スマートフォンの普及などでパソコン市場は低迷が続いていますが、出荷台数で世界トップのHPが10月26日、世界初というパソコンを発表しました。
その思惑と日本のメーカーの生き残り策を取材しました。

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株式会社日本HP
HPのデザイン部門グローバル責任者、ステイシー・ウルフ氏は、
モダンビンテージとテクノロジーが完璧な状態で融合しているものだ。

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パソコン世界最大手のHPが個人向けのノートパソコン「HP Spectre Folio 13」を発表しました。

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外装やキーボードの周りはなんと牛革。
本物の革を使った世界で初めてのパソコンです。
触感、素材感、ぬくもりがある。

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他社のPCは冷たい、無機質に感じるがぬくもりを感じるからとてもいい。

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新商品が新しいカテゴリーの素材で実現できたので評価されると思う。

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デザイン部門の責任者は仕上がりに手応えを感じていますが実際の感触は?
相内優香キャスター、
全部革張りなので重たくなる感じがありますね。ただ電子機器にも関わらずすごく柔らかさがあって手にしっくりと馴染む感覚があります。

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柔らかい革を使っているのでディスプレイ部分を通常のノートパソコンの位置からタブレットの位置までスムーズに動かすことができます。
また付属のペンによる手書き入力にも対応。

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バッテリーは最大で19時間使えるなど高性能の個人向けノートパソコンです。

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ただこの製品は・・・
日本HPの岡隆史社長、
性能とか機能より好きか嫌いかが大事になってくる製品。

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世の中に今ないものを出したときに新しい市場をつくれるのではとHPとしてチャレンジしている。

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HPは性能ではなく本革を使ったことやデザインを全面に押し出し製品をアピールします。

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その理由はパソコンは標準部品が多く他社と性能面で差別化することが難しいからです。

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「スペックが変わらない分、差別化はデザイン?」

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感情を動かすにはデザインは非常に大きな要素。

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世界のパソコン市場は近年、スマートフォンに押されて伸び悩んでいます。

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そこで今までにないパソコンを提案することで市場の活性化を狙います。
「今後もデザイン・質感、今までにないものにチャレンジする?」

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グローバルにいろいろな材料を研究をしている。革もその一つ。

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今ないものをどうやってお客様に紹介していくかがPC業界のチャレンジ。

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VAIO株式会社

6年連続で減少が続く世界のパソコン市場。
こうした中、日本の電機メーカーは軒並み事業の構造改革に着手しました。
NECと富士通はパソコン事業を中国のレノボ・グループが主導する合弁会社に切り替え、さらにソニーも・・・

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2014年、当時のソニーの平井一夫社長は、
ソニーとしてはモバイル領域はタブレットとスマホに集約する方が良い。

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2014年、一世を風靡したVAIO(バイオ)ブランドで知られる不採算のパソコン事業を売却しました。

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バイオの吉田秀俊社長は、
昔のようになんでも作れる時代ではなくなった。

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昔のパソコン、バイオの発想では生き残れない。

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独立したバイオが目をつけたのが国内市場の6割を占める法人向けパソコンの生産でした。
その戦略が功を奏し、バイオは4期連続の最終黒字を確保。

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現在は出荷台数のおよそ7割を法人向けが占め、今年5月期の売上高は過去最高の214億円でした。

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いまのバイオの最大の強みが「安曇野FINISH」と呼ばれる製造工程です。

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長野県安曇野市。

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製造ラインでは最終工程の組立工程が一つ一つ手作業で行われていました。
最終工程を安曇野工場で行うことで徹底した品質管理を行っているのです。

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そして監視カメラが設置されたこちらの部屋では・・・・
バイオの技術営業課、西澤良太郎さん、
こちらからは顧客の情報が映ってしまうので、ここまでで遠慮ください。

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キッティングエリアになります。

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キッティングとは法人向けに製造したパソコンに顧客ごとに必要なソフトやアプリなどをあらかじめインストールする作業。

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専門業者に委託することが一般的ですが、バイオでは安曇野工場でキッティングまで行います。

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こうすることで大幅な納期の短縮につながるのです。
一方、立入禁止と書かれたこちらの部屋では・・・

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バイオの品質保証課、海口康洋さん、
キーボードのフィーリングを確認しています。

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ガラスの中は気温40度、湿度90%。
高温多湿な日本の気候に合わせ、部品の耐久性を検査しているのです。

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安曇野工場に製造・営業・品質検査などすべての機能が集約されている。

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絶えずお客様の声を反映するのがバイオの特徴。

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今後はこの品質を武器に海外へ再び打って出ます。

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辛酸を嘗めてきた日本のパソコンメーカーですが変化も。

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シャープはDynaBook(ダイナブック)ブランドで知られる東芝のパソコン事業を今月買収。
親会社の鴻海精密工業との相乗効果で反転攻勢に出ます。

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世の中、合従連衝はある。皆さんいろいろな思惑でする。

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PC事業が負担になるメーカーもあるし、取り込むことで相乗効果を出そうという企業もある。

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バイオとして成長戦略を組めるよう変化に対応できる会社にしたい。

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