シリーズで伝えている「緊急事態宣言下で…」。
今回は新型コロナの影響で深刻なダメージを受けている外食チェーンです。
買収か、それとも単独の再建か。
今後予想される外食産業の淘汰・再編の動きにも関わる攻防戦を追いました。
株式会社大戸屋
[blogcard url="https://www.ootoya.com/"]
緊急事態宣言下の都内。定食チェーン大手の大戸屋で…
書き入れ時のランチタイムですが閑散としています。
新型コロナの影響で来店客が大幅に減少。
大戸屋の直営事業部、三上一郎部長、
3月の売り上げ20%減、4月にさらに20%減。
非常に厳しい。
そんな大戸屋はコロナともう一つ大きな敵と戦っていました。
それが売上高10倍、業界4位のコロワイドです。
コロワイドは焼肉の牛角をはじめ様々な飲食チェーンを買収し成長。
持っていなかったのが定食系。大戸屋の株を大量取得し筆頭株主になりました。
そのコロワイドから今月14日、大戸屋に向けて出された株主提案に関するお知らせ。
6月に予定されている株主総会の議案で大戸屋の取締役を刷新、それが実現すれば大戸屋の子会社化を検討するとしています。
株式会社コロワイド
[blogcard url="https://www.colowide.co.jp/"]
買収の狙いは何なのか…
コロワイドのトップがWBSの取材に応じました。
コロワイドの野尻公平社長、
大戸屋は国内200店舗がフランチャイズ。
コロナの影響は我々以上に厳しい。
このまま放っておけば店を閉める、止める、離脱するオーナーが増える。
それを防がないといけない。
濱田寛明取締役
一方の大戸屋側…
創業60年、独立系を貫いてきました。
大戸屋ホールディングスの濱田寛明取締役、
厳しいコロナウイルスの感染拡大が続く中で全社員一丸となって取り組んでいる矢先の株主提案。
正直申し上げて困惑している。
敵対的買収ではないのか。
徹底抗戦の構えです。
セントラルキッチン
1958年、小さな定食屋としてスタートした大戸屋。
出来たて、手作りの味を全国どこでも食べられるようチェーン展開に成功しました。
それを支えたのが店内調理へのこだわりです。
一方、コロワイドは大戸屋の店内調理を見直し、セントラルキッチンを活用するとしています。
セントラルキッチンとは食材を1ヶ所に集め、加工や下ごしらえをする工場。そこから全国の店舗に配送します。
神奈川県横須賀市にあるコロワイドのセントラルキッチン。
コロワイドのチェーン展開を支える心臓部に初めてカメラが入りました。
コロワイドMDの岡本和之取締役、
惣菜・ソースを作る加熱加工室。
作られていたのはレストラン向けのカレーソース。
野菜を炒めながら同時にルーを煮るというマシンで1度に300人分作ります。
「店舗で仕込むとどれくらいかかるか?」
同じ量を作ろうと思うと20倍かかる。
コロワイドは大戸屋の店内調理を徹底的に合理化し、収益性を高めたいとしています。
店でもセントラルキッチンでやっても変わらないもの、カット野菜なんて変わらない。
店内調理にこだわってきている。それがお客様のおいしさにつながる。
さまざまな経営課題はあるが、課題を解決する処方箋はセントラルキッチンにはない。
M&A
WBSは今回、コロワイドと大戸屋の水面下の交渉をまとめた内部文書を入手。
そこには意外な事実が…
2019年12月27日。
この日、大戸屋の社長がコロワイド本社を訪問。
そこでコロワイドの野尻社長から、
従来は業務提携とM&Aの両方の選択肢を考えていました。
M&Aに舵を切ることにしました。
筆頭株主であるコロワイドは大戸屋の業績が回復しないことに不満を述べ、単独再建は厳しいと判断。小会社の方針をこのとき大戸屋に伝えたのです。
すると、
我々は独立性を維持します。
M&Aに反対ということですか?
そうです。
最終的に3月19日に私から大戸屋さんの業務執行役員にプロキシー(委任状争奪戦)になる可能性が高い、大丈夫ですか、勝てますか?
「勝てます」と返事をいただいた。
我々はプロセスを踏んできたつもり。
「株主総会でプロキシーファイト(委任状争奪戦)になるか?」
仮定の話にはお答えしかねる。
食うか食われるか、新型コロナの影響で外食をめぐる再編の動きが始まっています。