メキシコでの自動車生産に対して厳しい対応を取っているトランプ大統領。
さらに日本の市場についても「日本はアメリカ車の販売を難しくさせている」と批判しています。
しかし実態はどうなんでしょうか?
日本にある元フォードの販売店を取材しました。
株式会社丸栄カーライフ
岐阜市内にある輸入中古車の販売店、株式会社丸栄カーライフ。約30年に渡りフォード・モーターの正規販売店として営んできましたが2016年9月末にフォード・モーターが日本から撤退したことを受けて輸入中古車の販売に衣替えしました。
社長の横井巧さん、フォード・モーターが日本から撤退することを聞いたとき、
信じられなかった。本当かと。
案内してくれたのはフォード・モーターのSUV、多目的スポーツ車です。
出来の悪い子ほどかわいい。本当に愛していましたフォードの車を。
エコスポーツは世界的なSUVブームにも関わらず日本での販売には苦戦したといいます。
日本のお客様に受け入れられなかったのはナビ。こちらはダッシュボードの上に後付けしている。この車はナビゲーションを中に入れられなかった。
あらかじめカーナビをはめ込むスペースがないためダッシュボードからはみ出す形で取り付けざるを得ないのです。
別の輸入車を見てみるとボルボはカーナビがきれいに収まるようになっています。
日本のお客様はナビをラジオのようにつけているから、ラジオのようにすべての車にナビを付けてくれとお願いした。
「何とかなった?」
この車は最後まで何ともならなかった。
一番の売れ筋だったのがエクスプローラー。しかしこちらは左ハンドル。販売店として日本仕様の右ハンドル車を作るようにメーカーに要望しましたが実現しませんでした。
撤退前の2015年、日本国内で売れたフォードブランドの車は4,968台と低迷。新車販売に占める割合はわずか0.1%でした。
これに対しお隣の中国では1年で112万6,754台を売り上げました。
横井巧社長はフォード・モーターが日本市場をあまり重視していなかったことが販売不振の背景にあったと感じています。
フォードは中国では100万台だと。5,000台のために日本仕様をつくったらコスト的にも車代が上がる。それを聞いて「なるほど」僕でもそうするかなと。
なぜ自動車メーカーが標的? その「真の狙い」を読み解く!
ナカニシ自動車産業リサーチ
お隣の中国などと比べて日本市場の魅力が失われつつあるいま、トランプ大統領はなぜ自動車を標的にするのでしょうか?
自動車業界のアナリストはその狙いは自動車に圧力をかけることで他の分野で日本側の譲歩を引き出すことにあるといいます。
「アメリカ車が日本で売れるとは本音では思っていない?」
ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は、
アメリカの自動車メーカーは日本で売れるとは考えていないと思う。そうでなければフォードが日本を撤退する決断には至らないはず。そうするとアメリカが売りたいものはアメリカが得意とする産業。やはり農産物がテーマに上がりやすい。厳しい交渉にならざるを得ない。
また日本の自動車メーカーは今後、アメリカでさらなる現地生産を拡大する道を選ぶことになると予測します。
日本メーカーはNAFTA中心に考え合理性やコスト競争力に主眼が行き過ぎていた。それが日本の自動車産業の構造的な問題点。もっとアメリカで造るということに尽きる。
「車の製造コストが上がるのはしょうがない?」
製造コストには間違いなく跳ね返るが、だからやらないというのが許されない状況。それを乗り越える企業努力が必要。
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