東京の真ん中にお花とスイーツが人気のカフェがあります。
これを手掛けているのは30歳の女性社長です。
このお店、若い女性だけでなく様々な企業や行政からも注目を集めています。その理由を取材しました。
株式会社LORANS.
[blogcard url="https://floran-jp.com/"]
東京・千駄ヶ谷にいま話題の店があります。
緑があふれる店内、カフェのようですが…
お客様のお目当ては、
かわいい~
こちらのオープンサンド。
ライ麦パンの上には甘いイチゴがたっぷり!きれいな花びらもあしらわれています。
めっちゃかわいい。
写真撮っていいですか?
彩り豊かなオープンサンドの数々、インスタグラムで若い女性たちを惹きつけています。
高橋麻美さん
実はこのカフェを運営しているのは隣りにあるお花屋さん。
花をあしらったカフェのスイーツも花のプロだから生み出せる作品だったのです。
花屋部門のリーダーを務める高橋麻美さん。この店で働いて2年半になります。
トルコキキョウも仏花で利用できる。
これはなんですか?
これはキクですね。
高橋さんは生まれつき体に障害があり、身長は130センチに満たないほどです。
それでも職場で不自由を感じることはないといいます。
ここで働いていると障害のことを忘れる。
楽しく仕事させてもらっている。
ローランズのスタッフの多くは心や体に障害や病気を持っています。
その数は60人のスタッフのうち、なんと45人にものぼります。
山田涼子さん
カフェスペースで働く山田涼子さんもその1人。精神障害系の疾患を抱えています。
こちらで働き始めておよそ1年が経ちました。
ずっとここで働きたいと思っている。
福寿満希代表
この店を立ち上げた若き女性社長が福寿満希さん(30歳)。
障害者雇用のイメージを変えたかった。
仕事が楽しいものになって、人らしく働けることが大切だと思っている。
この店を訪れるお客様のほとんどは障害者が働いていることに気がつかないといいます。
「店員が障害などを持っている?」
知らなかった。
全然そんな感じもせず普通に接してくれて、うれしかった。
遠藤薫さん
店の上の階では別の仕事に従事するスタッフの姿が。
作っているのは法人向けのフラワーアレンジメント。
会社の安定収入につながるだけでなく作業そのものがスタッフに安らぎを与えています。
パニック症状の経験を持つ遠藤薫さん、
すごく癒やされる。感覚と匂いと色と形で。
Cucina del NABUCCO
[blogcard url="https://www.huge.co.jp/restaurant/nabucco/nabucco"]
この日向かったのは結婚式会場。
こうした飾り付けも法人向け事業のひとつです。
作品の質の高さが評価されていて契約するウエディング会場の数を伸ばしています。
「飾られた花を見てどう感じる?」
高揚感がある。
よかったなっていう気持ち。
こうした仕事がスタッフたちの生きがいになっていました。
人生の幸せの絶頂のタイミングはいくつかあるが、そのうちの一つに関われるのは気分が良すぎて体調が悪いことなど忘れてしまう。
障害者雇用
障害者雇用のイメージを変えたいと会社を立ち上げ、奮闘してきた福寿さん。
評判は海を渡り、海外から視察が訪れるほどに。
その原点を尋ねるとあるものを見せてくれました。
原点なので振り返れるように大切に持っている。
大学時代、特別支援学級の教員免許を取った福寿さん。
教育実習をする中で障害者たちの働く環境に関心を持ったといいます。
就職できたとしても「シール貼り」や「箱の組み立て」など。
仕事の選択肢は単調な作業がほとんど。
もっと働きたいという夢を持つ障害を持つ子どもたちの受け入れ先になる会社を作りたいと思った。
23歳の時にたった1人でローランズを立ち上げたのです。
そして、とうとう行政をも動かくことになりました。
東京都
先月、東京都の小池知事が発表したのは、
障害者雇用を促進するため全国で初めて都が特例を活用する。
障害者雇用のノウハウを持つローランズが出資して「ウィズダイバーシティ有限責任事業組合」というLLPを立ち上げた。
都が国の戦略特区制度を活用しローランズの新たな活動を後押しするというのです。
この翌週、福寿さんは東京都庁にやって来ました。
東京都の担当者との打ち合わせのためです。
東京都の特区・戦略事業推進部の青木優紀さん、
今後の手続きについてお話できれば。
小池知事の会見後、福寿さんのもとには問い合わせが相次いだといいます。
参画したいという企業から問い合わせをもらっている。
障害者雇用をめぐっては一定割合を法律で義務付けられているにも関わらず、手本になるべき国ですら基準を満たしていませんでした。
こうした問題を解決するために今回ローランズはLLPを設立しました。
中小企業はLLPに対してフラワーアレンジメントなどを発注すると、中小企業はその分量に応じて障害者を雇用したと見なされます。
法定雇用率を達成したいという企業のニーズは高いとみられ、LLPでは受注が増えるに応じて障害者雇用を増やしていく仕組みです。
寺田倉庫株式会社
[blogcard url="https://www.terrada.co.jp/ja/"]
東京・天王洲。
この日、福寿さんをはじめローランズのスタッフの姿がありました。
やって来たのは緑のメンテナンスのため。
このエリアの植栽を一手に引き受けているのです。
訪ねてきたのは植栽を発注している企業の役員、寺田倉庫の木村哲章さんです。
実はローランズのLLPへの参画を検討しています。
うちも出資参画できるということがうれしい。
福寿さんの仲間がまた1人増えそうです。
もともと天王洲の緑をきれいにすることをローランズに発注していた。
事業を進めていくうえでも障害者雇用につながるという点でもプラスになるのでLLPへの参画を検討している。
障害者が生き生きと働ける場所を増やしたい。
福寿さんの思いはいま大きく花開こうとしています。
様々な中小企業と協力してチームで障害者雇用を推進していきたい。
生き生きと働く障害者が増えると思うとわくわくする。