ガイアの夜明け ビジネス関連

[ガイアの夜明け] 我が家の「価値」 どう守る?(1)

2016年9月7日

 我が家の「価値」どう守る?

レ・ジェイド世田谷砧

[blogcard url="http://sumai.es-conjapan.co.jp/kinuta25/"]

8月、東京・世田谷区。

新築分譲マンション「レ・ジェイド世田谷砧」のモデルルーム。

沢山の家族連れで賑わっていました。

空前の低金利となった住宅ローンが追い風になっているようです。

売る側は差別化を図ろうと個性的なサービスで興味を惹きます。

カフェが朝7時から23時までやっているので、そのサービスを提供することができます。

1階にはカフェを併設。そこのスタッフがコンシェルジュの役割も担うホテルのようなサービスがここの売りです。

一方で買い手の関心は

やっぱり価格はまず考えてしまう。

金額は当然だが、住環境とやはり学校。

新築マンションを購入した人へのアンケートによると、最も重要視したのが「価格」、次いで「最寄りの駅からの時間」、「住戸の広さ」。

そして一番関心が低かったのは「管理会社、管理内容、アフターサービス」でした。

ハイホーム綾瀬

しかし、その管理に悩まさせている人たちがいました。

東京・足立区にある「ハイホーム綾瀬」。

46世帯が入る築27年のマンションです。

元会社員の間島邦夫さん(67歳)。

スペイン風の瓦に魅せられこのマンションを購入しました。

屋根がきれいにオレンジ色に輝いて素敵なマンションと思っていた。

しかし、このマンションは約15年前に大規模修繕を一度行ってから、その後一切修繕を行っていません。

そのため間島邦夫さんは大きなツケを払わされていました。

天井が水浸しで、ここに食器棚があったが、それも水浸しで…

雨漏りでキッチンが水に浸かってしまい、修理に約150万円も掛かりました。

この屋根は絶対にまずいなと思って、大規模修繕では屋根瓦から替えないとダメだと思った。

建物のチェック

この日、ハイホーム綾瀬に2人の男性がやって来ました。

間島邦夫さんがある場所へと案内をします。

一体、何をしているのでしょうか?

この建物はデザインが凝っているので、鉄のひさしですね。こういう所もヒビが入っています。くっついているとちゃんとこういう音がします。浮いちゃっているので、放っておくと、これが落ちてくる可能性がある。

彼らはマンションの問題をサポートするNPO「特定非営利活動法人日本住宅管理組合協議会」の西山博之さんと一級建築士の水白靖之さん。

住民を代表して間島邦夫さんが建物のチェックを依頼したのです。

次に見つけたのは、

サビが進行していますね。

鉄は錆びやすいので5~6年に一度は塗装しないと腐食して取り替えるしかなくなるといいます。

さらにとんでもない箇所が見つかりました。

浮いちゃってますね。これはコンクリートですよね。コンクリートが取れちゃった。

鉄筋コンクリートにひび割れができると、そこから水が入り鉄が錆びます。鉄は錆びると膨らむためコンクリートを押し出して壊してしまします。

そして雨漏りの原因かもしれない場所が屋根にありました。

あの辺がめくれていますね。中の木が腐っているので、くぎが利かない。

くぎが浮いて隙間ができています。

雨が屋内に落ちてくる可能性がある?

内側に回っている可能性がありますね。

瓦の塗装もすっかり剥げて黒ずみ、欠けてしまっているところもあります。

ずれた箇所にはすずめが巣を作っていました。

もう早急に大規模修繕をやらないといけない状態。

修繕待ったなしの状態。

しかし、見積もりを取ってみたら大変なことに気付きました。

ふたを開けると、修繕積立金が足りない。

資金が全く足りないのです。

人生で最大の資産「マイホーム」、その価値をどう守っていくのか。

特定非営利活動法人日本住宅管理組合協議会

[blogcard url="http://www.mansion-kanrikumiai.or.jp/"]

