被爆建物
被爆建物という歴史遺産に注目が集まっています。
71年前の原爆投下に耐えた建物のことをいいます。
現在、広島市内に87軒が登録されています。
今、被爆建物が岐路に立たされています。
原爆ドーム
オバマ大統領が訪問した広島市平和記念公園。
慰霊碑の先に立つ建物は原爆ドーム。
核兵器廃絶への象徴として20年前に世界遺産に登録されました。
イタリア人観光客は
原爆資料館と原爆ドームが見たかった。人類にとって広島を訪れることは重要だ。
原爆ドームで現在進められているのが耐震化工事です。
3ヶ所に補強の鋼材を取り付ける耐震化工事。
費用は約2,900万円。
原爆の被害を伝えるために原爆ドームはこれまでに3回の保存工事が行われてきました。
こうした原爆の被害を受けた建築物は被爆建物と呼ばれています。
広島陸軍被服支廠
広島市南区の住宅街に立つ赤いレンガの建物。
被爆建物の1つ、広島陸軍被服支廠です。
戦前は軍事都市だった広島で軍服や軍靴など陸軍の装備品を製造・保管する拠点でした。
この建物を守ろうとしている被爆者がいます。
中西巖さん、86歳です。
空がパーッとものすごいフラッシュのような光を感じて
中西巖さんは広島陸軍被服支廠の保存と活用を求めて見学会を開いています。
この日、案内したのはアメリカ人のアマチュア写真家です。
錆びついた鉄の扉を開くと、施設内には冷たい空気が流れていました。
原爆が投下された後、この施設には怪我をした大勢の市民が運び込まれましたが次々と息絶えていったといいます。
たくさんの人が倒れて、助けを求めながら亡くなった悲惨な場所。500~1,000人ぐらいの人が次々に亡くなっていった。原爆を落としたアメリカと落とされた日本が手を取り合って世界の先頭に立たないと核廃絶はできない。
写真家のカイル・ホイットニーさんは
貴重な建物で保存が必要です。オバマ大統領もここに来て中西さんの話に耳を傾けるべきだ。
この広島陸軍被服支廠、通常は一般公開はされていません。
広島県庁
広島陸軍被服支廠を所有する広島県。
耐震化や改修に多額の費用が掛かるといいます。
広島県財産管理課の伊藤洋子主査は
1棟の改修に36億円。そのうち21億円が耐震化に必要。活用方法が決まっていない段階で改修案をというのは、なかなか難しい。
広島アンデルセン
[blogcard url="http://www.andersen-group.jp/"]
被爆建物を持つ企業も岐路に立っています。
広島市の中央部にあるベーカリー、広島アンデルセン。
2016年1月に閉店しました。
広島アンデルセンの2階部分の外壁は被爆した当時のままです。
元々は旧帝国銀行の広島支店だった建物。
原爆によって壊れましたが、戦後修復され1967年に広島アンデルセンの店舗になりました。
株式会社広島アンデルセンの改装プロジェクト、藤本和明リーダーは
被爆建物だから購入したわけではなく、購入した建物が被爆建物だった。
広島アンデルセンは改装や耐震化などで5回の工事を繰り返し、約50年間この店舗を使い続けてきました。
しかし耐震性の不足や設備の老朽化のため、とうとう建て替えることを決めました。
お客様からの寄せ書きには「被爆した壁を残して欲しい」という声もあります。
広島の誇り、アルデルセン。建物も含め、今のこの雰囲気を残し復活を楽しみに待っています。
保存か?解体か?難しい決断を迫られています。
藤本和明リーダーは
被爆した外壁を残したい前提で考えていくが、実現するかどうかは、これからの検討による。