新型がん治療薬「オプジーボ」
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新型がん治療薬「オプジーボ」。100mgで価格は約73万円。
当初は年間470人と患者数のの少ないガンの治療薬として承認されました。使われる量が少ないため開発費を回収するために薬の価格は高くなっていました。
しかし、その後に患者数が比較的多いほかのガンにも使用されるようになり、政府は将来的に5万人に使われるようになると試算しています。
高額な医薬品が使われる機会が増えるため、社会保障費も増加し、財政を圧迫することになります。
そこで「オプジーボ」の価格を2017年2月に5割下げることが決まりました。
さらに政府は、この値下げをきっかけに医薬品全体の価格の見直しも進める方針です。
日本の医療費
日本の医療費は年々増加傾向です。
2015年度の医療費は2014年度に比べ1兆5,000億円も増え、増加率は3.8%。4年ぶりに3%の増加と高い水準になっています。
増加率の内訳は高齢化が1.2%、薬剤料が1.4%。
政府は薬剤料を抑制するために薬の価格の決め方にメスを入れようとしています。
現在、薬の価格は原則2年に1度見直しがされています。ここで多くの薬の価格が引き下げられています。政府はこの見直しを毎年、弾力的に行うことで医療費を抑制すべきだと主張しています。
薬の価格を毎年見直すことで医療費を1,900億円削減できると経済財政諮問会議の民間議員は試算しています。
中央社会保険医療協議会
12月9日に開かれた、厚生労働大臣の諮問機関、中央社会保険医療協議会。製薬団体や医薬品卸売団体の代表者が一同に会しました。
果たして製薬団体は何を語るのでしょうか?
製薬団体代表A、
毎年の薬価改定には断固反対の立場です。
製薬団体代表B、
万が一、毎年改定されれば医薬品の安定供給の責任を果たせなくなる。
製薬団体代表A、
われわれの事業の経営はある程度、予見性がいる。毎年毎年ルールが変わるとルールを前提に投資や人の配置をしているので、毎年経営の前提条件が変わってしまう。
製薬団体、医薬品卸売団体一様に反対の姿勢です。
新薬の開発
また新薬の開発にも影響がでると主張します。
製薬団体代表A、
薬価引き下げの一時的猶予で得られた新薬の収益を研究開発に再投資し革新的新薬の創出をしている。
一方、「オプジーボ」を念頭に医師会から、こんな意見が、
中央社会保険医療協議会(医師会)
今回はあまりにも大きすぎて国家財政に穴があく。
製薬団体代表A、
不合理な部分もあるので、それは変えるべきというのが基本のスタンス。
日本製薬団体連合会
「年に1回の薬価改定をどう考えている?」
日本製薬団体連合会の多田正世会長は、
厳しい、非常に厳しい。
「現行の薬価制度について問題点は?」
薬価制度自体は問題・課題があるから2年に1度、変える前提で変えてきた。あるとき、あるスピードで急に変わることが大変つらい。
専門家の意見
これに対し、経済財政分野で政府の委員を務める専門家はバイオ医薬品の比率が高まる中、従来より薬の開発期間が短くなっていると指摘します。
東京学芸大学の伊藤由希子准教授は、
保険適応の範囲は頻繁に変更の頻度が高まっている。対象となる患者が増えれば、薬がより安くできるはずという考え方を柔軟に公定薬価に反映したほうが利用者のメリットになる。