[ガイアの夜明け] 「鮮度」が命!驚きの技術!(3)

「鮮度」が命!驚きの技術!

株式会社サンクゼール

東京・銀座の新名所「ギンザシックス」。

その地下にワインなどを販売する店「サンクゼール」があります。

この日、その一角に人だかりができていました。

売っていたのは飲み残したワインを保存できる容器でした。価格は500ml用が900円、1リットル用が1,200円。

飛ぶように売れる秘密は?

ハジー技研株式会社

千葉県茂原市。

のどかな田園地帯にその会社はあります。ハジー技研。

2001年に創業し、従業員は13人。

液体を劣化させずに長期保存できる真空ハジーボトルはこの小さな工場で作られていました。

この会社は家庭で簡単に使えるものを中心に様々な食品の真空保存容器を製造。

その全てを設計しているのが社長の萩原忠さん(86歳)。

発明というのは複雑なものはダメ。

シンプルでなおかつ決定的なもの。オンリーワン。これが大事。

萩原忠社長

萩原さんは大学を卒業後、水道やガスのメーターを製造する会社に就職。そこで水や空気をコントロールする技術を学びました。

そして1962年の31歳の時、アメリカの企業「ダイナミック・エコロジー」からビッグチャンスが舞い込みます。

NASAの仕事をしている会社を手伝いに行った。

油圧の油の劣化を防止する装置を作った。ロケットの中の。

萩原さんが開発した油の劣化を防ぐという装置は当時、NASAが進めていたアポロ計画のロケットにも採用されたといいます。

その後も石油プラントの開発など大型事業を手掛けた萩原さん。

転機が訪れたのは70歳の時でした。

咽頭などにガンが見つかり手術。その入院中、世界の食糧危機をテレビで知り食品の保存に自分の技術を役立てたいと思うようになったのです。

戦争中、ずっと食料危機で一番育ち盛りに戦後の食糧危機を味わった。

保存と流通と備蓄。

生きていた証というか証拠を残したいというだけだった。

カンボジアのコショウ農園

9月上旬、萩原さんが新たに作っていたのは人の背丈ほどもある大きな真空容器です。

コショウとか100キロ入る最大級の袋。

実はこの容器、発注したのはカンボジアのコショウ農園だといいます。

依頼主は農園のオーナーである日本人の片山千晶さんとカンボジア人のカン・コサルさん。

2人のコショウ農園には電気が通じておらず木造の小屋があるだけ。収穫したコショウは袋に入れ保存するしかありません。

どこでもこういう袋に入れて保存している。販売する時も。

一番大きな問題はカビ。

品質が落ちる前に売り切らなければならず、安値で買い叩かれて困っているといいます。

生産が多い上半期は卸値が安くて下半期は高くなる傾向がある。

コストがあるのでできるだけ安い時は保存するのが我々の希望。

コショウの相場は変動が激しく数年で7倍近い差ができることもあります。長期保存ができれば収入の安定につながります。

そこで事情を知った萩原社長が長く使うことができる大型の保存容器を作ると約束したのです。

私とすれば今回のこれはどうしてもやらなくてはいかんと。

世界にはそういうところが多い。

それに適応する技術というのは開発しなければいけない。

ところがカンボジアの農園から悪い知らせが・・・。

何だこれ?

