乃木坂46の白石麻衣さんの卒業コンサートでチケットがおよそ23万枚という記録的な販売枚数でした。
なかなか人が実際に集まれない中、エンターテインメントの在り方も急速に変わってきています。
コロナ禍でどのような決断をしてきたのか?
業界のトップランナーであり、乃木坂46の総合プロデューサーでもある秋元康さんに聞きました。

株式会社秋元康事務所
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東京・秋葉原にあるAKB48劇場。

新型コロナの影響で今年2月には観客を入れての公演を中止しました。

先月から公演を再開したものの観客数に上限を設けるなど会いに行けるアイドルに簡単には会えなくなってしまいました。

さらにライブにも異変が…

ファンの掛け声は禁止され、ペンライトを振ったり、拍手で応えるだけです。

AKB48の村山彩希さん、
MCでお客様が笑ってるのか滑っているのか全然分からない。

この形だからこそ新しい挑戦ができると思うので、これからもここ(劇場)を守りつつ盛り上げていきたい。

新型コロナで変わるエンターテインメント業界。
トップランナーとして走り続ける秋元康さんにエンタメの新たな姿を聞きました。

「コロナ感染が拡大した時に何を考えたか?」

3密を避けることはエンターテインメントの熱狂の反対側にある。

エンターテインメントがコロナによってどう変わるかではなく、世界や生き方がどう変わるかで、ここに合わせたエンターテインメントがあるだろう。

AKB48や乃木坂46の生みの親でもあり、古くはおニャン子クラブをはじめ次々とトップアイドルを世に送り出してきた秋元さん。

美空ひばりさんの「川の流れのように」の作詞も手掛けるなど45年間、エンタメ業界を牽引してきました。

今は「熱狂とは何か」が最大のテーマ。

熱狂というのは狭い空間の中で密になり、汗を飛ばし応援をする。

ライブというのはそういうものだった。

一緒の熱狂を感じていたものが熱狂が危険だとされる今の状況がこれからのエンタメにどう影響していくか。

こちらはあるコンサートのリハーサル。

秋元さんが総合プロデューサーを務めるの乃木坂46、白石麻衣さんの卒業コンサートです。

コロナ禍でコンサートをネットで生配信する形を取らざるを得ませんでした。

白石麻衣さん、
みんなの体調面を第一に考えた時にオンラインという形をとったが、一人でも多くの人に見てもらえるオンラインは新しいし、すてきだと思った。

リアルなコンサートのように収容人数の制限がないことや遠方からでも参加しやすいといった点でメリットもある一方、秋元さんにはこんな懸念も…
人間の目は自分が見たいものを見ている。

配信・オンラインでライブや舞台を見るとスイッチングされているので自分が見たいものではない。

全員が同じところを見なければいけない不自由さはあるような気がする。

新型コロナで熱狂の伝え方の試行錯誤は続く一方、熱狂の生み出し方もいま大きな変化があるといいます。

視聴者が見たいものを一生懸命探してみる。マーケティングリサーチするから。

ここにはどんな魚がいるのかというのは、みんなが同じように調べるので同じようなエサで同じような場所に釣り糸を垂らすことになってしまって、視聴者の皆さんからお叱りを受けるのは、どの番組を見ても同じじゃないかと。

視聴者が見たいものも大事だが、作り手側が作りたいものを作って視聴者がどう受け止めてくれるかという時代に来ているのではないか。

誰もが楽しめる最大公約数の番組ではなく特定の人の心に訴える最小公倍数の番組作り。


公開後、大ヒットが続く映画「鬼滅の刃」はまさにそうした作品だといいます。

アニメ化されてもまだ一部の人が熱狂していたものが、それが広がり、普段はアニメを見ない人が「面白いんだって」と言って広がっていき、今回の大ヒットになるような世代や層がドミノ倒し。

パタパタと倒れていくようなヒットの仕方をするのでは。

そして今週、秋元さん自身が新たな試みとして企画・原作を手掛けたドラマがスタートしました。
業界のタブーに挑んだ、その名も「共演NG」です。

舞台は弱小テレビ局が社運をかけたドラマの制作現場。
かつては恋人同士で、今は共演NGの大物俳優2人がドラマで共演するというものです。
まず虫眼鏡で太陽光線を集めて。

発火させるポイントをどこにするかということは考える。

あまり広いとフォーカスが合わないと結局は帯に短し襷に長しで誰にも刺さらない中庸なものになってしまうので。

1,000人・1万人の中で「面白そうだ」より、10人が熱狂的に「面白い」と思うことが狙い。

「エンタメ業顔のこれからの軌道は?」
これは希望的観測。

希望的観測と話す理由は、まず向き合うべき現実があるからです。

苦労している分野の皆さんがいる。

医療を応援しなければいけないし、そういうところから一丸とならないと。

エンタメはそのすべてが満たされながらの楽しみであり、それを切り離してエンタメだけ良ければいいわけではないので。

われわれも頑張らないといけない。
