
チェンソーマンにSPY×FAMILY
ヒット連発 編集者・林士平氏とは
スパイの夫と殺し屋の妻、そして超能力を持つ娘の3人が繰り広げるホームコメディ「SPY×FAMILY」。原作コミックは特にZ世代といわれる若者から絶大な支持を集め累計発行部数2,650万部以上を記録しました。
一方、「チェンソーマン」はこれまでに1,600万部以上を発行。物語の主役はインパクト抜群、チェンソーの顔をした異色のヒーローです。今月からアニメ放送も始まりました。
その「SPY×FAMILY」と「チェンソーマン」など人気作の仕掛け人がジャンプ+編集者の林士平氏。
少年ジャンプ+編集者
林士平氏

ポチタ、チェンソーマンのキャラ。かなり愛着ある。
現在、100人以上の作家を担当しています。
少年ジャンプ+編集者
林士平氏

お疲れ様です。林です。
この日の打ち合わせの相手はマンガ「ダンダダン」の作家、龍幸伸氏。
「ダンダダン」作家
龍幸伸氏
「マッドマックス」みたいなものがやりたい。
囃子たちを山車に乗せて何かとカーチェイスさせるみたいな。

マンガの中で祭りの山車を使ったカーチェイスを描きたいと奇抜なアイデアを林さんに提案します。林さん、その意図を汲み取ってアイデアを一緒に広げていきます。
「ダンダダン」作家
龍幸伸氏
映画「スピード」あるじゃないですか。確か70キロ以下で走っちゃいけない。

少年ジャンプ+編集者
林士平氏

爆発する設定ですね。山車で「スピード」をやればいいのか。
「ダンダダン」作家
龍幸伸氏
「マッドマックス」ものっかってる。

少年ジャンプ+編集者
林士平氏

面白いですね。
林さんが重視するのは作家と作品の柔軟性。斬新なキャラクターやストーリーを生み出してきました。
市場が急拡大し、今かつてない黄金期を迎えているマンガ業界。
さまざまな変革の芽も育ち始めています。
マンガは再び"ニッポンの活力"となるのか、林士平氏に聞きます。
マンガが描く"ニッポンの未来"は
田中瞳キャスター
今回のテーマは「マンガが描く未来」。
マンガ業界ではヒットメーカーとして知られる林さんですが、その林さんが担当している作品のひとつが「チェンソーマン」です。
主人公がチェンソーの悪魔に変身してほかの悪魔と戦うといった物語です。
まずキャラクターのビジュアルが何と言っても特徴的でインパクトが大きいですよね。これはどのようにして誕生したのでしょうか。

少年ジャンプ+編集者
林士平氏

3年半ほど前に前作の「ファイアパンチ」の連載を藤本タツキさんが終えた時に、こんなデザインのキャラクターを描きたいということで、デザインを試作で見せていただいた。
悪役っぽいという話をさせていただいたが、人間の姿のバージョンもあるということで、格好良くなりますという事でそれに適した物語を探していきましょうということで連載までたどり着いた。
田中瞳キャスター
チェンソーマンはコミックの累計発行部数が1,600万部以上となっていて、最近アニメの放送も始まりました。
チェンソーマンがここまでヒットした要因については?

少年ジャンプ+編集者
林士平氏

最初は運がいいと思っている。
藤本先生が考えたデンジというキャラクターがヒーローは誰かのために、何かのために戦うのが鉄則だと思うが、デンジは自分の欲求のために戦う。
彼の素直さとか、等身大の自分に欲望のために戦うというのがウケたのかなと、多くの人に応援していと思ってもらえたのかなと思う。
田中瞳キャスター
チェンソーマンと並んで林さんを代表する作品がSPY×FAMILYです。
東西冷戦時代を彷彿させる架空の世界を舞台に3人のキャラクターが仮初めの家族となってドタバタ喜劇を繰り広げるコメディマンガです。
このSPY×FAMILYのヒットも等身大とか今の時代性などが影響したのでしょうか?

少年ジャンプ+編集者
林士平氏

主役のアーニャは親御さんがいないところからスタートするが、ある種恵まれない状態からスタートして、でも小さな幸せをちょっとずつ拾って、そういうところに今の時代のみなさんがしんどい毎日を送っているけど、小さい幸せを拾っていくことに共感してもらえたと思っている。
これも運がいいと、多くの人に愛してもらって良かったと思っている。
田中瞳キャスター
SPY×FAMILYは関連グッズなどの商戦も盛り上がっているようです。

"ピーナッツ商戦"も過熱か!?
拡大するSPY×FAMILYの世界
現在、TVアニメが放送中のSPY×FAMILY。スパイ、超能力者、殺し屋の3人が仮初めの家族を演じる異色のホームコメディです。
アニメの放送に合わせてさまざまな関連グッズが登場しています。
ローソンはお菓子やドリンクを発売します。
「アーニャがお気に入りのピーナッツ」は人気キャラクター、アーニャの好物であるピーナッツ。
さらに現在、Tシャツを販売中のユニクロ。6月の第1弾に続き新しいデザインの第2弾を販売する予定です。
放送開始から半年で100社以上、2,000企画が進行しています。
一方、カフェチェーンのプロントではアーニャの髪飾りをチョコレートで再現した「アーニャの苺チョコミルク」。
そして、ピーナッツが入ったピンク色のカルボナーラスパゲッティ「アーニャのぴーなつビーツカルボパスタ」。
店内には持参したアーニャのグッズを並べて記念撮影する人も…
お客さん

コラボをやっているときはほとんど行っている。
撮った写真はすぐにツイッターにアップ。
お客さん

「SPY×FAMILY」を好きな人に情報発信して共感してもらう。
みんなでわいわい話したり、それが一番楽しい。
実はSPY×FAMILYが大ヒットしている背景にはSNSやスマートフォンが大きく関係しているようです。
どのようにアニメ、マンガを知ったのか聞いてみると…

TikTok、TikTokが多い。

ツイッターとか。
調べてみたら面白そうだった。
時代の変化とともにいまマンガの作り方にも変化が。
スマホにZ世代…時代をどうつかむ!?
デジタルが変える"マンガの作り方"
都内のある一室。マンガ家、山岸菜さんの作業部屋です。
番組スタッフ
これは何の作業か?

