三田紀房氏
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漫画家「三田紀房」。
代表作のドラゴン桜は弁護士が落ちこぼれ生徒を1年で東大合格まで導くサクセスストーリーです。
累計発行部数は800万部。
さらに投資や経済を題材にした漫画「インベスターZ」も100万部の大ヒット。
インベスターZ
名門私立学校の投資部を舞台に株式投資の具体的なノウハウから経済そのものの仕組みまで詳しく分かりやすく描いているのが特徴です。
この「インベスターZ」、7月から実写ドラマも放送されています。
その大きな特徴のひとつが原作の漫画同様、実在の経営者たちが本人役として登場することです。
そして彼らの多くがマンガの大ファン。
ユーグレナの出雲充社長は、
こんなに金と真正面に向き合った漫画は初めてだと思う。
インベスターZという漫画自体がベンチャー。
ビズリーチの南壮一郎社長は、
大好きな漫画。
自分も会社の創業者なので「志」や「思い」が事業や人を動かすんだなと漫画を通じてすごく感じていた。
さらに日本の金融の街、兜町では、
面白い。実態に即しているところもあるし、ないところもあるし非常に面白い。
最近読んだけど面白い。今5巻まで読んだので先まで読んだら投資を少しはできるようになるかと思う。
経済の現場で支持を集めるインベスターZ。
その作者、三田紀房に迫ります。
三田紀房氏の思い
実写ドラマも始まったインベスターZ。投資がテーマですよね、それなのに主人公は中学1年生の男の子。ターゲットとしてはどういう人に読んでもらいたい?
基本、社会人をターゲットにしている。できるだけ若い人、就活生や新卒の社会人に読んでもらいたいとして企画しています。
投資を通じて社会の仕組みのようなものを分かってもらいたいという思いが強い?
中学生の主人公とともに投資を学んで頂いて、それを生かして頂く。そういう筋立てになっています。
学ぶという話がありましたが、確かに特徴のひとつとして知っているようで知らないことが分かりやすく伝えるという部分があります。
史実を元にした内容もいろいろと出てきますが、特に気になるのが、アメリカのゴールドラッシュの話。
1984年、アメリカ西海岸で金鉱が発見されゴールドラッシュが起きた。人々はこぞって金を掘りに西海岸に押し寄せた。
ところが儲かった人は、スコップやツルハシを売った人。掘るための道具を売った商人。
そして寝泊まりするための宿や酒とバクチを提供した酒場の主人。
最終的には大量の人員と物資を運ぶための鉄道を敷いた実業家が大儲けをした。
金が出たからといって大勢の人の後にくっついて…
金を掘ったヤツに金持ちはいない!
こうしたエピソードが漫画の中にたくさん出てくるのですが、その中でも三田さんにとってはこのエピソードが一番印象的だったそうですね。
これは鉄道王はスタンフォードさんです。スタンフォード大学の創設者。実際にスタンフォード大学に見学に行きました。それで自分が身近に感じる場面ということでこれを出した。
漫画の中で描いている世界は基本に忠実。金融の基本に忠実なお話。どういうきっかけでこの素材を描こうと思ったのですか?
知ってそうで知らないことが実は多い。しかもなかなか人に聞けない。それを漫画でこっそり情報収集ができる。そうすると実世界で役立つ。そういうきっかけで作品作りをしている。
本物の実業家の皆さんが登場しています。
ユーグレナの出雲充社長やスタートトゥデイの前澤友作社長が本人役として描かれています。
どうして実名で経営者の方々が登場するのですか?
読者はリアルな情報が欲しい。それを求めるために実際にオファーをする。そうすると意外に出てもいいという返事が返ってくる。実際に出てくれるならそこも書いてしまう。そうすると生の情報をそのまま読者に届けられる。
ドラマの中に入っている実業家の言葉は三田さんが取材した時に聞いた言葉がそのまま?
そのまま使うようにしています。
新しい取り組み
新しいことに次々とチャレンジしてきた三田さんですが、いま漫画界の常識を覆す新たな取り組みを始めています。
三田さんは今も週間連載を抱えています。
アルキメデスの大戦。
戦艦大和の建造を巡り対立する日本海軍の内部を描きます。
作業場にも所狭しと当時の模型や洋服の資料が並んでいます。
ただ三田さんが連載しているのはこれだけではありません。
ドラゴン桜の続編「ドラゴン桜2」も1月に連載を始めたのです。
しかし、今いるアシスタントは連載1本で手一杯。
さらにもう1本抱えられるヒミツはどこにあるのでしょうか?
僕は「ネーム」だけやるというスタイル。
これができれば漫画は90%できたも同然なので。
これさえできればほぼもう終わり。
実はドラゴン桜2は話の流れとおおまかなコマ割りを描いたネームだけを書き、あとは漫画の専門家ではないデザイン会社に外注しているといいます。
なぜか?
週刊誌2本やるということは、この倍の人数が必要になるので、人材を獲得するところから始めると非常にコストと時間的ロスがある。
漫画作りをもっと合理的に…
いま三田さんは分業を進めることで漫画の制作プロセスを根本から変えようとしているのです。
この技術が確立すれば漫画産業の可能性が広がると思う。
漫画を受注して生産するという、これまでにないスタイルができるということで漫画に参入する可能性が一気に広がる。