理系に学ぶ。
今年出版された、一冊の本「理系に学ぶ。」。
科学者など理系の人たち15人にインタビューをした本です。
日本科学未来館
東京・お台場にある日本科学未来館。
映画プロデューサーの川村元気さんがいらっしゃいました。
川村元気さんは「理系に学ぶ。」の著者でもあります。
川村元気さん
川村元気さんは映画「モテキ」「告白」など数々のヒット映画を手掛けてきた映画プロデューサーです。
理系がテーマということで日本科学未来館で話を聞きました。
川村元気さんは理系?
僕は典型的な文系。数学、物理、科学が苦手で逃げて、こっち(文系)に来た感じ。
「理系に学ぶ。」を書いた理由?
映画の主人公が理系の人になってきている。スティーブ・ジョブズ(アップル創業者)だったり、マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック創業者)を主人公にした「ソーシャル・ネットワーク」という映画だったり、映画の主人公は世界の主人公だと思っている。昔はそれが文学者だったり、ミュージシャンだったりしたが、どんどん理系の人になっている。やはり理系から逃げられないんじゃないかと思ったs。
どんな基準で選んだ?
全ジャンルで一番、最先端で世界と勝負できる人たち。そういう基準だったと思う。
東京大学
本に掲載されている理系の最先端の人に会いに来ました。
訪れたのは東京大学です。
東京大学の松尾豊特任准教授。
日本の人工知能研究の第一人者です。
シンプルな場所ですね?
基本的にはコンピューター上で作業、パソコンしかない。
どんな研究をしています?
「顔画像の生成」という研究をしていて、顔の認識をするだけでなく、さらにその「コンピューターが顔を描く」という技術の研究。
この人工知能に約20万人分の顔写真を覚え込ませているそうです。
これは「男性」「ヒゲ」「メガネ」というタグが付いたデータがたくさんある。
20万人のデータのひとりひとりに「ヒゲ」「メガネ」といったタグが付いている?
そうです。コンピューターがたくさんの画像を見て、「こういう特微量があるときはヒゲ」「こういう特徴量があるときは男性」という結び付きを学んでいって。そうすると「男性」っていっているタグは「こういう特徴なのか」ということがわかる。
男性・女性の区別は人間もそんな感じだったのでしょうね。
こういうことが人間も小さい頃にはやっているという事だと思う。
このように人工知能が特徴を見つけ出し自分で学習していく技術をディープラーニングといいます。
男性らしさと女性らしさ
男性らしさや女性らしさを学んだことで、ある実験を行います。
撮影した大江麻理子キャスターの顔を人工知能に登録します。
男性度を高めていただけますか。
人工知能が大江麻理子キャスターの顔を男性らしく書き換えてくれます。
髪は短く、眉毛が太い、肌が色黒、これらが人工知能が学んできた「男性らしさ」です。
逆に女性度を上げてみると、アイラインがくっきり、顔全体が丸くなっています。
髪が長い、顔が丸い、メークが濃い。これが女性の特徴だとコンピューターは思っているんですね。
学習すること
いろんなことをとにかく読み込む。場数を踏みまくる。
例えば、われわれが話を聞くとその情景を頭の中に思い浮かべることができるが、人工知能でそれと非常に近いこともできるようになる。
約20年間、研究を続けてきた松尾豊特任准教授。
人工知能の開発は人間の脳の仕組みを解明することにつながるといいます。
人工知能に目をつけたきっかけは?
僕が人工知能の研究をしている理由は「人間を知りたい」というところ。われわれが世界があると思っているものは脳が作り上げているもので、そうすると脳がどういう仕組みで、こういう世界を見せているんだろうと。「人間の認知はコンピューターで実現できるのでは」と興味があり研究を始めた。
人工知能分野で日本の存在感は?
画像は撮っていたが処理する装置がないので見えてないのと同じだった。ところが今後、目で見て判断して作業する仕事は機械やロボットができるようになるはず。
例えばファナック株式会社の産業用ロボット。
カメラで箱の中の部品を認識します。すると人工知能によってバラバラに積まれた部品を一つ一つ認識してピックアップすることができます。
例えば「農業用の機械」は日本が結構強い。「建設用の機械」も日本が結構強い。日本企業は「現場に出る機械」をたくさん持っているから、そこに人工知能の技術をきちんと使うことで相当伸びていくのではないか。うまくするとグーグルやフェイスブックと戦えるぐらいの競争力になるのではないか。
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