市光工業株式会社
[blogcard url="http://ichikoh.com/"]
自動車用ミラーを製造している神奈川県伊勢原市の市光工業株式会社。
その構内の道路にワゴン車を停め作業をしている人達がいました。
車のサイドミラーを取り外し、代わりに黒い部品を取り付けます。車内には複数のディスプレイを設置。
この車、ミラーの代わりにカメラとディスプレイを使うミラーレスの実験車両なんです。
サイドミラーの位置にある2つのカメラが外の映像を撮影。ハンドルの両脇に設置せれたディスプレイにそれぞれの映像が映し出されます。
ミラーレスで運転が変わるのか?大浜平太郎キャスターが実験車両に乗り込みます。
試乗
まずは通常のサイドミラーの戻して助手席側にある車の見え方を確かめます。
この状態で、サイドミラーに車は映っていません。死角の状態になっています。高速道路などで怖いのはこの状態です。
今度はカメラです。ディスプレイはこの時、ミラーと同じ範囲だけを表示しています。
ウィンカーを左に傾けると車が表示されました。画角が広がった。
カメラは通常のミラーでは見えなかった隣の車を捉えていました。
このカメラの画角は約50度、通常のミラーは約20度なので2倍以上を見ることができます。
通常のミラーの画角は約20度なので大きな死角があります。カメラなら画角が約50度に広がり死角が大きく減ります。
車をバックさせる時もカメラの画角が威力を発揮します。地面に近い部分を表示させることができ、これまで見にくかった後ろのタイヤ周りも見ることができます。
テュフ ラインランド ジャパン株式会社
[blogcard url="http://www.tuv.com/jp/japan/home.jsp"]
市光工業株式会社では現在、このミラーレスのシステムを商品化するために国際的な認証機関で試験を受けています。
カメラに強い光が差し込んでも視界を確保できるかどうかの試験など約30項目の試験があります。
市光工業株式会社では、来年には認証を所得し海外への販売に乗り出すことを目指しています。
サイドミラーとは空気抵抗も違うが?
燃費が約1%改善する。重量も相当軽量化につながる。
市光工業株式会社イノベーション統括グループ、本田圭助プロジェクトリーダーはいいます。
ミラー製造所
ミラーレスの開発を急ぐ背景には産業構造が変わることへの危機感があります。
市光工業株式会社のミラーの製造現場。国内の自動車メーカー8社と取引があり、年間300万個以上の自動車用ミラーを生産しています。
車が輸出される国ごとにミラーの規格には細かい仕様があり作り方が異なるといいます。
ミラー事業本部の沢入利一副本部長は
1つの製品が立ち上がると100品番ぐらいのアイテムが増える。なかなか機械的に管理できない。
北米の規格によって作られたサイドミラー。助手席側のミラーは平面ですが、運転席側のミラーは曲面でわずかに膨らんでいます。
日本ではミラーは両側とも曲面にする必要があります。
このような仕様の違いがあるため組み立て作業の機械化が難しく、これまで人の手に頼ってきました。
しかしミラーレスなら各国の規格に合わせてソフトウェアを変更することになるため手作業である必要はなくなります。
抜本的な変化が表れると判断している。
こんなに社員が働かなくても済む?
非常に難しい質問。ミラーレスのコアな部品が内製か購入に委ねるかによって異なる。
車載カメラ
2015年の東京モーターショーで発表された多くのコンセプトカーもデザインはミラーレス。
この数年の内には世の中に登場すると見られています。
ミラーレスの車には欠かせない車載カメラの市場も拡大しそうです。
2025年には2013年の約5倍の3,609億円にまで成長すると見込まれています。
株式会社JVCケンウッド
[blogcard url="http://www.jvckenwood.com/"]
その市場に新たに食い込もうとしているのがカーナビ大手の株式会社JVCケンウッド
その社内を走っていたのがイギリス、マクラーレン・オートモーティブのスポーツカー「675LT」をベースに開発中のミラーレス車です。
その走行中の様子が公開されるのはこれが世界で初めてです。
株式会社JVCケンウッドは1991年からF1でマクラーレンのチームに機材を供給。ミラーレス車の開発でもタッグを組んだのです。
その特徴は株式会社JVCケンウッドが得意とする映像処理の技術。運転席の両サイドと車の後方に合わせて3台のカメラがあります。
車を囲むように人が3ヶ所に立つと、3つのカメラが捉えた映像を1つのディスプレイに合成して表示できます。
車の運転中に後方の様子を1つのディスプレイで確認できるので視線の移動が減り安全性が高まることが期待されます。
飯塚和彦常務は
ビデオカメラやテレビで映像化を進めてきた技術が残っている。他のミラーメーカーなどに先立つものを持っている。
さらにこの車、ミラーレスなだけではありません。スピード表示等は全てフロントガラスに投影するヘッドアップディスプレイに映し出されます。
株式会社JVCケンウッドでは車のミラーレス化が運転席全体の電子化を進める起爆剤になると考えていて、そこにチャンスを見出そうとしています。
私たちはやはり「デジタルコクピット」。ミラーから電子化していくことで私たちも参入の機会を得た。
株式会社JVCケンウッドでは、このミラーレスのシステムを数年以内に実用化する計画で開発を急いでいます。