マンガ家
山岸菜さん

これは下書き。デジタルでやっている。
下書きにインクを入れるペン入れだけはアナログ作業ですが、仕上げの工程は全てデジタルで行っています。
マンガ家
山岸菜さん

みんなアプリで読むことが多いので細かく書き込んでも読みづらかったり、分かりづらかったりするので加減を気をつけないとなと思う。
山岸さんが手がけているのは「全部ぶっ壊す」という作品。紙のマンガ雑誌ではなく集英社が運営するスマホアプリ「少年ジャンプ+」で連載されています。
現在、アプリのダウンロード数は2,200万。実はSPY×FAMILYもジャンプ+で連載されている作品です。
この少年ジャンプ+、アプリをダウンロードすれば初回に限り、オリジナルで連載しているおよそ70作品も無料で読むことが可能。これがヒットを生む一つの戦略だといいます。
集英社 少年ジャンプ+
細野修平編集長

若い人と話したときに出たのがマンガはタイパ(時間効率)が悪い。
読むのにお金と時間がかかることが多くて5分で見られる動画に比べると、タイパもコミュニケーションコストも低いと言われた。
そこに関しては最新まで一気に追いつくことができる。
さらにアプリの大きな特徴の一つが自由な感想を書き込むことができるコメント機能。
集英社 少年ジャンプ+
細野修平編集長

コメント数は非常に増えていて、その数字は僕たちも重視している。
コメント欄が盛り上がっていると、そこから外部のSNSに流出していく。
マンガが描く"ニッポンの未来"は
田中瞳キャスター
現在のコミックやコミック誌を取り巻く状況を見てみます。
紙媒体のコミックやコミック誌の販売額は週刊少年ジャンプが発行部数653万部を記録したころの1995年がピークでした。
この頃はドラゴンボールやスラムダンクなど今でもファンを増やしている人気作品が連載されていました。
それ以降は右肩下がりでしたが、ここ数年で急激な伸びを見せています。
2020年には過去最高を記録して、翌年の2021年も1995年の販売額を上回りました。
この市場を牽引しているのが電子コミックです。
ここまで電子コミックが急激に伸びた背景もとてどう分析していますか?

少年ジャンプ+編集者
林士平氏

週刊連載は1話19ページ。1駅の間に1話が読めてしまう。スマホで多くのエンタメを楽しむ若い人たちがマンガを隙間で楽しんでくれているのが大きな要因だと個人的には思っています。
田中瞳キャスター
少年ジャンプ+ではコメント機能もありますが、ここで次のテーマ「Z世代の若者、マンガの楽しみ方に特徴あり?」。

少年ジャンプ+編集者
林士平氏

昔の読者も漫画を読んで語っていたと思うが、いまはオンライン上で全世界の方と「このマンガはこういうことじゃない」とか「この振りはこういう謎なんじゃない」というのを共感・共有しながら楽しんでいるのが減少として面白いと思っている。
田中瞳キャスター
そのコメント機能で非常に盛り上がったコマがあるということで林さんに事前に紹介していただきました。
「全部ぶっ壊す」という作品ですが、テレビが描いてあり、寿司が映っているのに「大胆なエアコンです!」と出ています。
「一般社団法人が縮みそうです!」など会話が不自然でよく分かりませんが、これは?

少年ジャンプ+編集者
林士平氏

「全部ぶっ壊す」は色んなものを壊す神様が現在の女子高生に転生したというマンガです。
いろなん物が壊れるのですが、この話に関しては言葉・言語が壊れている。
みんなでこの壊れていることがが何の単語なんだろうとコメントで予想しあっている様が新しい楽しみ方だと思った記憶があります。
田中瞳キャスター
最後に林さんに聞くのがマンガは日本の未来に何を描いていくのでしょうか?

少年ジャンプ+編集者
林士平氏

「マンガ・アニメは文化・言語の壁を超えていく」。
マンガは絵なので全世界にあっという間に届く。きょう打ち合わせした内容が1ヵ月後には世に出ますが、それが全世界の人から感想がすぐさま来る。
アニメも言葉を超えて、文化を超えていくので日本から生まれた面白いものが全世界のお客様に届いて、市場をどんどん開拓していると思っている。
日本から面白いものがどんどん生まれていくと、それを見た海外のクリエイターがどんどん日本が面白いと思ってくれるので、マンガ発で日本が元気になると思うので、マンガも楽しんでほしいし、マンガとコラボしたり、何歳になってもマンガを作ることはできるので参入してきてほしいと思っている。
田中瞳キャスター
作ってから世に出るスピードが早くなっている?

少年ジャンプ+編集者
林士平氏

昔はアニメになるまでタイトルが世界に響くことはなかった。
SPY×FAMILYやチェンソーマンは公開したら直ぐ様、「この言語は読めないけど何か褒めてくれるのは分かる」というのがSNS上で溢れる。
田中瞳キャスター
マンガが日本の活力になる可能性はありそうですか?

少年ジャンプ+編集者
林士平氏

色んな業界がマンガやアニメの力を使って、その商品だけだと世界に届かないが、マンガのキャラとコラボしたら世界に届くというものがあり得ると思う。
活力になると思っています。