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[WBS] 検証「東京・荒川」氾濫はなぜ回避できたのか?

ワールドビジネスサテライト(WBS)

今回の台風では多くの河川が氾濫しました。

いまご覧になって頂いているのは東京の東側のハザードマップです。

荒川や江戸川といった一級河川が流れていて海面よりも低い海抜ゼロメートル地帯が広がっていますが、今回台風による目立った大きな被害はありませんでした。各地で深刻な水害が広がる中、なぜこの地域では川の氾濫を防ぐことができたのか、また地域住民はどう対応したのか検証しました。

荒川

きょう明け方、東京・北区の堤防が決壊し荒川が氾濫しました。

現在大量の水が流れ出ています。

実はこちらの映像、実際のニュース映像ではありません。国土交通省が作成した大雨で荒川の堤防が決壊した場合のフィクション動画です。

先週末、大型で強い勢力で関東地方を襲った台風19号。

実際、荒川はどう変化したのでしょうか?

松並百合愛記者、

東京・墨田区の荒川沿いです。ご覧のように川の水位がかなり上昇し迫ってきている状態です。

12日の正午過ぎ、テレビ東京の取材班が向かったとき荒川はすでに増水していました。

このあとも水かさは上がったものの目立った被害は報告されませんでした。

なぜ被害を免れることができたのか。

実はその裏にはある2つの施設が河川の氾濫を防ぐ役割を果たしていたのです。

首都圏外郭放水路多目的広場

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その1つが埼玉県春日部市にある首都圏外郭放水路です。

地下50メートルに6キロにも渡って柱が並び、別名「地下神殿」とも呼ばれ観光ツアーとしても人気のスポットとなっています。

今回、ここに増水した川の水が貯められたのです。

これは台風が関東を直撃した12日午前11時頃の施設内の映像です。

次々と水が流れ込んでいるのが分かります。

実はこの水、江戸川や荒川の近くを流れる中規模な河川から出たものです。

江戸川河川事務所の岩崎和夫副所長、

水位が上昇し氾濫危険水位を超える予測もあって緊迫感があった。

施設はフル稼働し、河川の氾濫を防ぎました。

施設内に水が貯まり始めておよそ8時間後の夜7時。水量に比較的余裕があった江戸川へと放水が始まりました。

5日間にわたりこの施設で貯めた水の量はおよそ1,200万立方メートル。東京ドームおよそ9杯分にも及びます。

見学時に水はないので大ごとに見えるかもしれないが役割を果たした。

荒川彩湖公園

そしてもう一つの施設が荒川彩湖公園の湖です。

轟拓人記者、

荒川上流の調節池に来ています。貯まっている水がカマキリ型遊具の顔の下まであったということです。

彩湖と呼ばれる湖を中心としたこの公園一帯が水を溜め込む巨大な池となったのです。

荒川の堤防は一部が低く設計されていて川が増水するとそこから水が流れ込みこの公園一帯に一時的に水を貯め下流部の氾濫を防ぐ調節池になるのです。

12日は午後11時過ぎ、荒川の低い堤防を越えて調節池に水が入り始めました。

近所の住民は、

私も初めての光景なので衝撃。

彩湖が守ってくれた。

今回の台風では調節池に貯めた水量はおよそ3,900万立方メートル。東京ドームおよそ31杯分。

荒川の氾濫を防いだのです。

江戸川区

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一方、台風が来たとき住民はどう対応したのか?

荒川に隣接する江戸川区に住む荒井正一さん。

先祖代々ここに住んでいて荒川までは50メートルくらい。

家から堤防が見えます。

台風が来た12日午後3時半、避難勧告が出る中、荒井さんはリュックサックを背負って避難しました。

避難所に行ったのは初めてでした。

そのきっかけとなったのがハザードマップ。

「自分の命は自分で守れ」

実は江戸川区では今年5月、大洪水を想定した区独自のハザードマップを作成。

「ここにいてはダメです」という異例の注意喚起を行っていました。

荒井さんが避難した小学校。

夕方にかけ多くの人が詰めかけました。

平井小学校の山下靖雄校長、

この先ずっと奥まで、廊下にも避難した人が並んで座っていた。

ここの上にまで人がいた。踊り場にテントを持ってきた人も。

江戸川区全体で過去最多の3万5,000人が避難しました。

江戸川区防災危機管理課の本多吉成さん、

意識を高く持ってもらったと感じる。それが今回の避難につながった。

調節池や地下神殿などの施設に加え、住民の防災意識が被害を最小限に食い止めたといえそうです。

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