コロナ禍のこの夏、群馬県を中心に関東地方で大量の豚や牛の盗難が相次ぎました。
現在も警察の調査が続く事件の裏で何が起きているのか取材しました。

公益社団法人群馬県畜産協会

日本有数の豚の産地、群馬県。

この夏、少なくとも680頭の豚が盗まれました。被害額は2,400万円。

現在、JAが防犯パトロールを実施するなど対策を急いでいます。
多くの養豚場が取材を拒む中、協会のトップがWBSの取材に応じました。
その手口とは・・・
群馬県養豚協会の岡部康之会長、
豚房の中から2頭3頭と少しずつ盗っているので盗られたのがわからなかった。

一夜にして盗られた所もあった。100頭ぐらい。

すべて闇の中。

闇でやっているとしか思えない。

隣接する栃木県では別の被害が・・・

およそ90頭の黒毛和牛を育てるこちらの牧場。

生後間もない子牛が3頭盗まれました。
鶴田ファーミングの鶴田一弘さん、
犯行現場がまさにここ。

ある日突然わが子がいなくなったような悲しみと怒り、許せない気持ち。

犯行が行われたのは深夜。
高島嘉成記者、
実はいま照明を焚いていますが、これを落としてみるとこのような真っ暗な中で犯行に及んだという事です。

この夏設置した防犯カメラが一部始終を捉えていました。
先月下旬、午後10時24分。1台のワゴン車がやってきました。

降りてきたのは若い男性3人。
短パンとサンダル。犯罪に挑む格好じゃない。

20分後、犯人が牛舎から出てきました。

「牛が抵抗していない?」
ぐったりしている。一時的に気絶させたような感じ。

獣医に問い合わせたら可能性が高いのはスタンガン。

この夏、防犯対策に200万円以上費やした上、新型コロナの影響で牛肉価格が大幅に値下がりするというダブルパンチ。

ただBSE問題後、日本の牛の管理は厳格になっています。
それが「トレーサビリティ制度」。生後すぐに10桁の個体識別番号が割り振られます。

たとえ盗まれてもその番号によって食肉処理場などに持ち込まれれば盗品かどうかなど追跡・確認ができるのです。

人間でいう戸籍と住民票がついているようなもの。

どこかで処理するとか、市場に売るとプロでも足がつく。

事件から1ヶ月、犯人像が浮かび上がってきました。

コロナでオーバーステイ(不法滞在)の人が職を失って、自分たちも食べなくてはいけない、日本に来るのに借金もしている。

仕方なく犯罪に手を染める。

犯罪ができるような環境になってしまっている。

さらに隣接する牧場では意外な家畜が被害に・・・

牧場主の相沢明さんにとっても初めての経験でした。

盗まれたのは子どもヤギ3頭。

事件の後も怪しい出来事が・・・
近くの同業者の元に現れたのは、
外国人で前橋ナンバーの車。

「ヤギはいないですか?」と聞きに来た。

「3頭盗んだ後にさらに探りに来た?」
そうじゃないかなと思う。

今月、SNS上にベトナム語で書かれた写真付きの投稿が複数見つかりました。

日本語訳では「牛肉、新鮮な豚を同じ価格で、急がないと無くなります!」。
外国人労働者の仕事が激減、犯行に及んだという見方も。
しかし専門家は外国人だけでは不可能だと指摘します。
農畜産物コンサルタントの青木隆夫さん、
食べる量としては多すぎる。

中間でブローカーを使い売って、まだ生きているではないか。

外国に持って行くのは日本より安く売ることになる。

輸出はない。

特に盗まれた800頭近い豚に関して日本人のブローカーが介在し闇の流通ルートで処理していると見ています。
コロナ禍の家畜盗難事件。
警察も調べを進めています。
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