東京・足立区にあるハイホーム綾瀬。

15年以上、大規模修繕をしていなかったため、今ではいたるところに痛みが…

もう待ったなしの状態です。

住民の代表として修繕を担当することになった間島邦夫さん。

大規模修繕をやりたくても、できない事情があるといいます。

ふたを開けると、修繕積立金が足りない。

ハイホーム綾瀬は46世帯、年間約180万円の修繕資金を積み立ててきました。

しかし見積もりを取ってみると工事費約1億900万円に対して、貯まっていたのは約3,750万円。全く足りていないのです。

すると管理会社は1世帯当り100円を越す一時金か毎月の積立金を20倍にすることを提案してきました。

どう考えても20倍なんて住民が承知するはずがない。もう八方塞がりというのが現状。

困り果てた間島邦夫さん、どうすれば大規模修繕ができるかマンションをチェックしてもらった特定非営利活動法人日本住宅管理組合協議会にアドバイスを求めました。

こんなにお金がないのに、どうして大規模修繕ができるのか、にっちもさっちもいかない。

特定非営利活動法人日本住宅管理組合協議会の西山博之さんは

自分の修繕積立金だけでは、ここまでしかできない。そういう場合は、金を借りてやっていく。

勧められたのは政府系金融機関からの借り入れ、管理費の一部を修繕積立金に回すことを条件に工事費の一部、4,000万円を借り入れました。

実はこうした借り入れは全国で急増。

政府系金融機関に融資を求めたマンションの数は、ここ1年で約370件。5年間で2倍に増えています。

引渡し

着工から5ヶ月経った8月5日。

特に痛みがひどかった大規模修繕工事が終了しました。

一級建築士の水白靖之さんが

最終的な確認を皆さんにお願いします。

引渡しのチェックです。

間島邦夫さんたち住民が自らの目で一つ一つ工事箇所を確認していきます。

屋根がきれいになりましたね。

屋根瓦は全て取り替えられ、雨漏りの心配がなくなりました。

剥がれてしまったコンクリート部分もきれいに修復されています。

錆びて腐った鉄の庇は外され、新しいものに交換されました。

「肩の荷が下りた」と言えるかどうか分からないが、完成してよかった。

株式会社スター不動産

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ハイホーム綾瀬の資産価値はどうなったのでしょうか?

足立区のマンションを数多く取り扱う不動産会社「株式会社スター不動産」で聞いてみました。

お客様から選ばれるマンションに生まれ変わったと思う。今回の大規模修繕を終えて資産価値を維持し、資産価値の上昇につながると思う。

ブラウシア

[blogcard url="http://blausea.net/"]

一方こちらは千葉市のファミリー向けマンション「ブラウシア」。

総戸数は438戸、分譲されたのは12年前。

しかし売りに出されると、すぐに買い手がつく人気の物件だそうです。

守屋誠さん(37歳)、すぐ近所から前の日に引っ越してきたばかりです。

管理組合側から入居者説明会ということで。

先輩住民が守屋誠さん一家を迎えてくれます。

同じ住民から直接話を聞いて奥さんもここでの生活に一層期待が膨らんだ様子です。

妻がこちらのマンションの管理が「しっかりしている」とママ友から聞いて、それがきっかけで上が空いたので見にきて。

そうなんですか、それはうれしい話。

将来的な資産価値が安心できるので、すぐに決めた。

一般的にマンションの管理は住民達が管理組合という組織を作って行います。

掃除や建物の点検といった日常の業務は管理組合が代金を支払って管理会社に委託しています。

あえて中古に住まわせてみたいと思わせたブラウシアの管理とは、どんなものなのか?

自動販売機

ある週末、スーツ姿の男性が訪ねてきました。

出迎えたのは住民達。

早速、案内した先はマンション1階の自動販売機コーナーです。

5台ある機械を一度に入れ替えようと業者に声を掛けたのです。

住民でIT企業に勤める高田豪さん(39歳)。

外だと130円で売っているのを120円にしてくれている。

こうした交渉は普通、管理会社の仕事ですがここでは住民自らが行います。

高田豪さんたちは今回6社から見積もりを取っていました。

各社を比較した上で一番いいところと契約したい。

より良い条件を引き出そうと交渉を仕掛けます。

さらに、

手数料はどれくらいだったら御社で提供してもらえますか?

