3月29日、羽田空港の発着枠を拡大するための新たな飛行ルートの運用が始まります。
しかし今、この新ルートをめぐって現役パイロットからも不安の声が上がるなど混乱が起きています。
羽田空港
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2月上旬、東京・大井町。
車輪が見える。すごい。
空襲警報?
すごいね。
これは3月29日から正式に運用が始まる羽田の新ルートを先月各航空会社が実際に試験飛行した時の映像です。
これまで羽田のルートは海側から着陸し、海側へ離陸。
滑走路で飛行機が交差し、離着陸の効率が悪いため新ルートは都心側から着陸するものになっています。
そのため新宿、渋谷などの人口密集地や高輪などの住宅地の上空を突き抜けます。
その新ルートの真下にあるみつばち保育園。
都心では珍しく広い園庭があることで人気の保育園です。
ところが先月行われた試験飛行では…
みつばち保育園の東美智枝園長、
大きな音だったのでびっくりしたんだと思う。
1歳9ヵ月の子どもは泣き出していた。
保護者からは、
子供がいると静かな方に行きたい。
引っ越す人も多いのかな。
ぶんぶんうるさいから、ちょっとだけ嫌い。
羽田空港は国内線と国際線を合わせると年間44万7,000回発着する東京の玄関口です。
ただ、近年はその発着枠は常にパンク状態。
新ルートを使うことで国際線の発着数は6万回から9万9,000回に増加。
政府は経済効果をおよそ6,500億円と試算しています。
新ルートの運用開始が半月後に迫る中、今ある混乱が起きています。
羽田問題解決プロジェクトの大村究代表、
この状況で3.45度で降りるのはとんでもないリスクを高めること。
地元住民などが指摘しているのは着陸の角度についてです。
国際基準になっている安全な着陸方法は3度で降下し、そのままの角度で着陸するもの。
しかし国交省は去年末、住民から騒音への懸念の声が大きいことを受け、ギリギリまで高い高度で飛び、通常より急降下することになる3.45度を突如提示しました。
騒音を少しでも減らそうという狙いです。
これには世界中のパイロットで構成される世界的な機関「IFALPA(国際定期航空操縦士協会連合会)」も羽田の新ルートはほとんどのパイロットが今まで経験したことのない進入角になるとして懸念を表明。
そして先月行われた試験飛行ではある出来事が…
2月1日、カナダのトロントから飛び立ったエア・カナダ1便。向かった先は日本の羽田空港です。
十帳に見えた飛行機に突如異変が…
羽田空港に向かう途中、なぜか茨城県上空で1回旋回。
その後、新ルートで羽田空港に向かうかと思いきや引き返します。そして同じ場所で奇妙な旋回を繰り返し、結局向かった先は千葉県の成田空港でした。
この時、パイロットは羽田新ルートの3.45度での着陸が出来なかったのです。
エア・カナダの関係者は、
羽田に着陸できなくて成田に着陸したのは事実。
羽田の新ルートを利用するかどうかまだわからない。
国内の航空会社の現役パイロットからも懸念の声が上がっています。
特殊な進入方式を設定している時点で羽田空港は安全ではないという言い方しか出来ない。
経験が少ないパイロットには難しい。
3.45度をやらずに済むのであればやらないほうが良いのは間違いない。
さらに別のパイロットは、
皆、3.45度がなくなった方がいいと思っている。
本当はパイロットで手を組んで反対したい。
こうした状況の中、全日空の訓練センターでは…
新ルートの飛行シミュレーションが行われていました。
安全性を高めるためにANAとJALは初めは3.45度で降下し、最終的には国際基準の3度で着陸する方法を提案。国交省もこれを認めました。
3.45度の試験飛行の結果、どれくらい騒音は軽減されるのでしょうか?
テレビ東京の取材に対し、国交省は騒音の軽減効果は人間には違いがわかりにくいわずか1デシベル程度だったと明らかにしました。
運用開始が迫る中、航空会社の対応で混乱が続いています。
さらに新型コロナウイルスによる減便が相次ぐ今、国は予定通りに新ルートをスタートさせるのでしょうか。
赤羽国交大臣、
今少し便数が減っているからこの運用を先延ばしにしていいことはない。
「もう少し検証に時間をかけることは?」
検証に時間をかけるより3月29日から実際運用した方がより安全性というかいいことを高めあえると思う。