現在、4月からの給与や待遇をめぐって春闘が終盤を迎えています。
そこで今回は働く人たちの給与が今どうなっているかを日本経済新聞データ取材班との連動で見ていきます。
およそ20年前と比較すると、40代、50代の中高年世代が時代の流れに翻弄されていることが分かってきました。
中年サラリーマン
仕事終わりに集まってくれたのは40歳前後の中年サラリーマン。
薬品メーカーや大手電機メーカーに勤める会社員4人です。
終身雇用や希望退職など働き方にまつわるワードから気になるものを選んでもらいました。
まずは…
年功序列
電機メーカーの男性(38歳)、
年功序列で年齢の高い人の給料が良くて仕事の内容が見合っていない。
若くてすごく働いている人が安い給料。
将来的に上がれば納得するが、若い社員はそれが嫌で辞めていく。
通信業の男性(42歳)、
往々にして意欲のない人が多い、
その人の下にいるせいで意欲がなくなる。伝染するイメージ。
いない方がいいって言われますよね。
職場にいない方が敷きが上がる。
日本企業特有の年功序列。
給与に見合った働きが見られないことに不満を感じているようです。
さらに中年世代が感じている不満は…
役職がない
薬品メーカーの男性(46歳)、
限られた部署の中で部長・課長・係長などあるが上がつまっている。
役職が上がらないと給料が上がらない。
会社は苦肉の策で「副」とか「代理」とかを置く。
結局、給料も多少しか上がらない。
機械設計業の男性(46歳)、
役職はなくて良いと思うくらい。
あっても名ばかり。
世の中には不必要なものだと思っている。
役職につけない1つの原因となっているのがバブル世代の存在です。
バブル世代が大量採用された一方、バブル崩壊後に企業が採用人数を絞ったことで今の高齢化につながっているのです。
会社にいる40代以上の割合は2000年の39%から2018年には49%まで上昇しています。
電機メーカーの男性(38歳)、
ちょうど僕の年代は次は課長になるかどうか。
今はかなり上の世代が大きなピラミッドになっていて、なかなか課長に上がれない。
終身雇用
不満は終身雇用にも。
薬品メーカーの男性(46歳)、
若い子は終身雇用を信じていないと思う。
通信業の男性(42歳)、
バブル世代の人は終身雇用を信じているから甘えて向上心がなくなって使えないバブル世代がいっぱいできた。
機械設計業の男性(46歳)、
スポーツ選手と一緒で年間通じて成績を見てダメな人は落とす。
通信業の男性(42歳)、
子供が私立学校に行けなくなるかもしれない。ローン返せなくなる。
会社が考えて、ボーナスが低くなるだけ。
低くなってもローン返せれば良いやって、朝から新聞読んで帰る。
給与と出世
中高年の会社員が直面しているのが伸びない給与です。
こちらは月の給料を年齢別に示したグラフです。
高い方から10%を上位、そして全体の平均値を中位、低い方から10%を下位と表示しています。
2018年がこちらです。
55歳の給与で比較すると全体の平均値にあたる中位は62万円から54万円と大きく減少していて、40代以降の給与は年齢が高くなるほど大きく減っているという結果が出ています。
その要因のひとつが出世です。
会社員の昇進に関するデータがこちらにあります。
1990年には40代で50%以上が課長に昇進していましたが、2000年にはおよそ40%に減少しています。
そして2018年になると、その割合はおよそ30%にまで落ち込んでいます。
株式会社Sun Asterisk
[blogcard url="https://sun-asterisk.com/"]
役職につけない中高年世代の増加が日本の労働市場に変化をもたらそうとしています。
東京・神田にあるITベンチャー企業「サン アスタリスク」。
ITを活用した新たなサービスの開発を行っていて、社員の平均年齢は33歳です。
この日、企画会議に参加していたのは去年大手機械メーカーから転職した青木史也さん(45歳)です。
オンラインウエディング。
結婚式場とかでわーってするのが好きではない。
遠方の人も結婚式に参加できればオンラインでもありな気がする。
以前の会社では上の世代に人が多く課長などの役職につくことはできませんでした。
こちらの会社ではその人脈や経験が買われ、ソフトウェア開発部の副本部長として50人近くの社員をまとめています。
リスクとかではなくて、まずやってしまおうというスタイルで動いている人が多い。
面白くて刺激を受けている。
収入は以前と比べてほぼ変わっていませんが、それでも転職を決意した理由とは…
退職した後に「何をして良いのかわからない」。そうはなりたくない。
自分で楽しいと思えること、やりたいことは常に取り組めるようにしておきたい。
そのためには自分を成長する機会においておかないとだめ。
青木さんのように40代以上で転職を希望する人が増える中、企業側も即戦力を求めていて41歳以上の転職紹介件数は今年度初めて1万人を超える見通しです。
エン・ジャパン株式会社
[blogcard url="https://corp.en-japan.com/"]
エン・ジャパンのミドルの転職事業部長、天野博文さん、
短期間だと大手企業にとどまっていた方が良いかもしれない。
今の方はこれから何十年働くと考えると、目先の収入だけではなく、将来的な収入とかやりがいを考えて転職に踏み切るケースは多くなっている。これからも増えると思う。