ビジネス関連 ワールドビジネスサテライト

[WBS]アメリカ 8月の消費者物価指数 前年比8.3%上昇

ワールドビジネスサテライト(WBS)

世界経済の行方を左右するアメリカのインフレですが注目の指標が9月13日に発表されました。アメリカの8月の消費者物価指数は1年前と比べて8.3%の上昇となり、7月の8.5%に比べてやや鈍化したものの、依然記録的な高い水準が続いています。

アメリカ消費者物価指数 予想上回る

8.3%上昇…高水準続く

ニューヨーク支局
手塚明日香記者

アメリカの8月の消費者物価指数は8.3%のプラスと市場予想の8.1%を上回る結果となりました。高水準が続いているものの前の月と比べると伸びが鈍化し、インフレにやや減速の兆しもみられます。

今回の結果を左右した大きな要因がここにきてエネルギー、とりわけガソリン価格が下落していることです。

6月中旬は全米平均で1ガロン(3.8リットル)あたり5ドル台を超えていましたが、直近の12日時点では3ドル台半ばまで実に3割近く下落しています。

今後の「利上げ」どうなる?

大江麻理子キャスター

こうなると注目されるのがアメリカの金融政策です。
その金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)が来週開かれますが、利上げはどうなるのでしょうか?

ニューヨーク支局
手塚明日香記者

インフレが引き続き高水準ということが今回確認されたため来週のFOMCでは0.75%の利上げの確率は9割あると市場は見込んでいます。

その理由はFRBのパウエル議長がインフレ抑制をやり遂げるまで金融引き締め、すなわち利上げを継続するという強いメッセージを打ち出していることです。

アメリカの利上げがさらに進めばドルが買われ、円が売られ、円安がさらに進む可能性があります。

大江麻理子キャスター

一方で今後のインフレの見通しについては減速の兆しも見えてきています?

ニューヨーク支局
手塚明日香記者

今後のインフレの見通しを考える上で注目されている要因があります。
実は私はいまニューヨーク州の隣、ニュージャージー州のニューアーク港を見渡せる場所に来ています。
対岸には複数のコンテナ船が滞留していて荷物を運び込もうとしているのがわかります。
アメリカでインフレを引き起こした大きな要因が物流コストの上昇です。
コンテナ船などが港で渋滞し、積み荷が陸揚げされず、物流が滞っていました。ただそれがいま解消の方向に向かっているといいます。

アメリカ"海の渋滞"が消えた?
物流停滞緩和で日本の酒蔵は…

2021年9月、アメリカに輸入されるコンテナのおよそ4割を扱うカリフォルニア州ロサンゼルス周辺の港。その沖合ではたくさんの船が港に入れず、渋滞していました。

当時の地図データを見ても沖合にコンテナ船を表す緑の点が密集していて物流が停滞していたことがわかります。

しかし現在は沖合に止まる船が激減。過去には100隻以上あった係留船が現在は10隻程度になっています。

その理由を港の担当者に聞くと…

ロングビーチ港湾局
マリオ・コルデロ局長

まずコンテナ船を受け入れるための新たなエリアを作り、キャパシティーを増やした。
さらに営業時間も延ばした。

バイデン政権の要請を受け、それまで行っていなかった港の夜間運営を開始。徐々に港の荷詰まりが緩和されていったといいます。

さらに…

ロングビーチ港湾局
マリオ・コルデロ局長

特に中国で積み荷の量が減っている。

中国のロックダウンの影響で全体のコンテナの数が減っているといいます。

こうした物流の回復により高騰していたコンテナ船の運賃は去年のピーク時の半分以下まで減少しました。

ロングビーチ港湾局
マリオ・コルデロ局長

今年後半になるにつれて物流は正常化していくと見ている。

物流の回復は日本のビジネスでも…

島根県松江市にある老舗の蔵元「李白酒造」。日本酒の売り上げの半分近くをアメリカなどへの輸出が占めています。

今年2月に取材したときは倉庫の天井近くまで日本酒のケースが…

多くが海外から発注を受けていたものですが、コンテナ不足などの影響で船に積むことができず、輸出できなかったのです。

社長に現在の様子を聞くと…

李白酒造
田中裕一郎社長

4月ごろから徐々に荷物(商品)が出ていき、注文に対し出ていくペースが上回る。
今はだいぶ片付いて、もうまったく通常運転に近い状態。

現在の倉庫の状況は在庫は大きく減り、海外向けはほとんどさばけているといいます。

物流状況予断許さず?
混雑港"回避"サービスも

一方、9月13日から始まったのは…

田中瞳キャスター

国際物流総合展に来ています。世界の物流の現状はどうなっているのでしょうか、企業に話を聞きます。

こちらの企業「鴻池運輸」はアメリカ・ロサンゼルス近郊にカナダなどから輸入した食料品を取り扱う倉庫を所有。コンテナ船の停滞で大きな影響を受けましたが状況は改善に向かっているといいます。

鴻池運輸
国際統括本部長
安岡将弘さん

コンテナが来なかったが、そこは少し緩和された感じ。

一方で今後も予断を許さないといいます。

鴻池運輸
国際統括本部長
安岡将弘さん

半導体不足の自動車産業やゼロコロナ政策の中国の景気減退、復活して盛り上がってくれば運賃はそれなりに上がってくる。コンテナもひっ迫してくるのでは。

さらにアメリカ西海岸でのコンテナ船の渋滞の緩和は新たな現象を生んでいるといいます。

NIPPON EXPRESS HD
グローバル事業本部
荒田かほ里さん

西海岸経由の貨物を東海岸にしてもらっているから、逆に今は東海岸、特にジョージア州のサバンナ港が混雑している。

一部の港で混雑が緩和されても結果的に別の港が混雑状況になっているというのです。

そこで去年から顧客に提案しているのが…

NIPPON EXPRESS HD
グローバル事業本部
荒田かほ里さん

西海岸がとても混雑しているから混雑しないメキシコの港を使う。

アメリカの港を使わずにメキシコの港を経由してアメリカに運ぶルートです。今後も複数のルートを使いながら物流の混雑緩和につなげたいとしていますが、クリスマスなどの年末商戦を控え、状況を注視する必要があるといいます。

NIPPON EXPRESS HD
グローバル事業本部
荒田かほ里さん

アメリカがもとの輸入量ぐらいに戻れば正常化といわれる状態になるかと思うが、現段階では先行きは見通せない。

-ビジネス関連, ワールドビジネスサテライト
-