
経団連の十倉会長は来年の春闘に向け基本給を底上げするベア、ベースアップを前向きに検討するよう会員企業に求める考えを示しました。物価の上昇が続く中、賃上げに向けた企業の対応が注目されます。
経団連会長「賃上げベアで」
業績好調な企業の対応は…
記者会見に臨んだ経団連の十倉会長。来年の春闘に向けた経営側の方針案を示しました。
経団連
十倉雅和会長

今回の物価高騰が一時的なら一時金という考え方もあると思うが、ベア中心に考えていただきたい。
今回、焦点となっているのがベア、基本給の底上げです。
賃上げは勤務している年数や年齢などに応じて賃金が増える定期昇給のほかに基本給の水準を従業員一律で引き上げるベースアップ、いわゆるベアがあります。
ただベアによって底上げされた賃金は簡単に下げることができないため企業も実施に向けては慎重になるのです。
しかし、経団連は政府や日銀が目指す物価と賃金の好循環を目指すため会員企業に対してベアの検討を求めるといいます。
経団連
十倉雅和会長

賃上げは業績のいい時にやるものという考え方。
これを契機としていいモメンタム(方向性)、物価と賃金のいい好循環に持っていきたい。
十倉会長が訴えるベアについて11月7日に決算を発表した経団連の会員企業からは…
味の素
藤江太郎社長

ベースアップするかしないか、まだ決めていないが、経団連や政府の方針があるので十分に見据えながら、労働組合の要求水準もしっかりみて、企業業績をみて決める。
円安などを背景に今年度の業績予想を上方修正した味の素。
藤江社長はベアを含めた賃上げについて検討する考えを示しました。
一方、製薬大手のエーザイは…
エーザイ
人事担当社

ベアに関してだが現時点での社員一律のベアは検討しない。
エーザイも円安などを背景に今年度は増収増益の見通しですが、賃上げは業績や個人の評価を反映させる形とし、一律のベアは検討しないといいます。
早くも企業によって対応が分かれる形となりました。
一方、労働組合の中央組織である連合は定期昇給分とベアを合わせて5%程度の賃上げを要求する方針です。
連合
芳野友子会長

物価高の中で生活困窮者も非常に多い。
生活に大打撃を与えている状況の中での取り組みなので、しっかりと物価上昇分を取っていくという意気込みを込めた闘争方針だと理解いただきたい。
経団連会長「賃上げベアで」
カギは企業の生産性アップ
賃上げについて街の声を聞いてみると…
サービス業

給料が上がってほしい。
ベアには期待していない、正直。
自動車修理業

物価が全部上がっているので給料が上がらないと苦しい。
でもベアは無理なのでは。
ベアについては期待が持てないという声が多く聞かれました。
専門家は円安の恩恵で今年度の業績が好調な企業でも来年のベアは期待できないといいます。
野村総合研究所
エグゼクティブ・エコノミスト
木内登英氏

足元で円安で一時的に収益が良くなっているが、為替も先行きどうなるか分からない。
為替は水物だから今、円安でもうかったから「全部賃上げに」ということはないと思う。
継続的なベアを実現するには企業の生産性を上げる必要性があると指摘します。
野村総合研究所
エグゼクティブ・エコノミスト
木内登英氏

「賃上げせよ」や「賃上げしないとけしからん」とかではなく、企業が自然に賃金を上げるような経済環境をつくりだす。
そのためには生産性を上げる。
将来の成長期待を上げることが重要。