牛乳石鹸共進社株式会社
都内にあるホームセンター「カインズ南砂町SUNAMO店」。
シャンプーなどの売り場の一角にあったのは、誰もが見たことがある赤色のパッケージ。
美容サイトを見ると牛乳石鹸はいいとある。
牛乳石鹸、よい石鹸。
発売から88年、牛のマークが印象的な牛乳石鹸。
年間約1億2,000万個以上売れ続ける石鹸の秘密に迫ります。
安田工場
ロングセラー研究員が向かったのは大阪にある牛乳石鹸共進社株式会社の安田工場です。
中に入るとずらりと並んでいたのは大きな釜です。
製造部の本庄祥宏さんによると
今は固形のせっけんの前段階。5~7日で1つの釜をまわす。
大きな釜で原料の牛脂、ヤシ油などを混ぜながら牛乳石鹸は作られています。
この道15年のベテラン職人がヘラを使って何か確認をしています。
いま何を確認している?
仕上がりを確認するため皮の薄さを見ている。薄皮が残るくらいがちょうどいい。
一見すると分かりませんが、うっすら膜を張るようになったら完璧な配合だといいます。
それぞれの釜の特徴を人が見極めながら手間暇を掛けて作られているのです。
先輩は「せっけんは五感で炊く」と言っていた。人でも時間もかかるが、一釜一釜炊くのが牛乳石鹸のやり方。
分析1・職人の丁寧な手作業で昔と変わらない品質を守っていました。
釜炊きを終えて香料などと混ぜ合わせて型抜きをすればお馴染みのカタチになります。
そして最後の検品でも機械だけに頼らず人が色合いや香りを確かめるという手づくりへのこだわりです。
牛乳石鹸の歴史
牛乳石鹸共進社株式会社は107年前の1909年に大阪で創業。
1949年には容量と価格を抑えた青箱を発売し全国的な知名度を得ました。
また箱のデザインも少しずつ変更を繰り返し、その時代の背景に合わせながら成長・拡大を続けてきました。
マーケティング部の上野正雄さんによると
中身はほとんど変わってないが、5代目でピンクに近い色に変えた。牛乳石鹸らしい色ではないと売り上げが少し落ちた時期もあった。
1990年代以降はボディーソープなど液状の商品に押されて固形石鹸の売上は減少。
商品数を増やしたものの手を広げすぎたことで一時は赤字すれすれでした。
それを変えたのは宮崎仁之会長の大胆な決断でした。
せっけんで日本一を目指したい。
強みである牛乳石鹸を中心とした戦略で、いまでは国内せっけん市場No.1となったのです。
分析2・せっけんに原点回帰したことで信頼も業績も回復。
最近では若い女性を中心に再びせっけんの良さを見直す人が増え人気の赤箱の売上は2015年と比べて約3割増加しました。
世の中には変えていいものと変えてはいけないものがある。当社が変えてはいけないものは品質。せっけんを使ったことのない人たちに使ってもらうことで伸びてきていると実感している。
牛の歩みのようにゆったりと牛乳石鹸の進化は今なお続いています。
コメント