停まっています。
トラックに積まれていた荷物は次々に鉄道車両の中に運ばれていきます。
実は9月9日から東京メトロと東武鉄道株式会社はヤマト運輸株式会社ばど大手物流会社3社と共同で旅客用の車両を使った貨物輸送の実証実験を始めました。
東京メトロの小泉博さんは
地下鉄を使った輸送が有効か検証したい。実現できればさまざまな課題の解決につながる。
実証実験
現在、物流会社は荷物を拠点から拠点までトラックを使って運び、そこから家庭などへ配達しています。
しかし今回の実証実験はというと、まず物流会社は東京・江東区にある東京メトロの車両基地に荷物を運びます。
その後、荷物は回送列車によって埼玉・和光市にある車両基地まで運ばれ、そこから近くの物流拠点まで輸送されます。
さらにこんな実験もあります。
車両基地に搬入された荷物を都心部にある途中駅で下ろし、地上まで搬送しようとするものです。
事業化の時期は未定ですが、この仕組みが運用されれば、荷物は駅から直接、家庭などへ運ばれることになります。
実証実験は9~10月にかけて行われ、荷物を運ぶときの安全性や、事業の採算性などを調べます。
お客様にもメリット?
日本郵便株式会社の石橋亮さんは
列車の定時運行により安定したお客様へのお届けができるのではないか。
ヤマト運輸株式会社の佐野出さんは
2020年のオリンピックは都内の道路規制が進むと思う。取り組みが実現できれば解決策の1つとなる可能性がある。
北越急行株式会社
地方でもモーダルシステムへの取り組みが活発になり始めています。
新潟県の北越急行株式会社は佐川急便株式会社とタッグを組みました。
2017年の春から宅配便を鉄道で輸送する事業に乗り出します。
ここに佐川急便の荷物が2つ並ぶ予定。
既存の車両を使用して、乗車率が低い時間帯に荷物を積み込みます、
2015年3月の北陸新幹線の開業に伴い運輸収入の9割を占めていた「特急はくたか」が廃止となり、北越急行は2016年3月に営業赤字に転落しました。
そこで宅配便の輸送に参入するところで、新たな収益源を確保する狙いがあります。
北越急行株式会社の磯部正昭取締役は
少しでも荷物を運び収入になれば。
佐川急便株式会社
佐川急便株式会社にもメリットがあるといいます。
積雪が激しい南魚沼周辺、鉄道ならダイヤ通りの運行が期待できます。
佐川急便の橋本譲営業部長は
積雪によつ渋滞など、遅延リスクは回避する。
地域の特性に応じた輸送ノウハウを持つ、地方の鉄道会社。
今後、物流業界で存在感見せられるでしょうか。
鉄道貨物輸送
鉄道貨物輸送の普及には大きな課題があると指摘する人もいます。
株式会社ライトレールの阿部等社長は
荷主は安くて便利に運搬できる方を選ぶため車側に流されてしまっている。
現状の鉄道輸送ではトラック輸送に運送料で勝てないといいます。
なぜなんでしょうか?
トラックによる輸送は本来負担しなければいけない費用を一部しか運送会社が負担していない。鉄道はユーザーから集めるお金で投資回収しないといけない。
通常、道路の整備や完備には通行料の他、税金が使われています。
運送会社はそうしたコストを負担せずに道路を利用できるため、その分安くできるといいます。
一方、鉄道は事業者が線路の保守費用などのほとんどを負担しなければならないため、その分、割高になってしまっています。
阿部等社長はそうした構造を変えることがモーダルシステムの拡大につながるといいます。
運輸政策をモーダルシフトしろと、鉄道貨物がビジネスしにくい仕組みになっている。それを国が改めれば鉄道貨物はブルーオーシャンになる。
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