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[WBS] 「ものづくり」を変える!?「生き物の力」製品開発に生かす。

2016年4月19日

ワールドビジネスサテライト(WBS)

生物が持つ機能やカタチをヒントににして新たな製品や素材を作り出す技術「バイオミメティクス(生物模倣技術)」。

モノ作りを変革させるとヨーロッパなどでも注目をされています。

国立科学博物館

[blogcard url="http://www.kahaku.go.jp/"]

4月19日から国立科学博物館で開催されている「生き物に学び、くらしに活かす―博物館とバイオミメティクス」。

バイオミメティクスとは、生物学と工学が連携・協働し、生物に学びながら私たちのくらしをより良くすることを目指す新しい学問です。例えば、ハスの葉が水をはじくしくみは汚れがつきにくい外壁材の開発に利用されています。従来はモノづくりへの活用が中心でしたが、最近は、シロアリの巣の空気循環構造を建物の省エネルギー空調システムに活かすなど、社会問題の解決や新しい人間社会のあり方につなげるべく、より広い視野で研究が進められています。
本展では、昆虫・魚類・鳥類を中心に、バイオミメティクスの実例とそのモデルとなった生物、博物館が果たす役割、異分野の学術交流に役立つ情報科学技術などを紹介します。

ウォーターバリア

撥水力の高い蓮の葉。

蓮の葉の表面を顕微鏡で見ると小さな突起がたくさんあります。
この突起で水滴を弾いているのです。

蓮の葉の撥水性を応用した超撥水性のは既に販売されています。。

マイクロガード

カタツムリの殻は汚れにくい構造になっています。

カタツムリの殻には細かい溝が多くあります。
この溝に水が入り込んで汚れを浮かし流してしまいます。

この特製を生かした外壁タイルも販売されています。

[blogcard url="http://www.biz-lixil.com/products/tile/technicalguide/mg_exwall/"]

面ファスナー

服にくっつくオナモミのタネ。

オナモミのタネからヒントを得て作られたのが面ファスナーです。

[blogcard url="https://www.ykkfastening.com/japan/product/qf/"]

美津濃株式会社

[blogcard url="http://www.mizuno.jp/"]

カジキの機能を持った水着をミズノは製作していました。
北京オリンピック前に話題になった水着です。

国立科学博物館の篠原現人さんは言います。

カジキは魚の中でも高速で泳ぐものとして知られている。カジキは親水性、水によくなじむ性質の皮膚を持っている。

ミズノの競泳用水着では織り方によってカジキの皮膚の特徴を再現した布が使用されています。
水着には2種類の布が使用されています。

カジキから学んだ親水性、従来の水着が採用する撥水性を組み合わせる。抵抗なく後ろに水が進む原理で開発。

バイオミメティクス

カタチを真似るだけでなく、生き物が持つ特徴がどの部分によるものかを調べることで、その機能性を工業製品として再現するバイオミメティクスの世界。

生物は長い進化の間にいろいろなところに適応しているので、生物に学ぶのは一番の近道かもしれない。

シャープ株式会社

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大阪府八尾市のシャープ株式会社八尾工場。

ここではバイオミメティクスを積極的に活用して製品が作られています。

シャープ株式会社の大塚雅生要素後術開発部長は言います。

CADを用いてネイチャーテクノロジーを商品に落とし込んでいる。

シャープ株式会社では生物の特徴を商品開発に生かすためにネイチャーテクノロジー推進プロジェクトチームを3年前に立ち上げました。

これまでに扇風機やエアコンなど26の製品が商品化されています。

S-style 空気清浄機

2015年9月に発売した空気清浄機ではトンボの羽の特徴を生かしています。

従来の羽は円弧の形をしている。トンボの羽に置き換えるとギザギザの羽を模倣した形になっている。

従来の製品の羽は丸い孤を描いたようなカタチをしていましたが、新商品はギザギザのカタチをしています。

トンボの羽はよく見ると凹んた部分に空気の渦ができて効率よく風を流します。
それを空気清浄機のファンの羽に生かしたのです。

ファンの厚みは3分の1になり、狭い空間でも設置が可能になりました。

人類が拙い脳みそで計算して試作実験するよりも生物が自然淘汰の中で繰り返し何万回も計算実験をしている。それを我々が借りて性能をグッと上げる。

生物の特徴を生かすことで開発期間の短縮、開発費用の抑制につながるといいます。

下村政嗣教授

千歳科学技術大学の下村政嗣教授は言います。

生物学は膨大なデータがある、ビッグデータと言えるような膨大なデータから自分の欲しいものを抽出する。工学と生物学をつなぐための情報科学というのが大きなキーとなる。

今後もバイオミメティクスは様々な分野に広がりを見せそうです。

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