ネズミに食われたそうです。

これはちょっとひどいね。どうしようもないね。

現地に送ったサンプルの真空容器に穴が・・・。コショウを入れて小屋の中で保存していたところ、ネズミに噛じられてしまったのです。

何とかしないとしょうがないね。これ。

真空容器に思わぬ難敵が・・・。

IMARI株式会社

9月中旬、佐賀県伊万里市。

萩原さん、早速動き出しました。

やって来たのはIMARIという会社。精密機器を輸送する際に使う緩衝材などを製造している会社です。

ここにネズミから真空容器を守る秘策がありました。

改良された真空容器

10月6日、カンボジア・シェムリアップ。アンコールワット遺跡で知られる街です。

空港に降り立ったのはハジー技研の長浜俊次郎さん。高齢の萩原社長に代わり完成した真空容器を届けに来たのです。

農作物を作っている現場で試すというのは今回が初めてなので、これが本当に現場で通用するというのを証明したい。

やって来たのはタイとの国境に近いカンボジア北東部のプレアヴィヒア。

空港からクルマに揺られて2時間。国道を外れ舗装されていない道の先に目的地が見えてきました。

一面のコショウ農園です。

到着した長浜さんを案内するのは真空容器の制作を依頼したオーナーの片山さんとコサルさん。

緑色の房状の実がコショウです。

カンボジアでは毎年3~5月に収穫します。天日で乾燥させるとブラックペッパーになります。

長浜さんが取り出したのはあの特大の真空容器。それを日本から持ってきた四角い枠の中に入れました。

現地のスタッフと一緒にコショウを詰めていきます。ポンプで空気を抜いて真空にします。

最後に枠を外すと100キロのコショウが大きなブロック状の塊になりました。

こんな袋で保存できたらいいですよね。管理が簡単そうだ。

こういうものが欲しかったんですよ。

続いて組み立て始めたのは真空容器を入れるダンボールの箱。実はこれ三重構造になっていてネズミでも簡単には食い破れないようになっています。

さらにもう1つ組み立て始めたのが白い箱。こちらはカンボジアに持ち込む前にポリウレア樹脂を吹き付けたものです。1箱1万5,000円と高額ですがネズミに噛じられる心配もなく10年以上持つといいます。

その時、突然の雨が降ってきました。

すると長浜さん、農園のスタッフたちを集めました。

これくらいまでは大丈夫。

長く使うのであればこっち(樹脂加工)の方がお薦め。

これなら拭いただけで大丈夫。

どちらも防水性があり急な雨でも心配ありません。

絶対ネズミがいないようにできるなら段ボールで。

ちょっとネズミが心配だったらこれを選ぶ。

保管の仕方の選択肢が増えたと思う。

これがあると今までの心配は解決できる。

すごく助かります、

本当に良かった。

次の収穫を迎える来年の3月までそれぞれの箱でテストを続けていくことになりました。

大人気の真空容器、思わぬ展開が待っていました。

小学校への寄付

10月7日、カンボジア・プノンペン郊外の農村地帯。

ハジー技研の長浜さんたちが訪れたのは地元の小学校です。

萩原社長からあの真空容器を学校に寄付するようにと言い付かってきたのです。

この辺りはまだ電気や水道の設備が普及していません。

真空容器に夢中の子供たち。

真空水筒は気温や湿度が高い場所でも水が腐らないという優れものです。

こういう容器はカンボジアでは見たことがありません。

浄水器付きの水道みたいにして使えますね。

真空水筒は各教室に置き水道代わりに使ってもらえることになりました。

これからは安全な水がいつでも好きな時に飲めるようになります。

参議院議員会館

一方、東京でも思いがけないことが・・・。

10月13日、東京・千代田区の参議院議員会館。

この日、開かれていたのはアフリカの支援団体が主催する各国大使を招いたセミナー。

そこにハジー技研の萩原社長がいました。

実は発展途上国向けの技術として真空容器を紹介することになったのです。

固まりました。これで1年間もちます。

萩原さんの説明に聞き入るアフリカの各国大使たち。簡単に扱える真空容器に驚いています。

そして、ジブチ共和国のアホメド・アライタ・アリ大使、

この容器は実に興味深い。

アフリカだけでなく世界中で役に立つことでしょう。

これは革命的な発明です。

食糧不足に苦しむ人達を救いたい。アフリカでも水や食料の保存テストが始まることに。夢が膨らみます。

一番うれしいのは自分の技術が世の中の役に立つ技術だったと今日、証明されたような気がする。

食糧の保存、飲む方と食べる方の両方。全力を尽くすしかない。

大いに頑張って、命の続く限り。

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コメント

  1. 中山 善吾 より:

    今日、モーニングショーで、萩原 忠さんの「真空保存容器」を見ました。自分の経験で残した技術を整理しておいて何時でも使えるようにしておく。70歳の時に癌の余命宣告を受けて、「どうせ死ぬのなら世のため、人のために役立てるものを作る」と眞空保存容器を開発されました。世の中ではノーベル賞や大統領や何兆円の資産がある経営者がいますが、萩原 忠さんのように「世の中に役立つ、先進国でも、後進国でも役立つものを作る」使命感は、尊敬に値します。スポーツ・推理小説・発明・心理学などはノーベル賞がありませんが、そのような方々にもノーベル賞があってもいいと思います。ノーベルはダイナマイトを発見・開発したのですから。「世の中に役立つものを作る」=萩原 忠さんのような人が世界を豊かにし、平和な世界を作るのだと思いました。今後益々のご活躍を、陰ながら見守ります。