手数料とは商品が売れる度、管理組合に入る収入のことです。

自動販売機の運営会社は

1本当たり30円値引きで販売して、手数料は10~15%程度です。

結局、一番条件が良かったこの業者と契約をしました。

商品が安く購入できる上に、新たに年間45万円の販売手数料が管理組合に入る見込みです。

自動販売機の運営会社の担当者は

聞いたことがないような質問がくる。管理組合の理事会から、こんなに要望をもらうことは今までなかった。

高田豪さんは

自分の家にものを置くなら、極力魅力的なものを置きたい。「自分のマンションだ」といかに気付いて積極的に参加するか。

サービスの向上

管理組合が作ったホームページ

不動産会社など3社の広告を載せることで年間72万円の収入になります。

様々なアイデアを積み重ね、5年間で1,500万円を生み出しました。

そして行ったのが住民サービスの向上。

管理人は2人から3人に増やし、夜7時までだったサービスを11時まで延長しました。

フロントは以前は週に1日休みでしたが、今は年中無休です。

前は木曜日がやってなくて、「今日は休みだったんだ」というのがあった。毎日やってもらえるのは助かる。

周辺のマンション価格が5年間で1割程度下がる中、ブラウシアは1坪当たりの価格が112万円から119万円に上がっています。

管理組合

管理組合の中心を担うのが20人の理事達、任期は2年です。

あの高田豪さん、実は理事ではありません。

ここにブラウシアの強みがあります。

パーツからインターフェイスから変えないといけない。

高田さんは詳しいので。

理事の中には任期が終わっても自主的にマンション運営に参加する人がいます。

経験豊富な住民がサポートすることで質の高い管理を実現しています。

いまでこそ住民達は自主的な管理に力を入れていますが、5年前までは無関心だったといいます。

きっかけは東日本大震災でした。

切羽詰った時に当時の管理会社が対応してくれなかったので不安だった。

それまで管理会社に「オールお任せ」という感じで業務委託しているので「全てやってくれるはずだ」と思っていた。任せっぱなしは良くないことが、その時点で分かった。

自転車

2月下旬、住民達はある問題に取り組んでいました。

理事1年目の井阪洋昭さん(44歳)がその担当です。

マンションの廊下を歩くと、そこにあったのは自転車。玄関の脇に置いてありました。

災害の時に自転車が倒れて、通ろうとした時に障害になって通れなかった。

駐輪場がいっぱいになり溢れてしまった自転車が廊下のあちこちに…

これを減らしたいと考えています。

東邦レオ株式会社

[blogcard url="http://www.toho-leo.co.jp/"]

管理組合はもうひとつ懸案を抱えていました。

平日の午後6時半、都内に住民達が集まっています。

皆、仕事帰りです。

一体、どこへ向かっているのでしょうか?

着いたのはオフィスビル。

案内された部屋にはコンクリートブロックや石が置かれていました。

東邦レオ株式会社の片山隆史さんは

ブラウシアさんから依頼してもらっている中庭改修のバーベキューエリアとコモンスタジオ前。

中庭を改修するため業者と打ち合わせに来たのです。

懸案はバーベキューエリア、使いづらいという声が寄せられていました。

地面は土が削られ、雨が降ると泥濘んでしまいます。

そして水回り、大人が使うには低すぎるといいます。

花壇だった場所は踏み荒らされ、人が通る道が出来ていました。

実は今回の工事、ひとつ大きなハードルがあります。

業者がA、B、C、三つの案を出してきました。

住民の希望は最もキレイに仕上がるA案(約420万円)。しかし資金が50万円ほど足りません。

やっぱり御社も変なの出したくないでしょ。

全然、C案とB案が変だとは思っていなくて。桜の木の下に白レンガを入れているが、代わりに同色のブロックで巻く。5万1,000円がなくなる。

仕上がりが見劣りしない範囲で費用を削っていきますが、

やっぱり石張りは戻そう。どうしても石張りは譲れない。

石を敷き詰める舗装は復活。

コスト削減が難航する中、高田豪さんとっておきのアイデアが閃きました。

中庭改修工事

3月上旬、早朝、次々に理事たちが集まってきました。

中庭の改修担当の吉岡大輔さん(37歳)。

頑張りましょう。よろしくお願いします。

理事の一人がスコップを掴むと、そのまま木を抜き始めました。

我々でできる撤去や砂の移動を少し手伝うことでコストダウンを図った。

デザインの変更や植物の数を減らすなどして費用を抑えました。

しかしそれでも足りないため、作業を手伝うことで工事費を削減したのです。

その横には親子連れの行列が…

植物を植える作業を住民が楽しめるイベントにしました。

子供たちも夢中です。こうした機会に友達ができるといいます。

踏み固められて抜け道が出来ていた場所は、石張りとなり囲いができて人が通る心配はなくなりました。

土が削られ、水回りが使いづらいと不満が多かったバーベキューエリアは、便利な作業スペース付きのシンクが、住民の要望を実現しながら改修はすべて予算内に抑えました。

完成から10日後、早速バーベキューの予約が入ったようです。

利用料は1時間100円。土日は予約が取れないこともある人気の場所になりました。

自転車問題

一方、増えすぎてしまった自転車問題はというと…

ある女性が、これから買い物に出掛けます。

お借りしていきます。

マンションの駐輪場にやって来ました。

そこにあったのは住民で自転車を共有するシェアサイクルです。まずは8台で始まりました。

貸出料は2時間20円。

とても便利。「そういうシステムがほしいな」と家族で話をしていたところだった。私が言っていたことがいろいろと夢叶う。

シェアサイクルを始めると同時に住民に自転車の廃棄を呼びかけたところ、約100台を減らすことができました。

毎年恒例の夏祭り、こうした行事やイベント開くことで住民の間に自然に交流が生まれるといいます。

住民が自ら作り上げた新しいマンションのカタチ。

それが我が家の価値を守ることにもつながるようです。

「住みたい」と思うマンションは資産価値が上がっていく。自分が住みたいマンションをどう作っていくか、みんなで考えていく、一人ではなくて。

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