メルシャンのワインが9月上旬から段階的に販売が休止されることになりました。
このワインの原産国はアメリカですが、販売休止の背景にワインを運ぶ船の問題があります。海の上で一体何が起きているのでしょうか。
オーシャン ネットワーク エクスプレス ジャパン株式会社
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メルシャンが発表したワインの販売休止。対象は手頃な価格が売りの「フランジア」ブランド10商品です。
メルシャンの発表文を見てみると「世界的な国際海上コンテナ輸送の需給逼迫」との文字が。ワインの原産地、アメリカからの輸入が滞っているのです。
販売再開時期は未定としています。
さらに都内のスーパー「アキダイ 関町本店」では…
こちらのパスタですが、メーカーは9月1日の出荷分から値上げをしています。こちらの店舗では店頭の価格に反映されるのは2週間ほど先になるということです。
大手メーカーが2~8%程度値上げしたパスタ。日清フーズは値上げの理由として海外からの海上輸送コストの上昇を挙げています。
ほかにも最近値上げした商品を調べてみると小麦粉やレギュラーコーヒーに11月に値上げされる家庭用の食用油まで。
いずれも値上げの理由として原材料費の高騰に加え、海上輸送コストの上昇を挙げています。
日本の輸出入のうち、なんと99%を占める海上輸送。いま海で何が起きているのでしょうか。
食料品などの輸出や輸入を行う商社に聞いてみると…
石光商事の海外事業部門、北川克史さん。
全く初めて。
20年くらいこの仕事をやっているが、ここまで値上げが続くのは初めて。
横浜からアメリカ・ロサンゼルスまでの海上輸送コストは去年以来上がり続けていましたが、今年に入って上昇ペースが加速。この2ヵ月で倍近くになっています。
この海上輸送費の値上がりによって海外から原料を輸入する食品の値上げや販売休止につながっているのです。
「商品の値上げは仕方ないか?」
われわれも企業努力の範疇を超えるくらい値上げが発生している。
あらがうすべがないという認識。
一方、海上輸送費の上昇によって海上輸送を担う海運会社の業績は急拡大。商船三井の純利益は前の年の19倍に、日本郵船の純利益は13倍にも膨らんでいます。
ではなぜ、いま海上輸送コストはここまで上がっているのでしょうか。
日本の海運大手3社のコンテナ事業が統合されてできたオーシャンネットワークエクスプレスの担当者は…
オーシャンネットワークエクスプレスの辻井廣喜さん。
デルタ株は感染力が強いので国によってはとても素早い対応を取る。
ターミナルや港の閉鎖などをとても厳格に行う。
8月26日のアメリカ・ロサンゼルスの港。緑色がコンテナ船ですが38隻が港に入れず待機しています。
コンテナ船は港で荷物を下ろし、その荷物はトラックや電車で各地に運ばれますが、港や国内輸送の人員に感染者が出ると施設の一部に閉鎖などがあり作業は大幅に遅れます。
荷物を港に下ろせなくなりその結果、コンテナ船は海で待機を命じられます。ロサンゼルスでは到着から荷降ろしまで9日間ほど待機することもあるといいます。
さらに…
通常、年末に向けてクリスマス商戦。アメリカではサンクスギビング商戦に向けて個人消費財が夏に動くので、その影響を受けて貨物需要が伸びている。
夏くらいから大きく運賃が上がっている状況。
ただワクチンの普及とともに先進国などでは感染者が減っています。今後、運賃は下がるのでしょうか。
海上輸送はいろいろな国を複数つなぐので1つの国でコロナが沈静化しても、どこかの国や港で影響が出ると海上ネットワーク全体で影響が広がる。
すべての国がある程度安定して通常オペレーションを提供できないと海上輸送の供給の安定化は難しい。