菅総理が地銀の再編について言及するなど日本の銀行に変革の波が押し寄せています。
そして同じように実はロシアでも銀行が変わろうとしています。
ロシア最大の銀行「ズベル」が生活の全てを囲い込むアメリカのテクノロジー企業「アマゾン」のようなろうと動き出していました。
ロシア連邦貯蓄銀行(SBER)
[blogcard url="https://www.sberbank.ru/"]
ロシアの首都モスクワ。
街を歩くと必ず目に入ってくるのがこの看板。ズベルという名前の銀行です。
ズベルバンクは帝政ロシア時代、1841年に設立されました。
当時の書物には皇帝ニコライ一世が指示を出し、市民が安心して貯蓄するために設立との説明が。
こちらは社会主義のソ連時代のポスター。
仕事で得たルーブルをズベルで保管しましょうと書かれています。
その後、市場経済の導入に伴い商業銀行に形を変え、今では1億人の顧客を抱えています。
国内に1万4,000の支店網を持ち、ロシアに住む誰もが知る存在ですが、今大きな変化が…
モスクワ支局のバレリー・ベロゼロフ記者、
ロシアの超巨大な銀行が社名から銀行の名前を外しました。
9月、グループのロゴと社名から銀行の文字を取りました。
スローガンに「銀行を超える」と掲げています。目指すのは脱銀行。
ズベルの脱銀行計画とは。
モスクワ市内の窓口を訪れました。
銀行らしからぬカラフルな内装。
普通の銀行カウンターはなく、代わりに小さなデスクがいくつもあります。
店内の障壁を取り払うという狙いで旧来のカウンターとの違いは一目瞭然です。
さらにこちらはATM。大きなディスプレイの最新型です。
カードなどはなくても顔認証機能で使用できます。
ツベトノイ大通り店のマネージャー、ネフォドバ・アナスタシアさん、
ここで映画チケットも買えてタクシーも呼べる。
タクシーはここの住所が登録されていて自動で配車できる。
ATMを様々なサービスの入り口を位置づけています。
ヨーロッパの銀行では行列を避けるため建物の外壁にATMを置くことが多いのですが、店内に誘導したいこの店舗ではあえて中に設置したのです。
顧客の人生のニーズをここで全て満たすことを目指す。
そしてこちらは物流ゾーン。
日常使いのサービスとして配送事業も始めました。
他には銀行の顧客以外でも使える充電ポイントにカフェスペースもあります。
こうした銀行らしからぬ店舗を全国で拡大させています。
脱銀行のチャレンジは店舗の外にも。
こちらはズベルが運営に協力するお店「プライムカフェ」です。
お客様が商品を選び、会計します。
カメラを覗くと会計終了です。ATMで使っている顔認証で支払いもできる仕組みです。
いらない物を持ち歩きたくない。
未来的でこの仕組みならスマートフォンもいらない。
ズベルの筆頭副会長、アレクサンダー・ヴェデアキン氏がモーサテの単独取材に応じました。
昔ながらの銀行は世界中で「存続の危機」にある。
銀行サービス自体に需要はあるが担い手は銀行という組織ではなくなるかも。
アマゾン、アップル、グーグル、中国のテック企業もすでに従来の銀行業に積極的に進出しているから。
明かしたのはテクノロジー企業への警戒感です。
ここ数年、世界中でGAFAのようなテクノロジー企業が決済サービスなどを入り口に金融事業に参入しています。
ロシアでもロシア版「ロシア版グーグル」と呼ばれるヤンデックスなどが金融領域に関心を示しています。
旧来の銀行は現在の顧客基盤を活かしながら変わらざるを得ない状況なのです。
さらにズベルは家庭の中にまで攻め込みます。
これはズベル製のデバイス。これがリモコン。
スマートテレビ向けデバイス「ズベルボックスTVセット」。価格は2,990ルーブル、およそ4,000円です。
自宅のテレビで動画サービスを利用できるほか、ズベルのあらゆるサービスにもアクセスできます。
音声認識の向上などに活かすためにAI(人工知能)の研究にも資金を投じています。
ATMを店での入り口、このデバイスを家庭での入り口として生活の全てをズベルが囲い込もうとしています。
銀行業事業が利益の源泉で発展のもとになっていくのは確かだが、ズベルは「銀行を超える」つもりだ。
顧客の周りの全てのことをズベルのエコシステムで完結したい。