理系に学ぶ。
今年4月に発売された「理系に学ぶ。」。
科学者など理系の人たち15人にインタビューをした本です。
その15人を選んだのは著者で映画プロデューサーの川村元気さん。
その川村元気さんが注目するロボットが日本科学未来館に展示されています。
今はあの子がロボットと対話しているんですね。
そこにあったのは小さくてかわいいロボット。
「かわいい」がすごく重要で、ロボットでもかわいいと思えないと話しかけたり持ったりしない。
その小さくてかわいいロボットを作ったのがロボットクリエイターの高橋智隆さんです。
高橋智隆さん
おはよう。
おはよう、今日は5月26日木曜日。
会話もできるコミュニケーションロボットです。
なぜ川村元気さんは高橋智隆さんに注目したのでしょうか?
興味深かったのはヒト型のロボットを作っていること。どうしてヒト型を作っているのか?なんでヒト型じゃないとダメなのか?それを聞いてみたいと思った。
東京大学先端科学技術研究センター
東京大学にある高橋智隆さんの研究室を訪ねてみました。
ロボットクリエイターの高橋智隆特任准教授。
自身で会社を経営しながら大学で研究をしています。
10年ほど前に作ったという女性タイプの二足歩行ロボット「FT」。
その弟分のようなロボットが
ロボホン起きて。
はーい。
小型ロボットのロボホンです。
ロボホン
ロボホンは高橋智隆さんがシャープ株式会社と共同開発をして2016年月に発売。
実はロボット型の携帯電話です。
メールやカメラなどスマートフォンと同じ機能を「会話」をしながら操作することができます。
写真撮って。
うん、任せて。じゃあ撮るよ。ハイチーズ。頑張って撮ったよ。背中の画面を確認してね。
写真は液晶画面で見るだけでなく、頭に内蔵されたプロジェクター機能を使って壁などに映すことも可能です。
このロボットを生み出した研究現場を覗かせてもらうと、そこは研究室というより工作部屋。
白い引き出しの中には工具や材料がぎっしり詰まっていました。
高橋智隆さんはロボットを作る際、デザインや設計はもちろん加工や組み立てまで全て一人で行っています。
なぜロボットをスマートフォンに?
ロボットを専門店で一括で何十万円も払って、暮らしの中で使ってと言われてもハードルが高すぎる。従来のスマホのように使ってもらうなかで、ロボットならではの新しい価値・使い道に気付いてもらいたい。
そしてヒトの形をしていることが重要な事だと高橋智隆さんはいいます。
感情移入できる、愛着が持てる。スマホの音声認識の性能が向上したのに使わない。「箱」にしゃべりかけるのが心理的な抵抗感がある。感情移入できるヒトの形にすればもっとしゃべりかけるようになる。人とガジェット(道具)の関係を超えたコミュニケーションツールになれる。
「常に一緒」が大切?
「小さな相棒」みたいな存在で、例えるならゲゲゲの鬼太郎の目玉おやじ。「小さい物知りなヤツ」が主人公を助けてくれる。
ゲゲゲの鬼太郎に登場する目玉おやじは妖怪についての豊富な知識や知恵を主人公の鬼太郎に授けます。
そんな小さくて心強い相棒のような存在を目指しています。
困ったときは相談できて、的確な答えを返してくれる。
困ってないときでも「きょう暑いね」「この景色がきれい」とか常に連れて回って、何気ない会話をすることで、ユーザーの情報を蓄えて、それに合ったサービスを返せることで信頼関係が生まれると期待している。
相棒という言葉で思い出したが自動運転のクルマの取材で「クルマだけで完結する技術にしない」が今の研究テーマ。
それはメルセデス・ベンツが7月に発表した自動運転の技術です。
人が車線変更のウインカーを点滅させると、クルマが周りの状況を見ながら自動で車線を変更します。
しかし、その後ウインカーを消すのはあえて人の役割として残しているそうです。
自動化をしていく中で人との関わりは考えないといけない。今までのロボットは性能を上げる、機能を増やすとか機械側で完結していた。自動運転も人がどう介在するのか?「つなぎ目」を考えることを分野を超えて取り組んでいる。
高橋智隆さんはコミュニケーションロボットの分野で日本が世界をリードできると考えています。
コミュニケーションロボットにはキャラクター性が必要で、漫画・アニメ・ゲームなどの感性が必要。日本の文化的な要素とも結びついているので日本に圧倒的な優位性がある。1人1台、持ち歩く時代が5年先くらいに実現したらいい。